このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
上司小剣 (かみつかさ・しょうけん) 1874〜1947。 |
『石川五右衛門の生立』 (青空文庫) |
中編。盗賊・石川五右衛門の幼少時代を描いた時代小説──。伊賀の山里で母と二人で暮らしている八歳の少年・文吾(五右衛門)。人の家の柿を盗んで、「人のものは我が物、我が物は人のもの」というようなことを教えられたり…、煮売屋の主婦の眼を晦まして、忍び足の法を会得したり…、光明寺の和尚さんの“秘密”を知って、一人前の大人になりかけたという気がしたり…。「坊んち、何んにも怖いことあれへん。わたしがよう遊ばしたげるがな」──。その道で成功する人は、流石(さすが)に子供の頃からスゴイ! |
『死刑』 (青空文庫) |
短編。百の宗教、千の道徳も、一つの死刑というものには敵わない──。大阪の西町奉行に着任した荒尾但馬守(たじまのかみ)。曲がった社会、腐った世の中を清潔にしたい但馬守は、死刑を大いに利用して、その効力に満足するのだが…。「今日は千日前に首が七つかかった」、「昨日は十かかった」、「明日は幾つかかるやろ…」。理想は素晴らしくても、その実行が独善では元も子もない。潔白な町医・中田玄竹の逸話を交えて描く。 |
『鱧の皮』 (青空文庫) |
短編。「鱧(はも)の皮を御送り下されたく候」。大勢の雇人を使って大阪・道頓堀のうなぎ屋「讃岐屋」を切り盛りしている女主人・お文は、借金で東京へ逃げた夫・福造からの手紙を読む。毎度のお金の無心などの他に、好物の鱧の皮を送ってくれという福造の要求に、お文の母・お梶や叔父・源太郎は呆れ果てるが、お文はそんな夫を迎えに行く決心をする…。「鱧の皮の二杯酢が何より好物だすよってな。……東京にあれおまへんてな」──。道頓堀の情景や、大阪弁の会話、お文の心情など、生き生きとした描写が素晴らしい。 →織田作之助「夫婦善哉」 |
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