このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

例によって湯の坪界隈を散策するのであるが、風景の移ろいの急さにドギマギしまう。

前回の湯布院訪問の際にあったはずの店舗が消えている、そして別の店舗がそこに入ろうとしている。その様子以上に、日帰り観光客の多さにビックリしてしまったのだった。

毎度思うのだが、祝祭日の湯布院のエネルギッシュな光景には圧倒されっぱなしだ。最近は韓国や中国、台湾と言った近隣諸国からの団体客の姿も目立つようになってきたから、私としてはますます訳が分からない。もっとゆっくり散策を愉しめばいいのに・・・。限られた時間の中で土産店のはしごの数を競うような観光地が今の湯布院を代表する顔となっている。土産を買うことは確かに楽しい。だけど、せっかく美しい季節に湯布院の散策を愉しんでいるのだから・・・。

そのうちに雨が強くなってきたので、宿に行くこととした。
チェックインを済まし、部屋に案内していただいた。

今回の宿は“ 御宿 なか屋 ”さんである。

ここをチョイスしたのは、単純にHPに載せられていた料理の画像が美味そうだったから。そして、前にも書いたが宿の位置するロケーションも大きい。
早朝、カメラを持ってごそごそする私にとって、湯の坪のど真ん中というのは非常にありがたい。金鱗湖まで歩くのにも近いし、旅館“ 玉の湯 ”さんは目と鼻の先である。

しかも、部屋数は7室と少ない。最近改装をされたのであろう。床はピカピカであるし、宿全体に開放的で明るく、そして緊張感がある。2階廊下の窓一杯に隣の敷地に植えられた紅葉で朱に染まっているような状況であった。温泉は男女ごとの内湯と露天風呂。家族風呂も一つある。この盤、眠る前にゆっくりと浸かってみたが、やはり落ち着く。思わずため息をついてしまった。

・・・外はまだ雨が降り続いていて、本来なら部屋の窓から見えるであろう由布岳も雲に隠れたまま。やることもないし、長男が見ていたNHK教育の幼児番組をこたつに潜って見ていたら、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。

夕食の電話の呼び出し音で目が覚めた。
夕食。

何というか、大変盛りだくさんでございました。

鯛、鰤のお造りから始まり、なめらかさが一品のごま豆腐、鱧の椀・・・。

このかぶら蒸しの厚揚げのあんかけもうまかった。
休む間もなく料理が運ばれてくる。

味付けはどれも上品。どれもできたてほかほかで食べられるのが嬉しい。
「また牛肉を食べるのか!!」などと怒られそうであるが、豊後牛の小さなステーキである。

ちょこんとマスタードを肉の上に置いてやって、細切りのネギと共に口の中に放り込む・・・。

いかん、腹が減って来た。
この後、天ぷら、白飯、赤だしのみそ汁・・・と続くのであるが、調子をこいておかわりなどする物なのだから、後々になって体重計の値が心配になってしまう。

・・・翌朝もメニューはてんこ盛り。でも、結局ご飯茶碗3杯も食べてしまった人間の言うことではないですね。
夕食後、食べ過ぎたなぁ・・・と反省し、“玉の湯”まで行ってみることとした。

そういえば、今まで湯布院では夜らしい写真を撮影したことがない。いつも歩きながらパチリパチリ・・・と節操なく撮影するスタイルなので、三脚を普段持ち歩く習慣がない事による。セッティングが面倒くさいというのは単なる言い訳。なかなか腰を落ち着けてじっくり撮影できないと言うのは反省すべき点だろうか。

今回は事前に三脚を積み込んでいたのでちょっと心を入れ替えてみようと思った。

それにしても、昼間とは全く違う表情を見せるのだなぁ・・・。喫茶の明かりは優しくガラスの外に広がっていて、中庭の草木はスポットライトで真っ暗な空に浮かび上がっている。

時折、宿の方がリネンのワゴンを押して通られるのだが、宿泊者でも無い私にその都度挨拶をしてくださった。中には、「そこからじゃいい絵にならんでしょうから、(ロビーの)中に入られんですか?」と言ってくださる方もいらっしゃった。ただ、それは余りにも厚かましく思えたので、丁重にお断りさせて頂いたところである。
翌朝、明るくなると同時に“ 亀の井別荘 ”の方面へ散策に出ることにした。

昨年 はひんやりとした朝霧の深い朝であったが、今年はしとしとと雨が降っている。

少々残念にも思えるが、何も朝霧だけが盆地の晩秋の朝景色というわけでもないから、これはこれで良いのかも知れない。
亀の井別荘にはこの後、湯布院を離れる際にも寄っている。職場への土産に“赤司菓子舗”のそば饅頭を買って帰りたかったからだ。売店“鍵屋”では、骨董の販売スペースが新たに設けられていて、(ウン万円もするが)古伊万里などに目がいってしまう。オリジナルのゆず胡椒を購入することも考えていたのだが、残念ながら在庫切れ・・・。がっかりするも、おはぎの甘さにはたまらなくうっとりしたのだが。

亀の井別荘から金鱗湖畔を歩き、天祖神社まで。対岸の“マルク・シャガール ゆふいん金鱗湖美術館”の付近にはたくさんのアマチュアカメラマンが立っていたが、不思議とそのがやがやとした様子は渡ってこない。

天祖神社の境内に落ちた銀杏の葉の上を歩き、下ん湯(ここもしばらく来ていないな)の前を通って、宿へと戻った。ちょうど朝食の時間であった。

食堂の窓を見ながらみそ汁をすする。結局、由布岳を見ることはできなかったな。晴れればトロッコ列車“TORO-Q”の撮影もしたかったのだが・・・。

色々とやり残したことがあった2006年晩秋の湯布院であった。
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