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国道128号線
行合隧道


千葉県勝浦市
平成21年12月30日 来訪




やられた。


2009年12月某日、自分はとあるサイトを閲覧していて愕然とした。
呻き、悶え、そして自らの慧眼の無さを呪った。

自分が最早此処には旧道は無いだろうと思った所に旧道があった。
しかもそこには・・・
特Aクラスの極上レア隧道が眠っていた。

痛恨。

過ぎてしまった事は致し方が無い。
しかし、この「お宝」を是非とも拝んでみたい。

そして年の瀬迫る12月30日。
2009年最後の探索にこの『旧・行合隧道』へと向かった






今回のブツの周辺図

地図で確認すると北側にR128バイパス、真ん中に外房線、そして南側に非バイパスR128が並んでいる
非バイパスの方には2本の隧道が並んでおり上が表題の『行合隧道』、下が『浜行川隧道』となっている。
正直、自分はこの2本の隧道が元々明治隧道であり、戦後まもなく改修されコンクリ隧道になったものだと思っていた。
この推測は半分は間違っていなかった。
だがもう半分は多いに間違っていた。


















現道の行合隧道(北側)。
山形の廃道 」様の 隧道リスト によると昭和28年製となっている。
実際一見の見た目も典型的な戦後コンクリトンネルであり、これといった特徴は見受けられない。

だがそれ故に安易に古隧道改良の物件などと思い込むべきではなかったのだ。



















隧道手前。
鉄パイプの柵に遮られた草生した道。
これより以前に来たときもこの柵の道には気付いていたが、どうせ廃施設の通路だろうとそのまま通り過ぎてしまっていた。

オブ的に大失態である。

とは言え、もし此処に入り込んでいたとしても『ブツ』にたどり着けたかどうかは微妙だが・・・。

















とても現国道の旧道とは思えない道。
もっとも現道が昭和28年完成と既に半世紀以上経っている訳で、旧道もそれだけの期間放置されている訳だ。
ただし、一時的にバイパス工事の際に作業用の通路に使用されていたそうだ。



















200m程で草原の広場に出る。
おそらく此処が工事の時の資材置き場になっていたのだろう。
木々の合間に見える電柱の所にバイパスが通っている。

一見すると此処で終点の用に見え、おそらく何も知らずに来ていたら間違いなく引き返していたに違いない。

だが、画像左側の林の中に明治に開鑿された道が残されているのである



























しかし、その付け根はこの有様。
流水に削られた深いクレパス。
車道の体をなしていない。
























このクレパスの先へ進む為に格闘する事、2時間。
クレパスに思いっきり嵌ったり、
迂回して斜面を登ろうとしたら途中で失速してそのまま転げ落ちたり。
10回以上のトライ&トライを繰り返して、
最終的に斜面に引っかかったせろーさんを引っ張り上げて攻略。

ちなみに徒歩なら数秒で通過できます。

そんな無駄の努力にも答えてくれる素晴らしい景色が、クレパス向こうにはあった。





現世の汚濁から切り離された神聖な世界。
あのクレパスは此処を守る結界だったのか?
杉並木が忘却の遺産へと誘っていく。







またしても広場。
だが先ほどの工事用広場とは違いもっと古い時代のものだ。

バイクのエンジンを切る
山の懐奥、外界の音は遮られ余りに静か。
時折、風に揺られ木々がきしむ音が鳴り響く。

火照った体が一気に冷えていく。
静寂過ぎて少し怖い

広場中央に立ち辺りを見回す。
左手奥に窪んだ地形を見つける。









最初見たとき、一瞬自然地形かと思った。
だが、その奥に不自然な『黒さ』がある事に気付く。






崩れ埋もれ行く切り通しに隠れるように、それはあった。
初代・行合隧道。
評価される事無く眠り続けていた明治の遺産。




続く



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