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犬田卯 (いぬた・しげる) 1891〜1957。 |
『錦紗』 (青空文庫) |
短編。欲しくてたまらなかったレーヨン錦紗(きんしゃ)を買いに町へ出掛けるお通だが、半月かけて貯めたお金を紛失してしまい、“うっかりぽん”な自分にたまらなく悔しさを覚える…。「だって売れ残りだねえか、売れ残っているんだもの」、「でも、残りものに福があるって言うじゃない」。“婚期おくれ”の自分の現状を、まだ売れずに残っている錦紗に託し、元気を取り戻す女主人公の姿が素晴らしい。 |
『競馬』 (青空文庫) |
掌編。不景気の中、競馬で儲けようと考えた百姓の仙太は、月末の納税に必要な五円札を女房に内緒で持ち出し、いざ競馬場へ。満を持して馬券を買おうとしたら、何ということだ! 出走時間となってしまい、もう馬券売場は締め切られていた。呆然とする仙太の前に、降って湧いたような“幸運”が訪れるが…。「ああ俺は? 俺は?」──。気の毒すぎるオチが面白い”貧すれば貪する”小説。 |
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