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久坂葉子 (くさか・ようこ)1931〜1952。 |
『ドミノのお告げ』 (電子文藝館) |
短編。父は喘息を患い、母は宗教にのめり込み、兄・信一は肺結核で入院中で、弟・信二郎は中年女の愛撫を受けている──。家財を売って生計を立てている没落貴族の一家。二十七歳で結婚も仕事もしていない自分は「女性失格」だと思っている長女・雪子は、八卦見(占い師)から「家に変動がある」と告げられるが…。 「とにかく今月中に起る一つの事件によってですね、あんたは、今迄の方針が自ずと変えられると思います」 「どんな変動かわかりませんの」 「それは予言出来ますまい。とにかく、注意をしとりなさい、結婚はまあ今のところいそがなくていいでしょう。あんたのような人はひとりでいた方がいいようなものです」 賭け事をしている時だけしか、いのちを燃やしている自分を感じることが出来ない女主人公の、貴族の家に生まれた宿命を背負って生きていく姿を描いた芥川賞候補作。短編「落ちていく世界」(青空文庫)の改作。 →太宰治「斜陽」 |
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