このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



<2・白いファイズ>

同じ頃−啓太郎をリーダーとした人間解放軍には危機が迫っていた。

巧と同じ理想を抱いたオルフェノクが参加しはじめた彼らは

今までライオトルーパー部隊を退けていたが
この日に限ってはそうはいかなかった。

ライオトルーパー部隊に今まで観たこともない兵器などの武装が多数導入され

それによる攻撃で苦戦を
強いられていたのである。

「啓太郎さん、今日の相手はいつもの連中とは違うみたいです!」

息をきらしながら啓太郎の横でヘルメットをかぶった青年が叫ぶ。

「うん…俺もそう思っていたんだ。」

軍隊のように動きや攻撃に規律がとれている。

見たこともない兵器−戦車や飛空艇などが導引されている。

同じライオトルーパーたちでも明らかに今までのそれとは違っていた。

「だめだ、切り込むことができない…!」

前線で部隊の切り崩しを図っていた人間解放軍側のオルフェノクの一団が啓太郎の方へ戻ってきた。

中には負傷しているものもいる。

「皆、無理せず…」

そう啓太郎が言いかけたとき、近くで大きな爆発が起きた。

突然の爆発に啓太郎はその場へ倒れこんだ。

埃まみれの顔をあげ周囲を確認する啓太郎。

彼自身は無事だったが、オルフェノクの一団が吹き飛ばされ犠牲になった者もいるようだった。

           キュルキュルキュル…

キャタピラの音と共に地響きが起こり始める。

気付けば遠巻きにではあるが、周囲をコの字状に戦車たちが包囲している。

その砲口は中心の啓太郎たちに向けられ、そして前方を固めたライオトルーパーたちが

やはり銃口を彼らに向けている。

「…もうだめなのか…!」

人間解放軍の誰もがそう思ったその時…

甲高いエンジン音とともに1台のスマートブレインの銀色のバイクが、戦車の合間を縫って

啓太郎たちの前に現れた。

バイク上にはフルフェイスのヘルメットをかぶった人物が乗っていた。

バイクから降り立つとヘルメットを脱ぐ。

そのヘルメットの下の顔−見たこともない男だった。

何者かといぶかる啓太郎たちとライオトルーパーの目の前で、彼は取り出したフォンに

3文字の入力をし、「変身!」と腰のベルトに叩き込んだ。

COMPLETE

次の瞬間、啓太郎たちの目の前に現れたのは<白いファイズ>であった。

その姿に啓太郎たち人間解放軍の誰もが驚いた。


<白いファイズ(以下ファイズ)>はゆっくりとライオトルーパーの部隊に向かって

歩きはじめ
ベルトの背部のマウントからはずした武器「ファイズエッジ」を手にし

同時に「アクセルフォーム」へと変化した。

一斉に銃撃を開始したライオトルーパー部隊。

その銃弾を弾き返しながらファイズは姿を消した。

赤い斬光が現れるごとに次々とライオトルーパーたちが青い炎に包まれる。

姿が見えない敵に対してライオトルーパー部隊はあまりにももろかった。

やがてファイズの姿が現れたころには地上にいたほとんどのライオトルーパーが

消滅していたのである。

次に行動したのは、人間解放軍を包囲していた戦車部隊であった。

砲口をファイズに向け、照準を合わせる。

すると戦車の動きに呼応するかのように、ファイズの乗っていたバイクが姿を変える。

それは乾巧が愛用していたオートバジンに似た姿のロボット(以下バジン)だった。

その左手にはバスターホイール、そして右手にはショットガン型武器「アサルトマグナム」。

浮上し、空中に静止したバジンはアサルトマグナムで次々と戦車を沈黙させる。

ただ一度の反撃も無く、戦車部隊も消滅した。

直後バジンに向かって光線が飛んだ。

それをよけたバジンはファイズのもとに舞い降りた。

はるか遠方で戦況を見守っていた飛空挺が攻撃を開始したのである。

バイクに戻ったバジンに飛び乗ると、ファイズは光線をよけながら飛空挺の真下まで駆け抜けた。

バジンの両脇のユニットが持ち上がりファイズの背中に装着される。

とたんに天空に飛び上がるファイズ。

飛空挺よりはるか上空まで昇ると、今度は下降し、飛空挺の上に着地した。

瞬時に目標を見失った飛空挺—その上でファイズはフライングアッタカーの銃口を下に向け放つ。

反動で再び天空に昇ったファイズの真下で飛空挺が爆発を起こし炎上しながら地上に落ちた。

圧倒的な戦闘—残ったわずかなライオトルーパーたちは戦意を失いただ逃げるのみであった。

ファイズはそのまま啓太郎のもとへと舞い降りた。

背中のフライングアッタカーがゆっくりと地面へと降ろされ、変身が解除された。

「菊池…啓太郎さんですね?」

そう言うと山上哲哉と名乗る男はニッコリと微笑んだ。

「私たちと一緒に乾巧さんを探していただけませんか?」

啓太郎たちの目の前に大きなスマートブレインのトレーラーが2台姿を現した。

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