このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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星新一 (ほし・しんいち) 1926〜1997。


悪魔  (新潮文庫「ボッコちゃん」に収録)
掌編。氷が厚く張った湖に穴をあけて釣りを楽しむエヌ氏だが、釣り上げたツボの中から悪魔が出現する。何でもできるという悪魔に、金貨をたくさん出させるが…。「まあ、これぐらいでやめたらどうだ」、「そうおっしゃらずに、もう少し」。際限のない人間の欲を皮肉る。

おーい でてこーい  (新潮文庫「ボッコちゃん」に収録)
掌編。台風で流された社(やしろ)の跡から発見された底なしの穴。「埋めてしまいなさい」。原子炉のカス、省庁の機密書類、元恋人の写真…。格好のゴミ捨て場と化した穴は、都会の住民たちに安心感を与えるが…。「おーい、でてこーい」。大量消費社会への警鐘!

おみやげ  (新潮文庫「ボッコちゃん」に収録)
掌編。人類誕生以前の地球に立ち寄ったフロル星人。将来出現する人類のために、おみやげ(宇宙船の設計図や、若返りの薬の作り方、平和に暮らす方法が書かれた本)を入れたタマゴ型の容器を砂漠に残すが…。愚かなる人類、その愚かさに気づかず…(悲)。

 (新潮文庫「ボッコちゃん」に収録)
掌編。悪魔を捕まえることに成功した共働きの夫婦。「そんなにいじめないで下さい。帰らせて下さい」。悪魔を虐待することで、日頃のストレスを発散させる二人。悪魔のお陰で、夫は昇進を果たし、夫婦仲も良くなるが…。ストレスと加虐性の相関を描いて実に今日的。

危険な年代  (新潮文庫「エヌ氏の遊園地」に収録)
掌編。若者による傷害事件の裁判を傍聴する社会評論家アール氏は、「危険な年代」による犯行に怒りを覚える。「おれじゃない。おれはなにもしていないんだ」。青年の叫びを聞いた彼は、青年の無実を確信するが…。子供を持つ善良な父親たちへの痛烈なる皮肉。

殺し屋ですのよ  (新潮文庫「ボッコちゃん」に収録)
掌編。大会社の経営者・エヌ氏の前に現れた若い女の殺し屋。商売がたきであるG産業の社長を病死させてみせるという。半信半疑で依頼するエヌ氏だが…。「きっとお支払い下さいますわ。あたしの手腕をごらんになれば」。殺し屋の意外な正体と殺害方法が面白い。

生活維持省  (新潮文庫「ボッコちゃん」に収録)
掌編。今日も同僚と一緒に外回りに出かける“生活維持省”の役人の私。「内勤になったら、結婚して、あんな家に住むつもりなんだ」。生存競争と戦争の恐怖のない社会は平穏そのもの、たった一つのことを除いて…。精神的恐怖が味わえるショートショートの傑作。

月の光  (新潮文庫「ボッコちゃん」に収録)
掌編。月の光が流れ込む広い静かな部屋で、最愛のペットである十五歳の少女を飼う紳士。言葉は愛情を薄めると考える彼は、言葉を一切使わずに少女を育て、毎日、甘い夢のような夜を過ごすのだが…。“平和と幸福にあふれた家”の思わぬ崩壊を描いた悲劇。

尾行  (新潮文庫「エヌ氏の遊園地」に収録)
掌編。「事情があって身分はあかせませんが、仕事を依頼したいと思いまして」。身元不詳の男性から、ある若い女を尾行してほしいと依頼された私立探偵のエヌ氏。約束の一週間、旅行に出掛けた女を尾行するが…。女を尾行させる依頼人の意外な目的が面白い。

ボッコちゃん  (新潮文庫「ボッコちゃん」に収録)
掌編。バーのマスターが作った美人ロボット・ボッコちゃん。ホステスとしてすっかり人気者になったボッコちゃんだが、客は誰もロボットとは気づかず、彼女に酒を飲ませる。マスターは彼女の体から回収した酒を客に出すのだが…。傑作ショート・ショート集の表題作。

夕ぐれの車  (新潮文庫「エヌ氏の遊園地」に収録)
短編。身代金目的の誘拐事件を実行する二人組の男(二郎と三郎)だが、間違えて違う家の女の子(アキコちゃん)を誘拐し、車に乗せてしまう。どこの家の子か言わない女の子に振り回される二人だが、女の子が輸血を必要とする病気であることを知り…。「今夜の都会はまるで一つの生物となって、おれたちを迎え、送りかえしたようだ。そんな気がしませんか」──。読後感が快い素敵な再生物語。

ゆきとどいた生活  (新潮文庫「ボッコちゃん」に収録)
掌編。生活の全てがオートメーション化された世界に住む会社員のテール氏。起床、シャワー、朝食を自動的に済ませ、繭の形をした乗り物に自動的に乗って出社する彼だが…。「さあ、きょうもお元気に、いってらっしゃいませ」。機械化の功罪を描いてオモシロ怖い。

夢と対策  (新潮文庫「エヌ氏の遊園地」に収録)
掌編。十三日の金曜日の午後三時に飛行機が墜落するという夢を見た会社員のエヌ氏。飛行機に乗るのを恐れた彼は、急の出張を断り、会社を早退することに。これから出張で飛行機に乗る上役のことを思うと気がとがめる彼だが…。「教訓」付きのオチが面白い。



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