このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

第55回 宮崎県畜産共進会
《種畜の部》

(09.10.28)
平成21年10月2日〜3日。

宮崎県小林市にある 小林地域家畜市場 において、2年に1回開催の宮崎県畜産の祭典“宮崎県畜産共進会”が開催された。

県の畜産共進会の意義としては、(これまで何度か触れたとは思うが)何と言っても地域間での家畜の改良速度を競い合うということであろう。よりよい遺伝形質を保有する家畜を地域に残し、子畜を生産し、より高い価格でそれを販売する。結果として生産農家の所得向上にもつながるし、地域の家畜市場からその地元の浮揚がはかられる・・・。

そういった意味以外にも、文字通り“おまつり”という側面も持っている。集落の家畜が地域の代表として出場する。団結して出場する家畜と生産した農家をバックアップし、審査の結果に一喜一憂する・・・。今は飼料などの生産費の増大に加えて、景気後退による畜産物の消費低迷・・・と暗い話ばかりが業界を取り巻いている。その沈みそうになる気持ちなど吹き飛ばしてしまうような“ハレ”の日だ。

そのようなめでたい日の様子を今回も紹介したいと思う。本当は2日間全ての様子を・・・という気持ちであったのだが、都合があって会場の様子を紹介できたのは10月2日のみだったりするので、そこらへんはお許し下さい。
初日は肉用牛種畜および乳用種ともに、体の各部の測尺と予選審査が行われる。

当日は早い人だと夜も明けきらない内から準備をするのであるが、残念ながらこの日は雨となってしまった。

牛や人は家畜市場の屋根のある待機場で過ごせばよいのだが、できれば天気であってほしかった。
私が現地に到着したのは開会式が始まる直前だったのだが、家畜市場の入り口では搬入されてきた乳牛達が水でキレイに洗われているところであった。

和牛の方はじきに審査が始まるため、応援のために集まった人たちが必死に“湯拭き”(熱湯で絞ったタオルで牛の体を拭き上げる)を行っている。角を磨き、蹄を磨き・・・、いつ審査が始まっても良いように臨戦態勢である。
開会式の時間も迫る。

会場のどこそこで各地域の代表である出品者、JA、市町村といった関係機関による円陣が組まれていた。

JAの組合長さん、市町村の畜産担当の課長さん・・・といった方々からの激励。“地域挙げて”・・・というのがおわかりいただけようか。
この項のtopの画像は開会式の様子だ。

先の衆議院選挙の結果によって宮崎を取り巻く状況も変わりつつあるが、当選間もない川村議員をはじめ、松下議員も開会式に出席されていた。地方の声を中央に・・・。よく聞くフレーズであるが、宮崎が流れの中に埋没していかないよう、大きな声でもって宮崎の人々が何を求めているのか主張して行っていただきたいと思う。

そうそう。開会式の中で、県の畜産に貢献した人を表彰するのだが、表彰される方々の中に見覚えがある方がいらっしゃった。学生の頃、講義を受けたことのある福原利一先生である。私が大学3年の時に宮崎大学を退官し、全国和牛登録協会の会長を務められていた。家畜育種学の権威で、種雄牛の造成といった和牛改良について習ったのだが、育種価(個体の持つ形質の遺伝情報を数値化する)の算出式が難しかったなぁ・・・。
審査会場では出場牛の測尺が進んでいる。

月齢、日齢と比較して測定値(=発育)が小さければ格付けは自ずと小さくなる。だからといって大きすぎるのも問題であり、やはり審査の際の優劣に関わってくる。

最近の牛は大型化の傾向があるので、なかなか厳しいなぁ・・・と感じる部分もあるかと思う。とはいっても、和牛というのは日本固有の家畜の一つ。知的財産として保護していく・・・と国も検討を始めたという報道を少し前に聞いたことがあるが、“和牛らしさ”ということを重視した場合には仕方が無いことなのかも知れない。
待機場の様子。

自分の地域から出た牛の応援に駆けつけた人、県内から選抜されてきた優秀な牛を一目見に来た人、畜産に関係するJA、行政機関・・・といった人々。

通路には出場牛がこの待機場で快適に過ごせるように・・・と持ってきた資材も置かれており、ただでさえ狭い通路がまともに往来もできないくらいの人だかりになっていた。
一方、乳牛の方はというと、体を洗い終えた牛から待機場に用意された乾草のベッドに横たわっている。

測尺まで時間があるためにこのようなのんびりした状況なのだが、審査前は一変して慌ただしくなる。櫛とドライヤーを持ち、背中の毛を手入れする真剣な生産者の顔をいつか紹介したことがあると思う。

仕事の関係もあり、上記の如く全日程を通じて会場にいることができなかったので、乳用種の部の審査風景はないのです。

本当に申し訳ないです。
次へ行く

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください