このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
小寺菊子 (こでら・きくこ) |
『河原の対面』 (青空文庫) |
短編。「私のお父さんはいやな商売をしていらっしゃる」。投機的な仕事に手を出して大損した後、金貸業をはじめた戸田為造だが、負債者である百姓爺・源右衛門と取っ組み合いの喧嘩を演じた末、警察に引致されてしまう…。「こんな商売をはじめたのが悪いのぢゃ」。囚徒となった父・為造と“対面”した幼い娘・お町の、「父」というものに対する生々しい痛手…。「あれがお父さんだよ」。“父親の喪失”という心境に至る幼い少女の姿を描いた家庭悲劇。“対面”の方法・手段がちょっと推理小説じみていて面白い。 |
『父の帰宅』 (青空文庫) |
短編。刑期を終えて放免になった父・慶吉が久しぶりに家に帰って来た。父のせいでずっと肩身の狭い思いをして生活して来た小学生の兄妹・孝一とみよ子は、父と対面するのを嫌って土蔵の中へ隠れてしまうが…。 「誰がお父さんだなんて呼ぶもんけえ、いやだい、長いこと、どこへ去(い)ったのか分らんような、そんなお父さんてあるもんけえ」──。菊池寛の戯曲「父帰る」のような家庭の愁嘆場を描いた作品。この場を何とか収めようとする女性陣(母・お政と妹・みよ子)に対して、男性陣(父・慶吉と兄・孝一)ときたら…(悲)。 |
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