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潮山長三 (しおやま・ちょうぞう)


河童白状  (網迫の「質より量」) (網迫の「質より量」(新館))
短編。永代橋が崩落した騒ぎのさ中に召し捕られた凶状持ち・河童の三吉による犯行告白──。子供の頃、永代橋で父親を辻斬りに殺されてから、「世間」を恨み、「世間」を皆殺しにすることが父親の敵討ちになると考えるようになった三吉。次々と犯行を重ねながら、奉公していた鍛冶屋の娘・およしを好きになったり、身投げしようとした水茶屋の女の命を助けたりするのだが…。「ああ「世間」が崩れて亡びる。ざまあ見やがれ。ざまあ見やがれ」──。「世間」を恨み続けた三吉もまた「世間」が生み出した「世間」だという皮肉…。

雁金  (網迫の「質より量」) (網迫の「質より量」(新館))
短編。「お前は永年の間、鳥や獣の命を取って来たからな。因果だよ」──。年貢の未納金を支払うため、仕方なく娘・お半の身を売った伊勢・白子村の百姓・久兵衛だが、雁狩りに失敗して、その大事なお金を雁にとられてしまう…。「ああ、また金か。お前さんも六両二分くれるのか。金はいらねえ。いらねったら」。俳諧師・黄蝶(こうちょう)や漁師・七助による“親切騒動”のてん末は? 三遊亭円朝の落語「文七元結」を思い起こさせるコミカルでいい話。

口を縫われた男  (網迫の「質より量」) (網迫の「質より量」(新館))
短編。当たり前の美女ではもはや満足できなくなった色男・尾住阿気丸(あけまる)は、友人である陰陽師・壬生孝之の予言によって、“激しい興味を与えてくれる”稀代の美女とめぐり合う。「決して一言も物をおっしゃらないように、もし一言でもおっしゃると、大変なことになりますから」。喋ることの出来ない不自由に耐えながら、女の家で愛慾生活を送る阿気丸だが…。意外な展開がすこぶる面白い。陰陽師の側から描いても面白くなりそう。

濡事式三番  (網迫の「質より量」) (網迫の「質より量」(新館))
短編。家出したまま帰って来ない娘・お新のことが心配でならない、立派な顎鬚(あごひげ)が自慢の紙屋・又四郎。「翁(おきな)の面」に又四郎の鬚をくっつけたいと目論む歌舞伎役者・中村仲蔵と能役者・観世金三郎、そして仮面(めん)彫師・音二郎だが…。「いっそ、どうです。娘御への心の詫(わび)に、この長い鬚をお切りなすったら」、「な、何、鬚を切れと云うのか」──。「とうとうたらり」で始まる「式三番(しきさんば)」の面白講釈。お新の家出騒動のてん末と、又四郎の鬚の不思議を描いたユーモア&ホラー。

不動殺生変  (網迫の「質より量」) (網迫の「質より量」(新館))
短編。「ら、ら、裸身の乙女を?」、「そうだ。乙女の柔い肌を突き刺しているところだ」──。仇(あだ)し女を呪い殺したいという上臈(じょうろう)の依頼で、裸の乙女を刺し殺している不動明王の絵像を描くことになった絵師・大鳳金道(おおとりのかねみち)。しかし、乙女の顔を何度描き直しても、生き別れた恋人・塩女(しおめ)の顔になってしまう…。つい展開の先読みをしてしまう読者(私?)の意表を見事に突いてくれるドンデン返しもの。



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