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湯布院行 「2007年 晩秋」
なんだか、おかしな気候の1年であったなぁ・・・。

ここ数年、頭の中をよぎるフレーズであるのだが、今年は本当におかしかったと思う。夏が終わっても、いつまでもダラダラダラ・・・と暑い日が続いたし、そうかと思えばいきなり秋がやってきた。全国的にも冷え込み、私の職場でも急な気候の変動に絶えきれず、風邪が流行ったりもした。

山々へと目を向けると、山頂から裾野へと一気に朱や黄色の風が駆け下りてくる。久住などの紅葉の盛りが各種媒体で報じられる様になったのが11月の第2週のことだ。

今年の湯布院行は例年通り、11月のお彼岸を挟んだ連休を計画しており、22日は仕事を休まなければならなくなったが、しっかりと湯の坪のど真ん中に宿を確保する事が出来た。

私が金鱗湖畔に立つ頃にはもう紅葉も終わっているのかも知れない。ちょっと寂しい気持ちにもなったが、ともかく、11月22日。湯布院へと車を走らせた。ちょっと寝坊したが、順調に距離を稼げば昼過ぎには到着するはずである。

昼食はもう目星を付けているのだ。以前からアプローチをしてみたかったあの名宿でである。
由布院 山荘無量塔 ”。

由布院温泉における旅館の“御三家”の一つであり、名声は今や盆地を取り囲む山々を飛び越えて、世界へ(御三家の残る2つは亀の井別荘、そして玉の湯である)。

由布院盆地から鶴見岳へと上がっていく山の斜面。

この旅館は色づいた櫟の林の中にある。宿と宿の関連施設はこの林の中に点在し、ある意味独特の世界を構成している。

年々顧客のニーズに応える形で部屋数は増えているが、それでも全ての部屋が“離れ”。私ら家族にはおいそれと宿泊できる値段ではない。
いつかは・・・。」と、最高のもてなしというものにあこがれるのだが、とりあえずは気軽に体験できる方法をお知らせしよう。

artegio dining』。

旅館に併設されたミュージアム“ 由布院 空想の森 アルテジオ ”内にあるイタリアンレストランで、食材には地元由布院の農産物をはじめ、大分県内の“地”の物をふんだんに取り入れている。ちゃんとコースを味わおうと思えば結構な勇気がいるのであるが、アラカルトであれば安心。意外とリーズナブルにこの宿の魅力を感じる事ができるのだ。
由布院野菜18種類のサラダ”。

大根、菊、ゴーヤ、人参・・・。真っ白な大皿に野菜が盛られて運ばれてきた。本当に18種類を数えたくなってしまう。

ゼラチンで固められたドレッシングは控えめで、野菜の風味、食感が感じられて食事も楽しい。
1日限定15食という“豊のしゃもと久住高原卵の親子丼”にもありつける事が出来た。

卵とろっとろ。鶏肉は炭火であぶってあるのか香ばしい。しかも単なる親子丼というわけではなく、砂肝、レバーと鶏肉フルコースが味わえる一品だ。

くっそー。すごく美味い!
我が妻は“本日のパスタ”を注文したのだが、これが鯛を使用したトマトソース系のもの。ちょいと味見させて頂いたが、鯛のあっさりとした風味に唸ってしまった。

お店の様子などは他のお客さんの邪魔をしては悪いので残念ながら撮影はしていない。あえて言うのであれば、なんというか自然と背筋がピンと伸びてしまう感じだ。それでいて変に押しつけがましい事はなく、疲れるような事もなかった。

料理は当然ながらおいしかった。さすが・・・と思ったのであるが、当方子連れにも関わらず、丁寧な接客をして頂いたスタッフに心から何より感謝したいのです。
昼食後。

宿のチェックインまで時間があった事もあり、腹ごなしもかねて金鱗湖の界隈を散策する事とした。

平日だというのに結構な観光客が道を歩いているのだが、週末のような殺伐さは人々の顔からは感じられない。

何というか、街の外からの資本流入によって、ここ数年の湯布院は盆地が目指した滞在型の観光地から散策型のそれへと完全に変貌してしまった。以前は旅館や土産物屋が街並みの中に溶け込んでいる感じであったが、ここのところは“観”と“住”の境目が完全に分けられてしまっている。この是非については、私としては判断しかねる部分ではあるのだが・・・。
湯の坪街道の中程に昔ながらの商店があるのだが、私はこの店先を観察するのが毎度楽しみでならない。

今年はラ・フランスと大きなしめじが並べられていて、妙に顔がにやけてしまったのだ。

ここで柚子胡椒を購入したのだが、現在、鍋やみそ汁の薬味に大活躍中でございます。
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ここで、ちょっと気になる土産物を紹介。

大分県内の清酒のミニチュアボトルである。『一の井手」、「八鹿」、「亀の井」とお馴染みの銘柄が並ぶが、こういった商品展開を考えた人ってかなり素晴らしいと思う。

数多ある土地酒を味わおうと思っても、味わった事のない銘柄を1升瓶で購入するのは気が引ける。安価で様々な土地の酒を愉しむ事ができる手軽さ、銘柄によってはかわいらしいカップのデザイン・・・という点で少し前にカップ酒ブームが興ったが、その延長線上にあるといえる。これって、いいなぁ・・・。

で、あとは湯布院焼酎蔵で庄内の 麻生本店 の粕取り焼酎を見つけた。20年以上前に、“
笑顔”という名前で発売されていた焼酎だろうが、思わぬ形で出会ってしまった。意地汚く試飲をさせてもらったが、古酒ならではの滑らかさ、粕取りならではのコクのある風味が堪らなくうまかった。
(09.05.10)

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