抜けるような青空の下—真理は彼女を「真理姉(まりねぇ)」と慕う翼という少年に髪をカットしてもらっている。 「ずいぶん上手になったじゃない?翼」 そう少し顔を翼に向けて真理が言った。 「当たり前じゃん、毎日練習してるんだからさ」 そう言いながら翼はカットを続ける。 「ふ〜ん。そういえば、最近遥ちゃんとはどうなの?うまくいってるの?」 また顔を少し向けて真理が言う。 「なぁ、真理姉」 翼が手を休め、声をかける。 「う〜ん?」 真理が応える。 「おばさんくさくなったな。」 真理の頭を軽く押さえながら翼が言う。 「何ですって!」 「そう言う真理姉こそ、巧さんとどうなんだよ?」 話をごまかすように翼が言った。 「あのね、皆、私と巧ができてるとか、付き合ってるだとか言ってるけど
そんなこと全然ないから。私たちはただの友達なの!」 少し語気を荒げ真理が言う。 「けど、真理姉と巧さんてお似合いのカップルだと思うんだけどなぁ…」 「翼〜、真理姉!」 真理と翼がそんな会話を交わしていると翼のガールフレンドである遥が二人のもとへと駆けてきた。 「真理姉、カットしてもらってるんだ、いいなぁ〜。
ねえねえ翼、私も真理姉の後に髪カットしてよ」 遥が嬉しそうに翼に言う。 「え〜?お前、この前カットしたばっかりだろ」 翼があきれたように言う。 「いいじゃない、翼、遥ちゃんもカットしてあげなよ。」 真理が二人を取り持つように言った。 「まぁ、いいか…よ〜し、じゃあ真理姉のカットは適当に終わらせて、遥のカットしようかな?」 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」 少しふくれた顔で真理が言う。 「ハハハ、冗談だよ、冗談」 そう言いながら翼が笑う。遥も笑う。真理もつられて笑った。 翼と遥−真理はいつも二人を見ると嬉しい気持ちになる。 二人が真理たちの仲間“反スマートブレイン連合”に加わったのは半年ほど前のことであった。 翼はオルフェノク。遥は人間。 二人の出会い、それは−
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