「ねぇ、真理って巧君のこと好きなんだよね?」沙耶が足下でじゃれるチワワ(チャコ)をなでながら真理に尋ねた。 「へっ!?何のこと!?」 沙耶の突然の質問に真理は思わず声が裏返った。 「えっ、違うの?私、てっきり真理と乾君て、付き合ってるんだって思ってた。」 そう里奈が驚いた顔で聞いた。 「何言ってんの?そんなことあるわけないじゃん。」 真理はそう言ながら強く否定するように頭を左右に振った。 「そうなんだ。それじゃあ、私にもチャンスはあるわけだ?」 そう言うと沙耶は嬉しそうに笑った。 「えっ?もしかして…沙耶って巧のこと好きなの?」 今度は真理が驚いた顔で聞いた。 「うん、だってステキじゃない?優しいし、かっこいいし…」 そうにやけた顔で言う沙耶の顔を、不思議そうな表情で真理は見つめ 「そうかな?」とつぶやいた。 「でも、乾君は真理のことどう思ってるのかな?」 里奈がそんな二人を見ながら言った。 「どうって?巧は別に私のことなんか何とも思ってないよ。
だって…だって二人は友達だもん。
そう友達。だから別にどうとも思ってないんじゃない。」 そう言うと真理は少し寂しそうな顔になった。 そんな3人のやりとりを美香はただニコニコ笑って見ている。 「そういえば、真理は流星塾でもモテモテだったよね!」 沙耶が弾んだ声で言った。 「そうそう、草加君とか澤田君とか…」 里奈のその言葉に真理は少しびくっとした。 草加雅人も澤田亜希もこの世には存在しない人物だったからだ。 二人だけではない、流星塾の当時のメンバーで残っているのは真理、沙耶、里奈、美香 そして三原の5人だけなのである。 真理は雅人が亡くなって以来、あまり彼の名前を口に出すことはなかった。 しかし沙耶たちは亡くなった仲間たちの名前をさらりと口にする。 真理は沙耶たちから聞かされた流星塾生たちの「最期」の話を思い出していたー
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