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田中貢太郎 (たなか・こうたろう) 1880〜1941。 |
『蛾』 (青空文庫) |
短編。居酒屋の店員のお幸ちゃんは、店の中を飛んでいた蛾を、殺さずに逃がしてやった綺麗な顔の男性客の行動に、「なんという優しい方だろう」と感心する。ある夜、綺麗な顔の男性客に誘われるがままに、彼の家へ行ったお幸ちゃんだが…。 「誰かいるようじゃなくて」、「誰がいるもんかね、この室には誰も来ないから大丈夫だよ」──。女主人公の淡い恋心を絡ませた展開が面白い怪異小説。 |
『蟇の血』 (青空文庫) |
短編。同棲している女のことで先輩の家へ相談しに行った帰り、壮(わか)い女と道連れになった青年・三島譲。女に請われるままに、女の姉が住むという家に上がり込んだ彼だが…。「だめですよ、もうなんと云っても放しませんよ、そんなばかなことをせずに、じっとしていらっしゃいよ、ほんとうにあなたは、ばか、ねえ」──。青年に襲い掛かる途轍もない恐怖を描いて面白吃驚なエログロ・ホラー。 |
『水郷異聞』 (青空文庫) |
短編。講演で訪れた水郷の町で、濃艶な中年女と出会った思想家・山根省三。彼のファンだという彼女に誘われ、湖畔にある女の家へ行った省三は、それ以来、頻繁に女の家へ行くようになる。それがために細君といさかいになってしまう…。「いよいよ舟に乗る時が来ましたよ」、「なんですか」、「舟に乗る時ですよ」。十年前の恋愛事件の報いを受ける心の弱い男の破滅を描いた妖異なホラー小説。 |
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