このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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樋口一葉 (ひぐち・いちよう) 1872〜1896。


大つごもり  (青空文庫)
短編。貸し長屋の家賃収入で潤っている山村の家に下女奉公しているお峯。口うるさい御新造(ごしんぞ)にもめげず、辛抱強く働くお峯にとって、心配なのが伯父の家のこと。両親を亡くしたお峯にとって、伯父の安兵衛夫婦は親も同然で、八歳(やっつ)の三之助も弟のように可愛いのだが、伯父の病気で一家は困窮。借金返済のため、大晦日までにどうしても金二両が必要だと知ったお峯は、御新造に給金の前借を頼むが、無下に拒否される。切羽詰ったお峯は、掛け硯(すずり)の引き出しからお金を盗んでしまう…。

「拝みまする神さま仏さま、私は悪人になりまする、成りたうは無けれど成らねば成りませぬ、罰(ばち)をお当てなさらば私一人、遣(つか)ふても伯父や伯母は知らぬ事なればお免(ゆる)しなさりませ、勿躰(もったい)なけれどこの金ぬすませて下され」

絶体絶命の結末! 山村の放蕩息子・石之助がキーパーソン!──文語体の小説だが、内容がシンプルで長さも短いので、案外とすらすら読める。 →芥川龍之介「南京の基督」。

わかれ道  (青空文庫)
掌編。傘屋の奉公人である少年の吉三。将来を絶望している捨て子の吉三は、針仕事をしているお京の家へ毎晩のように通い、お京を姉のように慕う。十二月三十日の夜、お京から、ある邸(やしき)の妾(めかけ)になるから、もう逢えなくなると聞かされた吉三は…。「ああつまらない面白くない、己(お)れは本当(ほんと)に何と言ふのだらう、いろいろの人がちよつと好い顔を見せて直様(すぐさま)つまらない事に成つてしまふのだ」。女性が一人で生きていくことの困難さと、天涯孤独な少年の悲嘆を描いてぐっとくるものがある。



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