「何という事だ!」スマートブレイン本社−3人の“黒幕”のビジョンが浮かぶ部屋。 そこで州浜は3人から強い叱責を受けていた。 「裏切り者を始末し、ギアを取り返すどころか、乾巧を合流させてしまったうえ
ラッキークローバーの一人を失うとは何たることか!」 「ますます人間どもがつけあがるではないか!」 3人が口々に州浜を怒鳴りつける。 しかし、州浜は黙って目を閉じ、まるで反省などしていないようだった。 「聞いているのか!?だいたいラッキークローバーに任したのはキサマなんだぞ!」 その声に州浜が目を開ける。 その目に3人がしばし沈黙する。 今まで見たことのない恐ろしい目− 「お言葉ではありますが…今回の失敗は全てラッキークローバーの慢心が生み出した結果。
それに彼らを差し向けることについて大幹部の皆様からは異論は出ませんでしたが…」 そう言いながら州浜は3人の顔ひとつひとつを睨みつけた。 その時、部屋のドアをノックする音がした。 「お話中すいません…」 スマートレディの声が扉の向こうからした。 「入りたまえ」 幹部の一人がうながした。 扉をひらきスマートレディが一歩入ると一礼した。 「BASTETの波原所長がお見えになりました。」 「わかった…。州浜はもう下がってよい。」 どことなしにほっとしたように黒幕が州浜に退席を言い渡した。 黙って一礼すると州浜は部屋を出た。 するとスマートレディの後で館林綾が微笑みながら一礼する。 その後、綾の背中に隠れるように波原が立って頭を下げていた。 州浜は波原を一瞥すると、黙ってその横を通り抜けた。 その後をスマートレディが追いかけるように続いた。 その背中を見送った綾だったが、波原の手が震えているのを見逃さなかった。
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