このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
田中英光 (たなか・ひでみつ) 1913〜1949。 |
『オリンポスの果実』 (青空文庫) |
長編。 ぼくはあのひとが好きでたまらない。ぼくの呼吸も、ぼくの皮膚も、息づくのが、すでに、あのひとなしに考えられない。どこが好きかときかれたら、ぼくは困るだろう。それほど、ぼくはあのひとが好きだ。 ロサンゼルス・オリンピックに参加する日本代表選手団を乗せた客船。その船上で出会った高跳び選手の熊本秋子に一目惚れしたボート選手の坂本だが、二人の仲を同僚たちにからかわれ、遂には男女接触の禁止命令が出てしまう…。 オリンピックでの試合や観光の様子などを盛り込みながら、主人公の青年の一女性への恋慕と苦悩を手記の形式で描いた青春純愛小説の秀作。──聞きたかったけど聞けなかった一言とは? |
『現代変形談』 (網迫の「質より量」) (網迫の「質より量」(新館)) |
短編。新宿で焼き鳥屋を営むお国の本職は、実は秘密会社「人体変形移植保管会社」の社長だった。肉体の貞操を守るため、豚や馬のアレを移植し、自分のアレは彼女に保管してもらい、売春に励む若い男女たち。そんな獣の町にやって来た復員兵の五平だが…。「この肉は特別、うまいねエ。まさか、人間の肉じゃあるまいな」。人間らしさを失わなければ生きていけない退廃した世界観が鮮烈。 |
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