ライダーズギアも暗黒の四葉も、まだ巧=ファイズには気付いていなかった。オートバジン上で巧はフォンをブラスターモードにすると、琢磨めがけて光弾を放った。 不意の攻撃に驚く琢磨と福地の間を、バジンをウィリーさせながら巧が駆け抜けた。 琢磨の両腕から鞭が離れ、福地の体に自由が戻った。 体に巻きついた鞭を地面に叩き捨てると福地は立ち上がった。
巧はジェイめがけてバジンで突進した。 琢磨同様、不意をつかれたジェイだったが、バジンの突進を全身で受け止めると そのまましばらく後退したのちバジンごと巧を投げ飛ばそうとした。 巧はバジンの変形ボタンを押すと同時にジャンプしジェイの後に着地した。 バトルモードへと変形するバジンにジェイは弾き飛ばされる。 ジェイの立ち上がりに重ねバジンがバスターホイールを浴びせかける。 だがジェイにはさほど効果はなかった。 そのままジェイとバジンは格闘になり、そこへ巧も加わる。 それを見た遠山と新城は顔を合わせ頷くと、ジェイとの戦闘を巧にあずけ、それぞれ加勢に散った。
福地のもとへ駆け付けた新城は走りながらデルタムーバのブラスターを、琢磨に浴びせた。 「福地!いっきに片付けようや!」 そう新城が言うと、福地は足下のデルタムーバを拾い耳元にかまえた。 新城も耳元にかまえ、二人ほぼ同時に「チェック!」と叫んだ。 琢磨の左右目前に二つのポインティングマーカーが現れる。 その光めがけて二人のデルタが飛び込む。 Wルシファーズハンマーが琢磨の体を貫いた。 人間の姿に戻り琢磨が苦しみの声をあげる。 「こいつ!しぶといヤツやで!」 新城はそう言うとデルタムーバをかまえ、光弾を放つ。 しかし琢磨を救出に駆け付けたライオトルーパーが盾となり、その間に琢磨を装甲車が連れ去った。 「くそっ!」 悔しがる新城。 「仕方ない…とりあえず撃退したんだ。それでよしとしよう。」 と自分と新城に言い聞かせるように福地はつぶやいた。
「救世主様のご登場ってわけ…フフ、楽しくなってきたわね。」 冴子が巧とジェイの闘いを見ながらつぶやいた。 「闘いの最中に敵に背中を見せるなんて、ずいぶん余裕ね、冴子さん」 その美香の声に、冴子は振り返えった。 その瞬間強い光と激しい痛みが顔面を襲う。 シグマウェポンをブラスターモードにした美香が冴子の振り返りざまに顔めがけて
光弾を放ったのだ。 「この…!!」 完全に不意をつかれた冴子がサーベルをふりかざす。 だがその時点で美香は空に飛び上がっていた。 「チェック!」 ウェポンに美香が叫ぶ。 フォトンブラッドがウェポンにチャージされる。 それを放つと冴子の目の前にポインティングマーカーが現れた。 メタトロンズスピア−シグマの必殺キックが冴子の体を貫く。 冴子は人間の姿に戻るとその場にうめきながらしゃがみこむ。 ジャイロアッタカーを駆ったライオトルーパーが救出に駆け付け、冴子はその後に座ると
美香に向かって 「覚えときなさい…次会ったときは必ずあなたの命をいただくわ」 と言い捨てると走り去った。 美香はただ黙ってその背中を見送った。
その頃、遠山は山上の加勢に駆け付けていた。 ファイズ2NDのベルトを拾うと、それを苦戦している山上に渡し、北崎に闘いを挑む。 山上もすぐさまファイズ2NDに変身するとその闘いに加わった。 二人のライダーの攻撃にも北崎はひるまず、むしろ楽しむかのように攻撃を受け流すと ドラゴンクローの一撃を両方にくわえていく。 そこへ琢磨を撃退した新城、福地も加勢に駆け付けた。 「こっちも一機に片付けようや!」 新城の掛け声で3人のデルタはデルタムーバをブラスターモードに切り替え 3方向から北崎めがけて絶え間なく光弾を浴びせる。 さすがの北崎もそれにはいらだちの色を見せ 「まとめて片付けてやる!」と叫ぶと龍人態へと変化する。 北崎が動き出そうとした瞬間、後からその体をファイズ2NDが貫いた。 3人が注意をひきつけている間に、山上がクリムゾンスマッシュを準備していたのだ。 その場にひざをつく北崎だったが、オルフェノクの変化は解けていない。 その姿が魔人態に戻るとファイズ2NDをドラゴンクローで横なぎに払うとそのまま正面の 遠山につっこんでいった。 「チェック!」 真正面からルシファーズハンマーを放とうとした遠山だったが、北崎のドラゴンクローが 先に遠山の首を捕らえた。 そのまま持ち上げるとえぐるような突きを2発叩き込むと投げ捨てた。 「遠山—!!」 山上はそう叫びながらファイズショットを起動させ、北崎のわき腹にグランインパクトを打ち込んだ。 しかし北崎は腕を振り回すと山上を弾き飛ばした。 「チェック!」 新城と福地が同時にチャージする。 遠山も力を振りしぼり立ち上がる。 北崎を囲み3方からルシファーズハンマーが放たれた。 デルタアタック−巨大なデルタの文字が北崎の頭上に現れたが、それをドラゴンクローで振り払う。 しかし次の瞬間にはオルフェノクの変化が解け、北崎は倒れた。 しかしまだ息はある。 そこへ駆け付けた装甲車の中から降りたライオトルーパーが北崎を抱えあげ、車内へと運び込んだ。 「くそっ!」 また悔しがる新城。 だが福地と山上は北崎の動向を確認することもなく、変身を解くとすぐさまに遠山のもとへと
駆けよった。 ルシファーズハンマーを放った直後、変身が解け倒れ込んだからだった。
|