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倉田百三 (くらた・ひゃくぞう) 1891〜1943。


俊寛  (青空文庫)
中編。戯曲。
平清盛によって鬼界が島に流され、困苦な日々を送る俊寛(しゅんかん)と成経、康頼の三人。何があっても生死を共にすると誓い合った三人だが、赦免(しゃめん)された成経と康頼は都へ帰ってしまい、俊寛だけが島に取り残されてしまう…。俊寛を尋ねて、鬼界が島にやって来た俊寛の忠僕・有王(ありおう)だが…。

「わしはよい人間ではないかもしれない、だが、かほどの苛責がわしに相当しているだろうか。少なくともわしは清盛ほど悪虐ではないつもりだ、彼ほど人を傷つけてはいないつもりだ。天はその清盛をどのように遇しているか!」
「あゝこの世界をわしは憎む。わしが生きている間、わしをいかに遇したか。それをわしは永劫に忘れぬぞ。この世界はゆがめる世界だ。善が滅び悪が勝つ世界だ。あゝ、なきに劣る世界だ。かかる世界は悪魔の手に渡すがいい。悪魔よ来たれ」

俊寛を残して船が出航して行く場面の臨場感はなかなかのもの。絶望に終始した救いのないストーリーだが、台詞回しが結構大仰だったりするので、ちょっと滑稽さも感じられる。

この倉田版「俊寛」を踏まえた上で、菊池寛版、芥川龍之介版を読み、その対比を楽しむ。



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