室戸台風

瀬田川で列車が横転した室戸台風のお話です。滋賀県災害史からの引用です。
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昭和9年9月21日、室戸台風による暴風雨が滋賀県内をも襲いました。
湖南草津地方では20日夜半過ぎより南東の風が激しくなり、21日午前2時頃
早くも暴風雨を観測し、県下全般の暴風の始まりは21日午前2時〜4時の間、
もっとも強かったのは午前8時〜9時の間、11時に至りようやく風勢弱まり、
午後に至って殆ど止んだ。
彦根では最低気圧967.0hp(21日08時40分)、最大風速31.2m/s(21日09時20分)、
最大瞬間風速39.2m/s(21日09時10分)
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と記載されています。

有名な瀬田川事故

午前8時30分頃、瀬田川鉄橋上において、東京発神戸行き下り急行7レ
(機関車C5373、11両編成)が進行中突如強風のため、3両目以下9両の客車が
上り線路上に横転し、死者11人、重傷者27人、軽傷者142人を出した。
とあります。

写真:琵琶湖博物館のHP、 湖と人のくらし写真アルバムのものを使わせていただきました。
http://www2.lbm.go.jp/scripts/STrieve.exe?USER=GUEST&PW=GUEST  

実は野洲川でも

さて、瀬田川での転覆事故は死者が出たこともあり一般に比較的広く知られるところとなりましたが、
同じ日に野洲川橋梁でも貨物列車が脱線しているのです。中公新書「駅の社会史」(原田勝正著)に
以下のような記載がありました。
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野洲−守山間野洲川橋梁上で貨物第281列車の貨車17両目、18両目が脱線、19両目以降11両が
転覆、内7両が転落、30両目〜40両目は無事、最後部5両が脱線という被害を出した。
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また、滋賀県災害史によるとこの事故は8時18分頃とのことですので、
瀬田川事故の直前に起きていることになります。
瀬田川では客車が転落せず、大事に至りませんでしたが、野洲川では貨車が転落しています。
貨車故、負傷者が出なかったのが幸いということでしょうか?結果あまり後世に伝えられていません。
 

 さらに高槻−摂津富田間でも

山之内秀一郎さんの書かれた、「なぜ起こる鉄道事故」のなかに、「同じころ、東海道本線の高槻と
摂津富田の間でも別の旅客列車が転覆している」との記載があります。そこで文献をあさると、
「国有鉄道重大事故記録」に事故記録が見つかりました。同じ昭和9年9月21日、午前8時15分ころ、
旅客1307列車(現車6両、換算21両、機関車C51277)が、549k300付近にて摂津富田駅場内信号の
消灯のため停止していたところ、後部より客車3両が右側に脱線転覆した、という事故だったものです。
これにより、乗客11名と職員2名が負傷しています。このとき、摂津富田駅の転轍詰所が吹き倒され、
電線は切れ、そのため信号が消灯していたとのことです。

いまでこそ、回りには工場や人家が建ち並んでいますが、このころは築堤上の吹きさらしだったのでしょうね。
まぁ、人的被害がまだ少ないだけよかったです。ちなみに、翌日午前0時20分開通とのことです。

また、上記「駅の社会史」には
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吹田操車場では到着停車していた第73列車(現車73両)が風圧で逆行し、後部3両が転覆、
続く2両が脱線した。ここではほかにも風圧で流され、他の貨車に衝突するなどの被害を生じた。
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とあります。

ちなみに、この台風、神戸−須磨電化開業の当日にやってきたのですね。

みなさんに中で情報がありましたら是非お知らせください。

初稿2003年10月10日
加筆2003年12月13日
   2004年 2月12日
   2004年2月21日
   2004年5月24日

 


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