このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
中島敦 (なかじま・あつし) 1909〜1942。 |
『悟浄歎異』 (青空文庫) |
短編。西遊記の沙悟浄の視点による異色作──。積極的で天才的な孫悟空、享楽主義の猪八戒、弱さの中に貴い強さを持つ三蔵法師。「俺みたいな者は、いつどこの世に生まれても、結局は、調節者、忠告者、観測者にとどまるのだろうか。けっして行動者にはなれないのだろうか?」──。孫悟空と釈迦如来のお馴染のエピソードも登場。 |
『山月記』 (青空文庫) |
短編。詩人として名を成そうと志すも、「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」のせいで切磋琢磨しようとせず、人喰い虎と化してしまった元官吏・李徴(りちょう)。進んで教えを請い、求めて友と交わることの大切さ…。自分の中にある僅かばかりの才能の空費…。努力を嫌う怠惰…。自分自身のことを指摘されているような心持ちに…。名作。 |
『南島譚・幸福』 (青空文庫) |
短編。島で権勢と金力を誇る第一長老(ルバック)と、長老にこき使われる哀れな貧しい下僕。長老の前を通る時には匍匐膝行しなければならない(!)。悪神に祈願した下僕は、毎夜、夢の中で長老となり、至上の幸福を味わうようになる…。夢の世界と昼の世界、どっちが現実? こき使うということは、こき使われるということ。 |
『南島譚・夫婦』 (青空文庫) |
短編。パラオの島民・ギラ・コシサンの妻・エビルは、誰彼構わず浮気をする多淫でありながら、嫉妬深い性格の持ち主。大人しい夫が他部落の美女・リメイと恋仲になったと知ったエビルは、恋喧嘩(ヘルリス)を仕掛けるが…。妻=淫奔、娼婦=貞淑という事実。すっ飛びキャラのエビルが凄い! 意表を突くハッピーエンド! |
『名人伝』 (青空文庫) |
掌編。天下第一の弓の名人になるため、厳しい修行を重ね、弓の達人・飛衛(ひえい)から奥儀秘伝を習得した紀昌(きしょう)。しかし、山の頂にいる甘蠅(かんよう)老師の技はもっと凄かった! 「一通り出来るようじゃな。だが、それは所詮射之射(しゃのしゃ)というもの、好漢いまだ不射之射を知らぬと見える」──。超ぶっ飛びのラストに驚愕! 名人になるということは何と凄まじいことか! |
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