このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



<1-4・リーダーの素質>

遠山がまた話しかける。

「乾巧はファイズギアを使いこなせるでしょうか?」

その質問に山上は映像の中の闘いの終わり−巧と真理が手をつなぎ歩いていく映像−

を見届けてから答えた。

「きっと大丈夫だ。彼なら」

そう口にし、頷くと山上はまたニコッと笑った。

映像が消えると同時に明かりがつく。

山上と遠山は巨大トレーラーの中にいたのである。

そこへ新城と福地、そして美香が入ってきた。

「もうお日さんも真上に来とるっちゅうのに、連中動きませんで。」

と首をふりながら新城が言った。

「所詮、情けないリーダーのもとに集まった頼りない連中なんだから、仕方ないんじゃない?」

そう美香は不機嫌そうに言った。

本来なら朝のうちに集まり、乾巧の捜索に向かう予定であった。

だが相変わらず人間解放軍とライダーズギア開発部の間の溝は埋まらず

すでに昼過ぎになってしまった。

「えらい、啓太郎のこと気になるんやなぁ、美香?お前ひょっとして…」

そう新城が言いかけると美香は新城の顔を睨みつけながら

「私はリーダーとして山上さんと啓太郎を比べただけよ。まぁ、比べるだけ無駄だったけど。」

そう言うとまた不機嫌そうな表情を浮かべる。

そのやりとりに苦笑しながら

「啓太郎くんは立派なリーダーだと思うけどね。」と山上が言った。

「はぁ?」新城が信じられないと表情を浮かべる。

「リーダーのくせに自分から見張りをかって出るような男がですか?山上さん?」

「彼は他の誰かが犠牲になるなら、自分がそうなることを望んだんだよ、きっと。
 彼は実に仲間想いだと僕は思うけどね。」

その言葉に美香以外のメンバーは苦笑した。

山上は昔から人をほめることしかしない。

それが彼のいいところであり、悪いところでもある。

「話しの途中に悪いけど…」

美香がトレーラー内のモニターのひとつを睨みながら言った。

皆がそのモニターに注目した。

スマートブレインの偵察衛星ホークアイから送られてきた映像が映る。

彼らのトレーラー、つまり人間解放軍の基地に向かってくる1台の装甲車と

10台のジャイロアタッカーが拡大された。

「どうやら敵さんのお出ましらしいな。」

そう言うと山上たちは各々ギアを手にしてトレーラーから外へ出た。

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