このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

ゴールデンウイークという騒がしい季節にもかかわらず、なんと宿が二晩取れてしまった。旅館は当然取れるわけがないので(金額的にも)、ビジネスホテルである。それでも車の硬いシートで眠ることはなくなったのだから、何かと大事な時期の妻を抱える身としては安心である。

今年のゴールデンウイークは天気が悪いようだ。大雨も報じられている。雨に煙る湯布院というのも風情のある物かも知れない。スモークブルーの町の景色。天気が悪いから観光客も少ないか。となると“下ん湯”にもゆっくりつかれるのではないだろうか・・・。色々な思惑が頭を巡り、由布岳が迫る盆地への思いは膨らむばかりである。

5月3日。宮崎平野の空は安定しない。今にも泣き出しそうな空だったが、荷物をミニカSR-Zに放り込んで出発した。宮崎市から西都市、木城と経て日向市へと抜ける農免道路へ向かう。渋滞するであろう10号線を避ける為だ。順調に木城町、川南町、そして都農町の山間部を抜けた。湿度が高いせいか、新緑は落ち着いた色合いを見せて余計に初夏という季節を感じさせる。斜面にはコデマリの白い花。紫陽花の季節はまだのようだ。

南日向駅の脇から10号線へ出て、延岡のエネオスで給油。ここで右後輪のパンクが発覚した。見ると溝の所、見事に釘が刺さっている。パンク修理を待っている間、待合室でブリジストンのカタログを眺めていた。1500円の授業料。初っぱなから痛い出費だが、タイヤを交換するよりはましだ。

その後は国道326号線の三重町付近で事故渋滞に巻き込まれながらも、無事に南由布駅大分方の踏み切りを渡った。雲に隠れているが、由布岳が出迎えてくれる。
プロローグ
あこがれの“あーでん”へ。
何年も行こうと思っても行けなかったお店があった。その一つが“あーでん”という名前の音楽喫茶である。

オーナーの大谷祐香さんが撮られる写真の雰囲気が好きというのもあるが、店内にある“パラゴン”というスピーカーの現物を見てみたかったのもある。
湯布院町の中心部から郊外の川北地区へ。GWということもあり駐車に困ったが、靴を脱いで、さすがに2階の席でコーヒーをすすると落ち着く。1階を見下ろすと部屋の一番奥でごろりと寝転がっているのがJBLの特大スピーカー“パラゴン”。音響機器に全く興味がないので、それがどんな物なのか全く知らないのだが、ちまたでの取引価格を聞いてビックリこいた。車が買える。BMWも中古で十分に買えるかも知れない・・・。画像をお見せしたいが、ブレブレでとてもお見せできる代物ではない。だけんど、深い海へ沈んでしまうような、引き込まれる音を鳴らしていました。
頼んだのはシフォンケーキである。あまりこの手のスイーツというのは得意ではないのだが、スポンジとしか形容する言葉が見つからず美味かった。この時期はイチゴのコンポートであったが、季節によってこの取り合わせは変わるようである。
この日は少し散策した後、湯布院駅へ行ってみた。ちょうど博多行きの特急“ゆふDX”が入線したところだ。古代漆という鉄道の外装色には似つかわしくないその赤色は、丸みのあるキハ183系の車体をよりなまめかしく見せていた。ホームの白熱灯とも合うようである。
宿はいつもの“森のプチホテル 北由布”である。そろそろビジネスホテル泊まりも卒業したいが、先立つものが無いので仕方ない。近くの河原精肉店で“唐揚げ”を買った後、ダイエーで白飯を買う。質素な夕食だ。
下ん湯にて・・・
やっぱり湯布院といえば温泉である。人が多いことを覚悟しながら一人近隣湖畔の下ん湯へ向かった。昼間は入りにくいこの共同湯だが、夜は堂々入れる。混浴であるから少しは期待したが、例に漏れず撃沈。岡山から来て三重町へと向かうという外国の方と話したが、湯布院に暮らしたこともあるその御仁は、急に賑やかになったこの町の変化に戸惑われていた。

外湯は熱すぎて出たり入ったりの繰り返しであったが、内湯はちょうど良い湯温だ。一体なんだろうか。公衆浴場という場で頭を丸めている高校生3人組が居た。こんな所でする行為か?とあきれたが、そんなことをする理由は何なのだろう。お寺の関係者というわけでもないらしい。風情とかけ離れた違和感。逆に興味深く眺めていたのであった。

それよりも関西出身のツーリング御一行様には参った。かけ湯が人にかかっているのに謝ろうともせず、下ん湯付近を塒としているがちょうを追い回した。関西人がいるとどんな場所でも関西になってしまう。それほどの強烈な個性。
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由布院行 二○○四年初夏
(04.05.21)

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