サイガ=レオ…山上が知り得る限り彼は最強のオルフェノクだった。 レオが最初にスマートブレインに現れた時、彼は前・村上社長を抹殺するために送り込まれた 敵対勢力の刺客であった。 山上が本社の緊急出動命令に従い、デルタギアを装着し部下を引き連れ本社に駆け付けた時には すでにレオと社長は交戦状態であった。 社長室に山上たちが突入したころにはもう決着がついていた。 首だけになり、それでもかすかに息を続ける村上社長とその社長の攻撃 (ローズオルフェノク特有の爆発する薔薇の花びら)により重症を負い こちらも息絶え絶えのレオが倒れていた。 すぐさま山上たちはレオに止めをさそうとデルタムーバーをブラスターモードにしてかまえる。 「お待ちなさい!」 レオへの止めの一撃を制止する声、その主はレオによって瀕死の重傷を負わされた村上であった。 「その男は…ここで死なすには惜しい存在です…決して死なせてはいけません」 かくして村上共々レオはスマートブレインの医療技術によって命を拾ったのである。 レオは殺し屋であったがそれ以上に一人の戦士であった。 敵でありながら、彼の力を評価し命を助けた村上にレオは忠誠を誓った。 そしてその証明としてスマートブレインの刺青をいれ、彼に村上社長抹殺を依頼した
敵対勢力を消滅させた。 以降首だけの存在となった村上社長の用心棒的存在となったのである。 帝王のベルトのプロジェクトが始まったのはその直後であった。 天のベルトは最初の時点よりレオが装着することを想定して造られたものであった。 かつて山上が開発にたずさわったファイズ、カイザそしてデルタをも超越する最強のベルト。 山上の計算ではファイズやカイザがサイガに勝てる確率はほんの1%もない…そう思っていた。 だが…ファイズのベルトを装着した巧はサイガのベルトを装着したレオを打ち破ったのである。 そして− 画面には続いてファイズVSオーガの闘いの映像が映る。 右手だけでファイズを圧倒するオーガ。 帝王のベルト=スマートブレイン=オルフェノクの絶対的勝利を確信した闘い。 だがそれも乾巧によって打ち消された。 ウルフオルフェノクに変化し木場勇治の変化したホースオルフェノクと闘いを繰り広げる。 人間とオルフェノクの共存をかかげ闘うオルフェノクの存在、そしてファイズの最強フォーム ブラスターフォームの存在が山上の心を強く揺さぶった。 それが、尊敬し師として仰いだ花形の造ったものであることを彼は直感した。 花形が望みを託し、不可能を可能にした男、乾巧。 その“力”はどこからやってくるものなのか? きっと彼の“意志の強さ”が生み出すものなのだろうと山上は考えた。 1年前の「伝説の闘い」は彼にも多大な影響を与えたのである。
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