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中戸川吉二 (なかとがわ・きちじ) 1896〜1942。


イボタの虫  (青空文庫)
短編。「昨夜一と晩で急にヒドく悪くなったんだ。肺炎だと云うんだが、妊娠中のことでもあるし、もう駄目らしい。今日午前中持つかどうか…」。兄に呼び起こされた私は、姉・美代が瀕死の状態だと聞かされる。母の言いつけで、「イボタの虫」という売薬を買いに行く私だが…。作家になることに好意を持ってくれ、最も熱心な読者の一人であった姉との思い出…。「そうだ。イボタの虫なんていう妙な薬が、存外不思議な効果をあらわすかも知れない。何とも知れない…」。姉の死を前にした心境を、「イボタの虫」のてん末を交えて描く。



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