ラッキークローバーとの死闘からかなりの日にちが経っていた。
あれ以来スマートブレインからの攻撃はない。
人間解放軍の基地は来る戦闘に備え、皆武器の扱い等の訓練演習は欠かしていない。
しかしそれも1日の数時間で、後はそれぞれ思い思いに過ごしている。
真理たちは仲良しの女の子の集団でおしゃべりを楽しみ
新城や福地、三原を中心とした男性グループは武器の特性や、スマートブレインの戦闘力の
分析などを談笑交じりでしている。
そして啓太郎は巧の横でその様子を眺めていた。
「こんな日常がずっと続くといいね、タッくん」と啓太郎がつぶやいた。
しかし横で寝ている巧は何も答えない。
「ねぇ、タッくん、また寝ちゃったの?」と啓太郎が巧の顔を覗き込む。
「あぁ、うるさいやつだな。」
そう言うと巧が起き上がった。
「ちゃんと聞いてるよ。」
そう言うと巧もその様子を見つめる。
山上はトレーラーの中で“反スマートブレイン連合”の若者たちと計器などの調整を行っていた。
てきぱきと動く彼や彼女たちの目は力強い輝きを放っている。
そんな若者たちの存在を嬉しく思う一方、山上は大きな不安も感じていた。
−ラッキークローバーのうち3人はまだ残っている。
彼らはきっと雪辱を晴らすため次は本気で挑んでくるだろう。
さらにBASTETのもつ軍事面の力は内部の者でさえ計り知れない。
そして新社長州浜の動向−
「山上さん…!」
悲鳴にも似た少女の呼び声で山上は思考の世界から現実に引き戻された。
声をあげた少女は遥だった。
遥はモニターの前でかたまり、顔はひきつり恐怖の表情をしている。
山上と他の若者たちがモニターを覗き込む。
そこに映っていたものは−
3方向から人間解放軍の基地へ向かってくるライオトルーパーの大軍であった。 真正面からは以前に山上が撃退したプレジデント親衛隊、右翼からは本社部隊 そして左翼からはライオトルーパーに護衛された装甲車が不気味な銀色の球体を3個引っ張り その後にジェットスライガー5台が連なりこちらへ向かっている。 上空にはゆっくりと飛行する飛空挺の姿も確認できる。 “総攻撃”だと誰もが思った。 「啓太郎くんたちに知らせるんだ!」 山上はそう若者たちに叫んでいた。
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