このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

第53回 宮崎県畜産共進会
《肉用牛・枝肉の部(予選)》

(05.09.04)
宮崎県の畜産の祭典、「宮崎県畜産共進会」は、家畜の改良進度の確認と飼養管理技術の向上を図るとともに、一般消費者の畜産に対する理解を深めてもらうことを目的に、昭和24年から隔年毎に開催されている。

平成17年度に開催される第53回大会は10月上旬に都城市のJA都城家畜市場で“種畜部門”が、追って10月下旬には高崎町の(株)ミヤチク高崎工場において“肉牛枝肉部門”が開催される。
ちょうど今の季節。県内の各地区ではこの“県共”に向けての予選が開催されている時期である。児湯地区をみてみると、この8月23日には《種畜部門》の予選が開催されている(その様子は 前回 を参照願いたい)。その3日後の8月26日。予選会場となる 児湯郡市畜産農業協同組合連合会(児湯畜連) には早朝より畜連管内から牛たちがトラックに揺れて集まってきた。

この予選に先立って、あらかじめ各肥育農家に県共候補牛を選定してもらい、肥育の状況、体重、加えてスキャニング(後述しますので、ちょっと待ってね)を実施した上で上位牛を選抜している。対象の32戸の農家の段階で140頭の牛がいたのが、予選に出場できた牛が52頭。これらエントリーした牛のうち、何らかの事情によって9頭が欠場した。
予選に出場したからと行って全ての牛が県共への出品資格を得るわけではない。

やはり地域の畜産技術の比較を行うという意味合い、商品としての斉一生といった事からとは思うが、「規格」というか「制限」なるものがつきまとう。

予選出場の全頭を対象にまず、体重測定が行われる。
雌牛600〜790kg、去勢牛650〜790kgと、厳しく体重制限が設けられており、これを1kgオーバーしても、ロスしても失格となるのだ。せっかくここまで手入れをして、しっかり食い込ませた牛でも関係ないのです。

この日、体重オーバーで2頭、ロスで3頭の計5頭が失格となった。よって、予選は38頭で行われることとなる。
というわけで、スキャニングとなる。このスキャニングとはなんぞや・・・という話になるのであるが、わかりやすく言えば、産科にあるようなエコーのような機械である。

これを実際に牛の体に当てて、ちゃぁんとサシが入っている“
傾向”がみられるか客観的に確認するのだ。
さて、出品牛の画像を見てもらおうか。ちょうど前肢のすぐ後が何だかテカっていますね。

肋骨で言うと、ちょうど第6〜7肋間でして、測定がしやすいようにサラダ油をドボドボとかけてブラシでならしていきます。この時期の肥育牛はだいぶん“枯れて”きていますから、ブラシをかける度にふけや毛の固まりがぼろぼろと落ちる。念入りにブラッシングをかけて機械を当てることになる。
スキャニングのセンサーは背部から腹部にかけて。

その傍らでモニターを見ながら測定部位の確認とプリントを同時並行で行う。ちなみに測定を担当するのは宮崎県家畜改良事業団の技術員さんだ。
モニターの画像はこの項のtopの様な塩梅なのだが、画面が真っ白になった方が筋間脂肪(つまりサシ)が入っている傾向なんだとか。とは言え、端から見ているだけでは分からない。みんな一緒に見えるのですが・・・。

やはり経験が物を言うのでしょうね。
前頭スキャニングが終了すると、それぞれを比較し、脂肪交雑がより入っていると推測される個体を選出していく。この時、県共の規則で1農家1頭という出品の決まり事があることから、予選に複数の出場がある農家については事前に比較を行って、より良いと思われる個体に絞り込んでいくこととなる。

ただこの方法を用いても、例えばA牛とB牛がいたとして、測定値が全くの同一となってしまった時には従来の成体審査で詳しく判断するしかない。今回もスキャニングの結果が同等・・・となってしまい、2頭を実際に並べて比較をすることとなった。
肩の肉の乗り、脂肪の具合、全体的な外貌のバランス・・・。このような部分をみているのだろうが、やはり経験を積まないと見えない部分(=枝肉の内容)の判断は難しい。素人の私には、ただぱっと見で「こっちが良いかな・・・。」などと無責任なことを考えてしまう(口には出しませんけどね)。このようにして技術員による比較審査により残る1頭も無事選出された。

このようにして児湯郡からの県共出品牛15頭が選出(併せて補欠牛2頭も選出されている)。10月下旬に開催される本線に備えるのである。
>Index

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください