このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

私の旅日記2012年

無縁坂〜森鴎外『雁』〜

講安寺 から無縁坂を下る。


無縁坂


 『御府内備考』に、「称仰院(しょうこういん)門前通りより本郷筋へ往来の坂にて、往古坂上に無縁寺有之候に付右様相唱候(あいとなえそうろう)旨申伝……」とある。

  団子坂 (汐見坂とも)に住んだ 森鴎外 の作品『雁』の主人公岡田青年の散歩道ということで、多くの人びとに親しまれる坂となった。その『雁』に次のような一節がある。

 「岡田の日々(にちにち)の散歩は大抵道筋が極まっていた。寂しい無縁坂を降りて、藍染川(あいそめがわ)のお歯黒のような水の流れ込む不忍の池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。……」

 坂の南側は、江戸時代四天王の一人・康政を祖とする榊原式部大不輔の中屋敷であった。

 坂を下ると不忍の池である。

不忍の池の面にふる春雨に湯島の台は今日も見えぬかも

岡麓(本名三郎・旧本郷金助町生まれ1877〜1951・墓は向丘2丁目高林寺)

文京区教育委員会

不忍の池の夕景


大正4年12月6日、 竹久夢二 は笠井彦乃と池の端から無縁坂を上る。

12月6日

池の端へ出て
岩崎のうら道からまた大学の裏門へ出た。
しづかにさようならをした。
ほんとに何気なく。
Sheは門のうちへheは左へ折れた。
そこにお家騒動でもありさうな門がある。
またあつたのだ。

『夢二日記』(大正4年)

無縁坂といえば、さだまさしの「無縁坂」。

「無縁坂」がTVドラマ「ひまわりの詩」の主題歌とは知らなかった。

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