このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

今回の宿は 以前 利用したこのとのある“ いよとみ荘 ”である。

今回は予約のタイミングの悪さから座敷の部屋が取れなかったのだが、連休に宿が取れるだけでもありがたい。

低料金、だが料理の宿。夕食はボリュームたっぷりの地鶏鍋のコース。観光の中心である湯の坪からは離れているが、近くには興禅院があり、菊池寛の小説『恩讐の彼方に』の主人公のモデルとなった禅海が修行を行った寺である。また、由布岳をご神体として祀る宇奈岐姫(うなぐひめ)神社も近い。コストパフォーマンスが非常に高い宿である。
正しく地鶏鍋で雑炊な図。

いつの間にか雨が降り出したようだが、寒い夜に至福を感じる盛りだくさんの夕食。

低料金ながら非常にボリュームのある夕食には毎度ながら非常に満足であった。
熱い温泉に入り、体が冷めないうちに布団へと潜る。昼間、結構歩いたので寝付くのに時間はかからなかった。

・・・部屋が久大本線の近くであったので早朝の列車が通過する音で目が覚めた。雨は小降りになったがまだ降っているようだ。

少し躊躇したが、カメラを持って出かけることにする。
しばらく来ていなかった大杵社へと行くことにした。

宇奈岐姫神社の末社であり、農業神の椎根津彦命を祭神として祀る古い神社だ。

旅館から坂の続く路地をあがりきる。鳥居へと続く急な坂を息を切らせながら歩いていると銀杏の香りが鼻をついた。

足下には黄色い葉と潰れた銀杏の果肉があった。
運動不足を痛感しながらの登坂。やっと本殿の前に立った。

参拝をすませ、樹齢千年とも言われる大杉を見上げる。社殿の脇そびえるこの杉は国の天然記念物にも指定されており、幹の内部は腐食で大きな空洞になっているという。かつてこの空洞で失火があり、幹の内部が焼けたというが、これが言い方向に働き、樹勢がより盛んになったそうだ。

屋久の縄文杉をはじめ、国内だけでなく世界中に大木が残る杉の生命力の強さがうかがい知れる逸話である。
撮り方が未熟なのでその巨大さがあまり伝わらないと思う。

当然ながら境内には人影もなく、暖色といえば拝殿の階段を照らす白色電球だけ。あとは深緑の世界。

境内を覆うように茂る木々の枝からは時折雨滴が落ちてくる。スズメやヒヨドリといった里の鳥の声が聞こえてもいいのだろうが、ほかに何も聞こえない。しとしとしと・・・と不規則な静かな音はその静寂をより引き立たせた。

再度拝殿にお礼を申し上げ、苔むした階段を下りる。神社の界隈の狭い路地から望む由布岳の姿が好きであったが、この天候では山頂は見えなかった。
地元の社交場でもある石松温泉(加勢の湯)は大杵社の入り口にある。

透明な湯をためているというこの風情ある湯につかるのが夢であったりするのだが、残念ながらなかなかチャンスが無かったり。

何枚か角度を変えながらシャッターを切ったが、気がつくと朝食の時間になろうとしていた。雨もちょっと強くなってきたし、風邪をひかないうちに戻ろうとするかね。

それにしても、盆地は毎年毎年あわただしくなっていくが、このようなしっとりとした風景をいつまで見ることが出来るのだろうか・・・。
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