このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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田村俊子 (たむら・としこ) 1884〜1945。


生血  (電子文藝館)
掌編。涙の熱さ! たとえ肌がやきつくす程の熱い涙で身体を洗っても、自分の身体はもうもとに返らない。もう旧(もと)に返りはしない──。行きずり(と思われる)の男・安藝治(あきじ)と宿屋で一夜を共にしたゆう子の受動的な心境と、ままならない自我…。「自分に蹂躙された女が震えている。口もきき得ずにいる。そうして炎天を引きずり廻されている。女は何所(どこ)まで附いてくるつもりだろう」──。金魚の目玉をピンで突き刺したり、足先で傘を回す曲芸娘を象徴的に登場させたり、著者の独自性が感じられる作品だ。

木乃伊の口紅  (青空文庫)
中編。「私があなたの生活を愛さないと云うなら、あなたは私の芸術を愛さないと云わなけりゃならない」。男の生活を愛する事を知らない女と、女の芸術を愛する事を知らない男。心の調子が悉く食い違う夫婦の葛藤・相克を描いた代表作。甲斐性のない夫・義男のすすめで懸賞小説を執筆する妻・みのるだが、非芸術な出来に失望する。いよいよ生計が立たなくなった二人は、別れる事に決めるが…。芸術の世界に執着し(芸術のために舞台女優にもなっちゃう)、自我の目覚めに至る女主人公の姿が「ねっちり」していて面白い。



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