それを見ていた啓太郎はその場にへたり込み、ライダーズギアさえ超越するオルフェノクの存在と山上たちが危機だというのに何もできない無力な自分の情けなさに涙していた。 「おい、啓太郎どうしたんだよ!?何泣いてんだ?」 聞き慣れた声が後ろから聞こえた。 「…だってタッくん、山上さんたちがピンチだってのに…
俺は何もできなくてさ…タッくんもいないし…」 そう言いかけるとはっと啓太郎は振り返った。 不思議そうな顔で巧が彼の顔を覗き込んでいた。 「タッくん!?えっ!?タ、タッくん!?嘘!?どうしたのさ!?どこ行ってたのさ!?」 涙と鼻水でグチャグチャの顔でそうたたみかける。 「もう、啓太郎、リーダーになったって言うから成長したんだって思ってたら
全然、変わってないじゃない。てゆうか、出会ったころに戻ってない?」 巧の後から真理が顔を出す。 「真理ちゃん!もう二人とも何で帰ってきてくれなかったのさ!?」 啓太郎は相変わらずぐちゃぐちゃの顔で、巧の両肩を揺さぶった。 「わかった、わかった。啓太郎、話は後だ。まずはあいつらを倒すのが先決だろ?」 そう言うと巧は戦場を見つめた。 「あのオルフェノク!」 一緒に居た里奈が叫んだ。 「沙耶、あのオルフェノクだよね!?」 北崎を指差しながら里奈が沙耶に聞く。 「うん、間違いないあいつよ。あいつが…」 その言葉に真理も北崎の方を見つめ 「巧…」とつぶやくと巧の顔を見た。 「ああ」 頷く巧の顔にすじ模様が浮かぶ。 「あっ、タッくん、ちょっと待って!」 啓太郎が巧の変化を止める。 「何だよ、啓太郎」 少しうっとうしそうな表情で啓太郎の方を見る。 「タッくんに渡さなきゃならないものがあるんだ」 そう言う啓太郎の横に解放軍のメンバーがファイズギアとオートバジンを持ってきた。 啓太郎はそのケースを受け取り、巧の前で開いてみせた。 「これは…」 少し驚いた顔で巧がつぶやく。 啓太郎が嬉しそうに「ほら、早く」とうながす。 「ああ」 そう言うと巧はファイズドライバーを取り出すと腰に装着し ファイズポインターとファイズショットをマウントにセットする。 最後にファイズフォンを取り出しそれを開いた。 巧は啓太郎、真理、そして流星塾のメンバーを見た。 皆が笑顔で頷く。 巧は戦場の方に振り返るとフォンに「555」を打ち込んだ。 「STANDING BY」 フォンが応える。 「変身!」 右手のフォンを高々とかかげるとドライバーに装填した。 「COMPLETE」 まばゆい紅い光が巧の全身を包み込む。 “伝説の救世主”が再び「光臨」した。 変身を終えると巧はオートバジンにまたがり、戦場へ駆け出した。
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