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茨城県道 八溝山公園線(248号線) 
茨城県太子町
2006・2・19 来訪
   

茨城県の最高峰、八溝山。
標高1022mの山頂は福島県との県境であり、東北と関東を隔てる山でもある。
そんな八溝山の山頂へ至る一つの県道がある。
県道248号線、別名『八溝山公園線』
地図には県道28号線から分岐し、黄色に塗られた線が山頂目指して登っていくのだが、
途中で突然、点線表記となり九十九折れらしい曲がりくねった線が1kmほど続いた後、再び黄色い線となる。
一体どういうことか?
道はちゃんと繋がっているのか?
それとも登山道のようなショボ道か、単なる予定線か?

点線県道の正体に迫る!

県道28号線との分岐点。
道の入り口には、『この先、通行止め』と当然のごとく表記されている。
しかし、分岐直前の路面はまるでつい最近舗装されたような綺麗なアスファルト。
まったく、行き止まりピストン道のような感じがしない。
少々落葉が散らばっているがとても状態の良い路面。
まるで新設の道路のよう。
しばらく進むと湧き水がわいている場所があり、ワゴンで来たらしいおばちゃん達が大量に持ってきたポリタンクの中にひたすら水を入れていた。
もしかしたら、この道の利用価値とはこの湧き水にあるのかもしれない。
で、その湧き水ポイントからちょっと進んだら速攻でゲート。
だが、封鎖地点の先はさらに綺麗な舗装路。
いったい、どういう事?
ゲートの脇には2輪車なら何とか抜けられるスペースあり。
そそくさと抜けていく。
当然ながら褒められた行為では無い。
法面はなんも対策がされて無いので崩れまくり。
通っている最中もカラカラ石が落ちてくるのでおっかない。
足早に通り抜ける。
第一ゲートから100mもしない内にまたもやゲートが登場。
そしてゲート直前で舗装はプッツリと切れ、その向こうにはダート道が。
恐らくここからが点線表記区間のスタートだろう。
一見、本格的なゲートだが、やっぱり2輪車分のスペースが開いている。
少々、躊躇するがゲートを突破。
点線県道への挑戦が始まる!

が、最初に言っておくが真っ当な判断が出来る方はこの様な行為は控えて欲しい。
て、いうか程よく後悔しますよ
点線区間序盤の路面は少々荒れてはいるが、それ程問題なく走れる。
正直、ずっとこんな感じだったら楽勝じゃないの?とか内心ほざいていた。
遠くに見える山の上にガードレールが見えた。
ちょっとこの画像だと分からないと思うが、カーソルを画像に乗せて欲しい。
赤線が引いてる部分がそうである。
あそこの部分が県道表記が復帰している部分ではないか?
これから、道は九十九折れを繰り返し、あそこの部分に繋がるのだろう。

意気揚々として先に進むが・・・。
うわァ〜、出ちゃったよ。
ビバ!藪漕ぎコース


意外と路面は安定していて現チャリに乗ったまま進む事が出来るのだが、背の低い木の枝がビシバシ当たってくる。
しかもいつの間にか雨水によって削られた路面の溝にはまって、動けなくなったりする。
何とか無理やり引きずり出して脱出するが、滅茶苦茶体力を消耗する。
路肩が欠落。
しかし、こんな事では驚けない。
むしろ普通。
感覚がイイ感じで壊れてくる。
しかし、ちょっと意外だったのが、ここ一回車道として整備された形跡がある。
ご覧のようにしっかり法面が整備されているし、荒れ果てているが道の構造自体はちゃんと普通車が通れるようになっている。
なにやら問題が発生して放棄され廃道になったって感じだ。
ただし、所々木の幹の赤いビニールテープが巻かれていて、茨城県は復活させる気持ちがあるらしい。
もしかしたら、舗装部分が真新しいのもそこら辺もあるのかも知れない。

そんな事思いつつズタボロの道を進んでいると
うを、これはちょっとキツイよ。

画像ではここの深刻さは伝わらないかも知れないが、削れた段差が30〜40cmぐらいある。
悪いが、この段差を乗ったままクリアーできるテクニックなんてないぞ。
だが出来ようが出来まいが進まん事にはどうしょうも無い。

とりあえず段差に降ろす。
降ろしたら今度は登らせなければならない。
持ち上げてみる。

・・・ぉ、重い・・・!

・・・とてもじゃ無いが人の力ではムリ。

今度はエンジンをかけてやって見る。
アクセルを回し斜面を駆け上がらせる。
轟音が山間に木霊する
前輪が上に乗り上げた!
よし、いける!
後輪も力任せに押し上げ、ほぼ放り投げるような形で段差の上に上がらせた。

つ、つかれた・・・。
悪戦苦闘の果てに段差との戦いに勝利したが、その代償に買ってから2週間しかってない新車(中古だけど)のカブのシールドが少し欠けてしまった。
いつかはなるとは思っていたが、こんなに早く・・・w
この道に入り込んだ自分が悪いのだが。
また、あのような段差が現れないかビクビクしながら、幾つか九十九折れを曲がるとようやく舗装路が見えてきた!
たっ助かったァ〜。
舗装路に進入する手前になんか障害物が設置されているが、こんな物なら楽勝で突破できる。
山頂側ゲート。
一応、工事中との事。
『立ち入り禁止』
そうです。
はいってはいけません。
はいっても何も得しません。
疲れるだけです。

・・・やっと、まともな道が走れる・・・。
って、ナンダヨこれ!
ごっつ凍結してるやんけ。


凍結部分に侵入してもまったく前に進まん!
進むどころ後ろに落ちていく!

マジかよ。

本気で進めないよ。

どうにか雪が溜まってない箇所探して進もうとするが、どこかしら凍っていて滑ってしまう。
あがく。
何度もあがく。
しかし、結局下に滑り落ちる。
しまいにゃ、バイクと一緒に自分自身も転倒して、数メートル滑り落ちていった。
見てください!(見たくないなw)
手はもう擦り傷だらけ。
血がにじみ出る。
どうにもならなくなって来たので、雪で傷を洗い流しながら一回クールダウンしてみる。
転がり込んだカブを眺めつつ、打開策を考える。

路面全面が最早、氷に覆われている。
この上をノーマルタイヤのバイクで進むなんざ不可能。

では、どうすれば・・・。

・・・氷が邪魔なら氷をどかせば良いじゃないか!

背中に背負ったリュックからスコップを取り出す。
比較的道の端は氷が薄い。
そこをスコップで氷を砕き、バイク一台通れるスペースをつくる。

一見チープなアイデアだがやらないよりましだろう。

この場所に着いてからもう30分くらい経っている。
凍結してる部分はたかだが50mあるかないか。
だが、こんなに進むのがシンドイ50mは初めてだ!

だが、進まなくてはならない。
明日は仕事だ。
少なくとも
『廃道に入って帰れなくなっちゃいました〜、てへ☆』
じゃ、いろんな意味で許されんだろう。
第一、こんな所で夜になったら死ぬ。

20分ほど作業して進路スペースを完成させる。
とりあえず倒れたカブを立たせなければならないのだが、これはこれで一苦労。
なんとかカブを立たせ、自分は雪の無いガードレールの外側へ。
ギアをニュートラルにして転がしていく。
氷を砕いたおかげで何とか前に進めるようになった。
しかし、そうでなくても急斜面。
車体が重くてしょうがない。
ちょこっと小石があっただけで前に進めなくなる。
そういう障害物も、どかしながらようやく、ホントにようやく凍結区間を脱出。

路面にへたり込みました。
5分ほど小休止したあと、エンジンを始動させる。
とにかくもうこれ以上障害が無い事を祈る。
この時、もう4時を過ぎていた。
日暮れは近い。
なんかあったら絶望的だ。
山頂側の第一ゲート。
やった。
ここから先は普通に使われている部分。
不通区間からの脱出に成功。
もう、残雪やら崩落やらに怯えなくてすむ。
心理的にも、体力的にもへろへろになりながら山頂へ向かう
山頂に到着。
駐車場に車が止まっているのを見て人の手が及んでいる世界に帰ってきたことを実感。
自然もいいが、やはり『文明』のある空間の方が落ち着く。
でも、また日常に帰ると『山に入りて〜』とか思ったりするんだろうな。

死なない程度、自分の実力にあった行動をしましょう。


特別ふろく
八溝山公園線」
のルートが良く分かる動画

動画作成 パヤパヤ氏

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