このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



<2-1・居並ぶ戦士たち>

啓太郎は野村に呼び出され、彼のテントを訪れていた。

テントの中のあちこちに彼の発明品

−彼以外の人が見ればガラクタのようにしか見えないものばかりだが−が置かれている。

啓太郎は野村の呼び出しはいつものように“発明品”の発表だろうと内心うんざりしていた。

彼のことは嫌いではないし、発明品の中にはたまに役立つものもある。

しかし今の啓太郎は巧捜索へのはやる気持ちでいっぱいだったのだ。

「また何か発明品ですか?」

啓太郎が半ばうんざりした口調で聞く。

「いや、今日は違う。啓太郎、実はあのライダー…えっと…」

そう言うと野村は眉間にしわをよせ必死に思い出そうとする。

「ライダーズギア開発部ですか?」

啓太郎が聞く。

「そうそう、それだ。それでだな、あの山上という男の話だが…」

「山上さん?」

啓太郎は野村も山上のことを快く思っていないのかと少し寂しくなった。

「何かおかしいとは思わんか?巧くんと木場くんの闘いは1年前のことだ。
 あの男はその闘いに影響を受け、わしらの仲間になりたいと言っていたが
 何故決断に1年もかかったのか?」

その点については啓太郎も少しひっかかっていた。

解放軍の仲間にはオルフェノクもいる。

しかしその多くはあの闘いの直後に仲間になった者ばかりである。

山上の仲間、美香や新城たちは社長就任披露パーティーに参加する予定だった

各国代表者たちを抹殺したと言っていた。

山上自身も啓太郎たちを窮地から救ってくれた。

だがこれらのことを1年前から予測することなどできるわけがない。

山上たちにはやはり“別の目的”があるのではないか?

解放軍のメンバーの多くが抱いていた思いであった。

野村の言葉に啓太郎は少し戸惑いながら

「それじゃあ、博士は…山上さんたちのことを信じるなと言うんですか?」と野村に尋ねた。

「こんな時代だ、啓太郎。時には疑うことも必要だぞ。」

そう野村は諭すように啓太郎に言った。

「こんな時代だからこそ…俺は人を信じたい。疑うんじゃなくて信じることから始めたいんです!」

啓太郎はふるえながら怒りにも悲しみにも似た表情で野村を見据えた。

その目の奥に強いものを感じた野村はそれ以上何も言わなかった。

野村は一息つくとニカッと笑い

「ところで啓太郎、実は新発明品があってな」と話題を変えた。

その笑顔に啓太郎の心のわだかまりもすぐに消え

「やっぱり…」と苦笑いした。

だがその時、人間解放軍の見張りをしていた男がテントに飛び込んできた。

「啓太郎さん、スマートブレインのやつらが!」

その言葉に啓太郎はすぐさまテントを飛び出した。

遠くから1台の装甲車とそれを取り囲むよう、ライオトルーパーの駆るバイクが

数台向かってくるのが見えた。


やがて人間解放軍の基地から少し離れた平地で装甲車とジャイロアッタカーが止まると

装甲車から4人の男女が降り立った。

各々服装もばらばらでまるで一般市民いや一般オルフェノクのように見える。

啓太郎の目にライダーズギアのメンバーの姿が見えた。

山上、遠山、新城、福地そして美香全員が恐いくらいの緊張を発した表情をしている。

すぐに啓太郎は彼らのもとへ駆け寄った。

「山上さん!」

そう啓太郎が声をかけると山上だけが啓太郎の方を向き

「啓太郎さん」と答えた。

しかしその表情は今まで見たこともないくらい真剣なものだった。

「あの4人は…?」と恐る恐る啓太郎は聞いた。

「ラッキークローバーの4人だ。」と山上が答える。

「ラッキクローバー…」啓太郎もその名前には聞き覚えがあった。

「啓太郎さん、あの4人は私たちに任せてもらいたい。」と山上が申し入れた。

啓太郎は無言で頷いた。

「よし。それじゃあ、まずは誰が誰に当たるかだ。北崎は私が当たる。
 遠山と新城は二人でジェイに当たってくれ。福地は琢磨に…」

という山上の言葉に新城が口をはさむ

「ちょっと待ってください、俺と遠山さんでジェイですか?
それやったら、山上さんと遠山さんで北崎、俺一人でジェイの方がええ思いますけど…?」

そう言う新城に対し

「いや、まずは新城と遠山でジェイを撃破してほしい。
 その後それぞれわかれて他のメンバーのサポートにまわってくれ。
 願わくば、できるだけに速やかに…だ。」

と山上が答えた。

「了解しました。」

新城が認めた。

彼が山上のことを純粋に心配したうえでの申し出であったのは他のメンバーも

そして山上自身も知っている。

山上は最後に美香の方を見て

「美香は…」と言いかけると

「わかってる。私は影山冴子に当たる。」

と言うと彼らを少し離れたところから見ている冴子の方に視線をおくった。

冴子も美香を見つめ、組んでいた左手をあごにあて微笑んだ。

「よし!皆、相手はスマートブレイン最強と呼ばれるラッキークローバーだ。決して油断するな!」

そう山上が激をとばすと各々頷いた。

暗黒の四葉はすでに彼らより少し離れた場所に横一列に並び、そこからその光景を眺めていた。

ライダーズギア開発部の5人も山上を中心に横一列に並ぶ。

遠山、新城、福地の3人がデルタフォンを耳元にかまえ「変身!」と叫んだ。

STANDING BY

フォンが応え、それを腰のデルタムーバに装填する。

COMPLETE

瞬時に3人はデルタに変身した。

美香は左手に持ったシグマフォンにスタートアップコード「490」を打ち込む。

女性の声でフォンが「STANDING BY」と応えた。

そのフォンを左手に持ったまま右斜め上にかかげ「変身!」と叫び

再び腕を左下方へ戻す途中にシグマドライバーに装填した。

COMPLETE

美香の体を青い光線が走りシグマに変身した。

啓太郎はその姿に息を呑んだ。

大きな肩のアーマーなど、まるで“悪魔”を思わせるようなデザインのシグマの姿が

美香とはかけ離れて見えたからだ。

山上は右手に持ったファイズ2NDフォンに「555」のスタートアップコードを打ち込む。

STANDING BY

フォンが応えると、それを左斜め上方にかかげると

「変身!」と叫び、右下方に戻しながらファイズ2NDドライバーに装填する。

COMPLETE

啓太郎の目の前に再び白いファイズ−ファイズ2NDが姿を現した。

それを観ていた暗黒の四葉が申し合わせたように4人同時にオルフェノクへと変化した。

変化した4人が散る。

それに合わせてライダーズギアの面々も各自当てられた相手のもとへと駆け寄った。

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください