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新美南吉 (にいみ・なんきち) 1913〜1943。


いぼ  (青空文庫)
短編。童話。夏休みに遊びに来た、いとこの克己とすっかり仲良しになった小学生の兄弟・松吉と杉作。町に住む克己の家にあんころ餅を届けに行くことになった二人は、克己に会えるのを楽しみに、希望に満ちた心持ちで出掛けるのだが…。「どかァん」、「どかァん」、「どかァん」、「どかァん」──。仲の良い兄弟のいつまでもくよくよしない姿に感動を覚える。二人を見習って、“どかんどかんと大砲をぶっぱなしながら”心を明るくして頑張るぞ! 好編。 →井上ひさし「あくる朝の蝉」

牛をつないだ椿の木  (青空文庫)
短編。童話。「あそこの道ばたに井戸があったら、いいだろにのオ」──。近くに水を飲む所がなく、井戸があれば皆が助かると考えた人力曳きの海蔵。自ら節約し、二年かけて井戸を掘る金を貯めた海蔵だが、頑固な地主に反対されてしまう…。海蔵の母親も素晴らしい! 道徳の教材にもってこいの感動童話。

 (青空文庫)
短編。転校生の太郎左衛門と親しくなった久助君たちだが、彼は平気で嘘をつく不思議な少年だった。彼の提案で、はるばる海までクジラを見に行く久助君たちだが…。「とんだことになってしまった。これから、どうして帰れるか」。友人との交流を通して、人間というものの本質を知る少年の成長を描いた童話。宮沢賢治「風の又三郎」を彷彿。「久助君もの」の一編。

うた時計  (青空文庫)
掌編。童話。町へ行く途中、三十四、五の男と道連れになった少年・廉(れん)。暖かそうな男の外套のポケットに手を突っ込むと、うた時計(オルゴール)が鳴り出した。うた時計の思い出を話す少年──幼い頃に死んでしまった妹の話…、不良息子が家出してしまった薬屋のおじさんの話…。少年を見習って清廉潔白で行こう。大人向け童話。

売られていった靴  (青空文庫)
掌編。童話。初めて作った靴が売れたので、嬉しくてたまらない靴屋の小僧・兵助。靴を買ってくれた旅人の後を何度も追っかけてしまう…。「その靴をだいじにして、かあいがってやってください」、「もしもし、その靴、だいじにはいてやってください」──。物を作って売るということの素晴らしさを再認識させてくれる、そんな素敵なほのぼの童話。

王さまと靴屋  (青空文庫)
短編。童話。わざとみすぼらしい格好をして町にやって来た王様。「その方は何という名前か」、「人にものを聞くなら、もっと丁寧に言うものだよ」。この国の王さまは馬鹿だと言えば、金の時計をあげると言われた靴屋のじいさんは…。「さっさと出てうせろ。ぐずぐずしてるとぶちころしてしまうぞ」──。痛い目に遭った甲斐がありましたね。

おじいさんのランプ  (青空文庫)
短編。童話。ランプの明るさに感激した孤児の巳之助は、身を立てるため、ランプ売りを始める。村じゅうにランプを普及させた彼だが、電気の登場でランプは古い道具になってしまう…。「利口な人でも、自分が職を失うかどうかという時には、正しい判断を失うものである」──。進歩していく世の中との向き合い方を描く。立派なビジネス書。

がちょうの たんじょうび  (青空文庫)
掌編。童話。ガチョウの誕生日会に招かれた動物たちだが、イタチを呼ぶかどうかで問題に。「いたちさん、一つお願いがあるのですが」、「何ですか」、「今日だけはオナラをしないで下さい」、「ええ、決してしません」。イタチもやって来て、みんなで楽しい時間を過ごすのだが、とうとう大変なことが起ってしまい…。思わず笑っちゃう童話。

蟹のしょうばい  (青空文庫)
掌編。童話。「とこやというしょうばいは、たいへんひまなものだな」。床屋を始めた蟹(かに)だが、ひとりもお客さんが来ない。海っぱたに行くも、頭がつるんこの蛸(たこ)では商売になりません。今度は山へ出掛けるのだが…。「とこやですがごようはありませんか」──。ほんの小さな蟹でさえも、ちゃんと鋏(はさみ)を持っている理由は?

 (青空文庫)
掌編。「川の中にいちばん長くはいっていたものに、これ(柿)やるよ」。音次郎君の提案で冷たい川の中に入る久助君たち。兵太郎君が勝つが、体が冷えすぎたため、ぐったりしてしまう。次の日から兵太郎君は学校へ姿を見せなくなった…。「兵タンが死んだげなぞ」。罪悪感、悲しみを克服した少年に訪れた奇跡! 心理描写が秀逸。「久助君もの」の一編。

 (青空文庫)
短編。童話。月夜にお祭りを見に行く子供たち。途中、下駄屋で下駄を買った文六ちゃんだが、「晩げに新しい下駄をおろすものは狐につかれる」という老婆の言葉を思い出し、不安になる。「もし、僕が、ほんとに狐になっちゃったらどうする?」──。子を思う親の愛情、親を思う子の愛情を描く童話。親子とはつまりこういうこと。感銘。

狐のつかい  (青空文庫)
掌編。童話。夜に灯す行燈(あんどん)の油がなくなっているのに気がついた動物たち。でも、猟師と犬がいる村に油を買いに行くのはみんな苦手。「それではわたしがいきましょう」。人間の子供に化けた狐(きつね)が、村へ買いに行くことになったが…。「さてさて。狐をつかいにやるのじゃなかった」──。オチが楽しいほのぼの童話。

久助君の話  (青空文庫)
掌編。ほら吹きでひょうきん者の兵太郎君と遊ぶ久助(きゅうすけ)君。二人でふざけ合っているうちに、兵太郎君が冗談なのか本気なのか分からなくなってしまう…。「わたしがよく知っているのがほんとうのその人なのか、わたしの知らないのがほんとうのその人なのか」──。成長期における少年の心理を描く。成長という名の悲しみ…。「久助君もの」の一編。

去年の木  (青空文庫)
掌編。童話。一本の木と一羽の小鳥とは大の仲良し。しかし、寒い冬が近づいてきたので小鳥は木と別れなければならない。「さよなら。また来年きて、歌をきかせてください」、「え。それまで待っててね」──。春が到来し、小鳥は木のところへ帰って来るが…。様々な犠牲があって我々の生活が成り立っていることを思い知らされる童話。

こぞうさんの おきょう  (青空文庫)
掌編。童話。和尚さんの代わりに檀家へお経を読みに行くことになった小僧さんだが、途中でウサギと遊んでしまい…。「やっ しまった。おきょうを わすれちゃった」──。読むと幸せな気分になれる童話。最近こういうのを読むとすっかり涙腺がゆるくなっちゃって…。「むこうの ほそみち ぼたんが さいた さいた さいた ぼたんが さいた」。

ごん狐(ごんぎつね)』  (青空文庫)
短編。童話。村に出てきて悪戯ばかりしている一人ぼっちのごん狐(ぎつね)。兵十(ひょうじゅう)のうなぎを盗んだごんは、そのうなぎが、死んだ兵十の母が食べるものだったと知り、自分の悪戯を後悔する。自分と同じ一人ぼっちになった兵十のために、毎日、栗や松茸を置いていくごんだが…。報いを受けるラストに涙、涙…。名作童話。

ごんごろ鐘  (青空文庫)
短編。童話。お国のために献納されるごんごろ鐘。爆弾になってしまう鐘との別れを惜しむ村人たち。鐘にお別れし損なった隣村のお爺さんのために、町まで爺さんを連れて行く子供たち。「古いものは新しいものに生まれかわって、はじめて役立つ」──。戦争のために町から鉄が消えてゆくことが二度とないよう願いたい…。

最後の胡弓弾き  (青空文庫)
短編。童話。旧正月になると門付(かどづけ)に出掛ける胡弓弾きの木之助は、味噌屋の主人に大層、気に入られる。時は経ち、年々門付が廃れていく中、木之助は味噌屋を訪れるが…。「世の中が開けるということはどういうつまらぬことだろう」。うら悲しい結末に涙…。同じ文明開化という時代を背景とした「おじいさんのランプ」も必読。

張紅倫  (青空文庫)
掌編。童話。奉天の会戦の数日前、誤って古井戸に落ちてしまった青木少佐は、中国人の少年・張紅倫(ちょうこうりん)に命を助けられる。戦争が終って、日本に帰った少佐は、その後、会社の上役となり、十年ぶりに張紅倫と再会を果たすが…。なぜ彼は「自分は張紅倫ではない」とウソをついたのか?──。とっさの配慮に感心。

手袋を買いに  (青空文庫)
掌編。童話。森に棲む狐(きつね)の親子。子狐の手に霜焼ができないように手袋を買ってやろうと思う母さん狐だが、人間の町へはどうしても足が進まない。仕方なく子狐一人で町まで行かせることに。「このお手々にちょうどいい手袋下さい」。人間に化けた手ではなく、狐のままの手を差し出してしまい…。「はじめてのお使い」キツネ・バージョン。

花のき村と盗人たち  (青空文庫)
短編。童話。花のき村にやって来た五人組の盗人。盗人の頭(かしら)は、昨日まで釜師や大工をしていた弟子たちに、村の様子を見てくるよう命じるが…。「おじさん。この牛、持っていてね」。──人に信用されるというのは、何といううれしいことでありましょう──。防犯の根本とは何かを考えさせられる。大人が読むべき有名童話。

 (青空文庫)
短編。童話。屁の名人である石太郎のことを、屁えこき虫だと言って軽蔑している小学生の春吉君たち。授業中に屁をする石太郎を藤井先生が叱るのもいつもの情景だ。そんなある日、春吉君は授業中に思わず屁をこいてしまって…。「あっ、くさっ」、「だれだっ」──。“屁騒動”がもたらした少年の心境の変化。生きていくための“狡猾”か…(悲)。

 (青空文庫)
掌編。年下の花市君の大きくて柔らかい耳をついつい触ってしまう村の子供たち。しかし、兵隊ごっこをしていたある日、花市君は「いやだよ」と言って、耳を触られるのを拒絶する。このきっぱりしたやり方に感心し、自分も実践したいと考えた久助君だが…。「いやだよ」も「よし、やろう」もつまりは同じこと──。少年の心の中の事件を描いた「久助君もの」の一編。自分も“きっぱり”いきたいなあ。

和太郎さんと牛  (青空文庫)
短編。童話。酔っ払っても、ちゃんと家まで運んでくれるよぼよぼの老牛に感謝している牛飼いの和太郎は、地面にこぼれたお酒を牛になめさせ、喜ばせる。「きょうはおれが世話してやるぞ。きょうこそ、一生に一ぺんのご恩がえしだ」。と言いつつまた泥酔してしまい…。「お嫁さんはいらないが、子どもがほしい」と思っている和太郎にもたらされた僥倖をユーモラスに描く──。「世の中は、りくつどおりにゃいかねえよ。いろいろふしぎなことがあるもんさ」。



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