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大阪圭吉 (おおさか・けいきち) 1912〜1945。


あやつり裁判  (青空文庫)
短編。「問題は、その「つぼ半」の女将にあるんですがね、いやどうも飛んでもない女なんですよ」。証拠不充分の事件の公判は、待合の女将・福田きぬの目撃証言によって有罪に傾く。きぬが別の事件でも証人になっていることを知った弁護士の菱沼は、証言に疑念を抱くが、彼女はどの被告人ともまったくの無関係であった…。女が証人として出頭する意外な目的が面白い。名探偵・青山喬介もの。

石塀幽霊  (青空文庫)
短編。秋森家の家政婦・そめ子が、秋森家の門前の道路で刺殺された。目撃情報から犯人は二人組の男だと判明する。そして、庭下駄の足跡と凶器の指紋によって、秋森家の双生児(ふたご)が逮捕されるが…。「僕はハッキリこの眼で、二人の犯人を…」、「君の云うその共犯者はあの石塀の奇蹟と非常に深い関係があるんだ」。暑夏での犯行というところがミソで面白い。名探偵・青山喬介もの。

動かぬ鯨群  (青空文庫)
短編。捕鯨船「北海丸」の沈没事故で、一年前に死亡したはずの船員・小森安吉が何と生きていた。しかし、「北海丸」の姉妹船である「釧路丸」の船長によって安吉は殺害されてしまう。逃げた「釧路丸」を追跡する監視船「隼丸」だが…。「みんな鯨の祟りだよ。仔鯨を撃つから、いけないんだ」──。沈没事故の意外な真相を描いた海洋ミステリーの秀作。水産試験所の所長・東屋三郎ものの一編。

寒の夜晴れ  (青空文庫)
短編。十二月二十四日の晩、県立女学校の教師・浅見三四郎が仕事で家を留守にしている間に、妻・比露子と従弟・及川が惨殺され、幼い息子・春夫が何者かに浚われた。三四郎の同僚である私(鳩野)は、雪上に残された犯人のスキー跡を尾行するが、まるで夜空へ舞い上がったかのように、途中で消失していた…。「私には、この謎がもう半分以上、判って来ました。さア、これからひとつ、サンタ・クロースのあとを追ッ駈けましょう」──。同僚教師・田部井氏が突き止める事件の意外な真相! 素晴らしい出来栄えの推理小説。

気狂い機関車  (青空文庫)
短編。73号機関車に乗務していた機関手と助手の屍体が、W駅の給水タンク脇と、曲線線路の脇でそれぞれ発見された。一人の犯人が、二人の人間をほぼ同時に、異なった凶器を使って、しかも雪の積もった現場に足跡を残さずに殺害するトリックとは? 「そんな馬鹿な事はない。もしそうとすれば、機関車は独りで疾走(はし)って行った事になる。と、とんでもない事だ!」。名探偵・青山喬介もの。

銀座幽霊  (青空文庫)
短編。銀座の煙草店の店員・澄子が殺害され、女主人・房枝も死体で発見される。店の向かいのカフェ「青蘭」の女給たちの目撃証言(二人が着ていた着物の色)から、房枝が澄子を殺した後に自殺したものと思われたが、検屍の結果、房枝は澄子よりも前に死んでいたことが判明し…。 「これからひとつ、その幽霊の正体をみて頂こうと思いますが…」。「青蘭」の支配人・西村青年の推理がお見事。

坑鬼  (青空文庫)
短編。海底の炭坑で発火事件が発生し、坑夫の峯吉が逃げ遅れてしまう。他坑への引火を防ぐため、峯吉を見殺しにして、防火扉を閉めた三人(技師・丸山、工手・古井、監督・浅川)だが、次々と殺害されてしまう。火焔に包まれて死んだはずの峯吉の復讐なのか? そして、海水浸水の異変が! 「海水の浸入とこの殺人事件とは、密接な関係がありますよ」──。事件の意外な真相を突き止めていく東大工学部出身の秀才・菊池技師の活躍を描いたホラー・ミステリー。死と隣り合わせである炭坑(黒い地下都市)の様子が印象的だ。

香水紳士  (青空文庫)
掌編。叔母の家へ行くため、列車に乗った少女・クルミさんだが、品川駅で無遠慮な紳士が乗り込んできたため、楽しい小旅行は台無しに。紳士が逃亡中の強盗犯であると知った彼女は…。子供チックな少女の大人顔負けの活躍を描いて楽しいユーモア・ミステリー。

三狂人  (青空文庫)
短編。没落した脳病院の赤沢院長が、脳味噌をえぐり取られて殺害された。脱走した三人の患者(女の着物を着て歌い続ける「歌姫」、絶えず足で羽目板を叩いている「トントン」、顔中に包帯を巻いている「怪我人」)を捜索する警察だが…。「貴方はいま、結末、と云われましたね?…いやどうも、私は、飛んでもない思い違いをしたらしい…」。市立病院の松永博士の活躍を描いたどんでん返しもの。

三の字旅行会  (青空文庫)
掌編。毎日違った婦人客が一人ずつ、三時の急行の三等車の三輌目から降りてくる不思議。彼女たちを出迎える案内人の男から、「三の字旅行会」の存在を知った東京駅の赤帽・伝さん。その会は、陰徳を尊ぶ会長が始めた慈善的な奉仕会なのだというが…。改札係の宇利氏が暴く「三の字旅行会」のカラクリとは? 「あ、そういえば、今日は、三日でしたっけ!」。抜群に面白いユーモア・ミステリー。

死の快走船  (青空文庫)
短編。ヨット「白鮫号」で帆走していた商船会社の元船長・深谷氏が殺害された。事件を調査する水産試験所の東屋三郎は、船体の周囲に付着していた海の泡の跡(吃水線)から、乗船していた人間の重量を割り出し、犯人は二人いると推理するのだが…。なぜ深谷氏はわざわざ夜中に帆走に出掛けていたのか? そして、いったい何をそんなに待ち恐れていたのか? 「成る程、君の算術には間違いはない。が、君は、算術と現実とをゴッチャにしてしまった。だからいけないんだ」──。二転三転する重量計算が読みどころで面白い。

闖入者  (青空文庫)
短編。富士山麓にある山荘「岳陰荘」で洋画家・川口亜太郎が変死した。亜太郎はなぜ、南の部屋からしか見えない富士山の景色を、東の部屋に閉じこもって写生していたのか? 警察は亜太郎の妻・不二(ふじ)に嫌疑を掛けるが…。「不二さんは、富士山に、通ずる…ですな…ふム、確かにいい。完全無欠だ!」。東の部屋の窓に現れた意外な“闖入者”とは? 刑事弁護士・大月対次ものの一編。

デパートの絞刑吏  (青空文庫)
短編。宿直で泊り込んでいたRデパート店員・野口達市が絞殺された上、屋上から投げ落とされた。野口の掌中には無数の奇怪な擦過傷が痛々しく残り、しかも死体の落下現場には、売場から盗まれ紛失していた真珠の首飾りも発見される…。「犯人は力の強い一人の男と言う結果に逢着する。その強力者とは誰だ」──。意外なる絞刑吏(犯人)を突き止めていく自由研究家・青山喬介の名推理!

とむらい機関車  (青空文庫)
短編。轢殺事故を引き起こす度に、供養のため操縦室に花環が飾られることから「葬式(とむらい)機関車」と呼ばれる様になったD50・444号機関車──。盗んだ豚を何者かが「葬式(とむらい)機関車」に轢殺させるという奇妙な連続事件が発生! 事件を調査する機関庫の片山助役は、葬具屋「十方舎」の陰気な親娘(おやこ)の秘密を知る…。「…どうやらこれでこの事件も幕になったらしいね…あの豚の轢殺事件が、こんな悲劇に終ろうとは思わなかったよ」。豚を盗んだ犯人の動機と、悲恋な結末が心に残る短編ミステリーの名作。

白妖  (青空文庫)
短編。ひき逃げ事件を起した車を追走する大月弁護士だが、一本道である観光有料道路から車は忽然と消えてしまう。一方、車の所有者である岳南鉄道の重役・堀見亮三の別荘では、堀見の娘・富子にチョッカイを出していた青年・押山英一が殺害されるという事件が起きていた…。凶器のナイフに彫られた誕生日の数字を巡って二転三転する展開が面白い。刑事弁護士・大月対次ものの一編。

花束の虫  (青空文庫)
短編。劇団の出資者・岸田直介が銚子・屏風浦の断崖から突き落されて、殺害された。殺害現場を調査した弁護士・大月対次は、二人が激しく争った靴跡と、落ちていた林檎の皮から、犯人は左利きの女であると推理するが…。「『花束の虫』と言うのは、何でも上杉逸二さんの書かれた二幕物の脚本だそうですけれど…」、「ははあ。成程」。断崖の格闘の意外な真相が面白い大月対次もの本格推理。



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