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<3-1・恋模様>

「ねぇ、真理って巧君のこと好きなんだよね?」

沙耶が足下でじゃれるチワワ(チャコ)をなでながら真理に尋ねた。

「へっ!?何のこと!?

沙耶の突然の質問に真理は思わず声が裏返った。

「えっ、違うの?私、てっきり真理と乾君て、付き合ってるんだって思ってた。」

そう里奈が驚いた顔で聞いた。

「何言ってんの?そんなことあるわけないじゃん。」

真理はそう言ながら強く否定するように頭を左右に振った。

「そうなんだ。それじゃあ、私にもチャンスはあるわけだ?」

そう言うと沙耶は嬉しそうに笑った。

「えっ?もしかして…沙耶って巧のこと好きなの?」

今度は真理が驚いた顔で聞いた。

「うん、だってステキじゃない?優しいし、かっこいいし…」

そうにやけた顔で言う沙耶の顔を、不思議そうな表情で真理は見つめ

「そうかな?」とつぶやいた。

「でも、乾君は真理のことどう思ってるのかな?」

里奈がそんな二人を見ながら言った。

「どうって?巧は別に私のことなんか何とも思ってないよ。
 だって…だって二人は友達だもん。
 そう友達。だから別にどうとも思ってないんじゃない。」

そう言うと真理は少し寂しそうな顔になった。

そんな3人のやりとりを美香はただニコニコ笑って見ている。

「そういえば、真理は流星塾でもモテモテだったよね!」

沙耶が弾んだ声で言った。

「そうそう、草加君とか澤田君とか…」

里奈のその言葉に真理は少しびくっとした。

草加雅人も澤田亜希もこの世には存在しない人物だったからだ。

二人だけではない、流星塾の当時のメンバーで残っているのは真理、沙耶、里奈、美香

そして三原の5人だけなのである。

真理は雅人が亡くなって以来、あまり彼の名前を口に出すことはなかった。

しかし沙耶たちは亡くなった仲間たちの名前をさらりと口にする。

真理は沙耶たちから聞かされた流星塾生たちの「最期」の話を思い出していたー


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