「今さっきは仲間を助けてくれたようだね…礼をいう、ありがとう」そう言うと山上はニコっと笑い、巧に頭をさげた。 「別に俺はそんなつもりじゃない。
ただ、あのムカデ野郎とワニ野郎には昔のかりがあったから返しただけだ。」 そう言うと巧はぷいっと顔を背けた。 「もう巧ったら素直じゃないんだから」 真理がそう言うと 「そうだよ、タッくん」 と啓太郎が少し困ったふうに言う。 「いいんだ、乾くんの性格はわかっているし…」と山上が笑う。 すると巧はムッとした顔で山上につっかかった。 「だいたい俺はあんたみたいな人を見透かした態度のやつが大嫌いなんだよ!」 そんな二人のやりとりを見て啓太郎はふと草加雅人のことを思い出した。 巧と雅人の初対面もこんな感じだったっけ… あの時は雅人の人のいい態度に自分も真理も騙されたことを思い出し少し嫌な予感がした。 いや…山上さんはそんなことはない。 啓太郎は思いなおした。 山上には美香や新城など、彼を慕う仲間も居るし、何より遠山が死んだときには人目も はばからず泣いていたからだ。山上さんは本当にいい人なんだと、自分に言い聞かせた。 「ところで真理ちゃん」 啓太郎は話題を変える。 「その一緒に居る人たちは…」と沙耶たちを見た。 「あー、えっと…」 真理が流星塾の仲間たちを見る。すると三原が一歩前に出て 「俺は三原修二、よろしく」続けて 「私は阿部里奈、はじめまして」とペコッと頭をさげ 「私は木村沙耶。私たち3人は真理と同じ流星塾生だったの。これからはよろしくね。」と微笑む。 続けてその後にいる若い男女は真理や巧に憧れ同志となったオルフェノクの若者たちだと紹介された。 男子は7人、女子は10人もいた。 続けて山上たちの紹介がはじまった。 元ライダーズギア開発部という肩書きには真理たちも驚いたが、人間解放軍のように反発するような 意見は出なかった。 おそらくラッキークローバーと彼らの闘いを先に観ていたからだろうが、啓太郎は内心ほっとしながら あることに気付いた。 「あれ?美香ちゃんは?」 そう啓太郎が言うと 「ほんまや、あいつどこ行ったんやろ?」と新城が続ける。 「啓太郎、美香ちゃん、て?」 真理が啓太郎に聞く声は少しうわずっていた。 「山科美香…そうか、彼女も流星塾生だったな。」と山上が思い出したかのようにつぶやいた。 その言葉に真理、沙耶、里奈が顔を見合わせた。 「美香は私たちの大切な友達だったの…」 啓太郎と山上の方を見て真理が言った。沙耶と里奈もそれに合わせて頷いた。
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