このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



<3-1・真打ち登場>

その光景を横目に戦場に別々の方向から向かってきた2台の装甲車があった。

「…あの巨大なオルフェノクは何だったんです?」

と州浜が窓越しに見えた青い炎をあげている主を見ながら口にした。

「あれは…BASTET!?BASTETの人工オルフェノクです!」

と驚きながらスマートレディは応えた。

共に乗車しているラッキークローバーの3人は特に気にとめることなく各々戦場を眺めている。

「おかしいですね…BASTETには今回の作戦への参加要請はしてないはずですが…」

そういぶかしげに州浜は言った。

もう一台の装甲車では…

「くぅ〜っ、なんたることだ!ビートルがやられるとは!」

そう悔しがる波原を見ながら

「あ〜あ、やられちゃいましたね。」と別にどうでもいいという感じで綾が口にした。

「“ビースト”と“ヒューマン”が役立つことを願いますよ、所長」と続けて綾が言う。

「ふん、観ていろ。あの2匹はそう簡単には倒せない。」と波原が綾を睨む。

「だと、いいんですが…」

そう言うと綾は涼やかな表情で戦場を見つめた。

やがて両方の装甲車が少し離れた位置で停車した。

ほぼ同時にドアが開き、州浜たちの乗る装甲車からはスマートレディとラッキークローバーが

降り立った。

スマートレディはその足で綾たちの装甲車に早足で歩いていく。

「ちょっと、どーいうことですか?社長さんはあなたたちBASTETには出動要請はしてないんですよ!?

いつもの調子でそう言うスマートレディの横で、何食わぬ顔で綾は眼鏡を外し

着ていた白衣を脱ぎ去った。

すると中からスマートレディと全く同じデザインの赤いスーツが出てきた。

「どう似合います?BASTETのスポークスマンてことで新調させられましたが…
 これを着ることなんて絶対ないと思ってたけど、動きやすくて今日なんか
 ぴったりですよね?」

と言うと綾はいつもの笑顔をスマートレディに投げかけた。

「なっ!ちょ、ちょっと私の話聞いてましたか!?

スマートレディが綾に詰め寄る。

が、「さぁ、行きましょう」と綾は取り合わず歩きはじめる。

「待ちなさい!話しは終わって…」

そう言いかけたスマートレディの前を装甲車から降りた黒いスーツに身を包んだ7人の男女

—男3人、女4人がさえぎった。

無言ではあったが、その威圧的な態度にスマートレディはしばしその場にかたまった。

一方、州浜たちの装甲車から降りたラッキークローバーはその足で戦場へ向かう。

それぞれ闘う相手は決まっていた。

冴子は美香、琢磨は新城・福地、そして北崎は山上。

相手の方はまだ彼らの到来には気付かずライオトルーパーの撃破に忙しく動き回っている。


美香は殺到するライオトルーパーたちを次々とシグマウェポンでなぎ倒していた。

そのライオトルーパーの壁の後から聞き慣れた声がした。

「…邪魔なこたちね…」

その声とともに青い閃光が見え、次の瞬間目の前のライオトルーパーたちは青白い炎と化していた。

その炎の向こう冴子−ロブスターオルフェノクの姿があった。

「あなたは…!」

そう言うと美香は身構えた。

「言ったはずでしょ?あなたの命をもらうって…他の誰にも邪魔はさせない。
 あなたを倒すのはこの私…」

ロブスターオルフェノクの足下から伸びた影に映る冴子の顔が微笑み、次には冷酷な表情に一変した。


同じ頃新城と福地の前には琢磨の変化したセンチピードオルフェノクが立っていた。

「わざわざ、倒されに来よったみたいやなぁ?」と新城が言う。

福地は無言で琢磨を睨む。

「フフフ…一回私に勝ったぐらいでずいぶんな台詞ですね?
 この前は油断していましたが今回は本気でいかしていただきます。覚悟はいいですね?」

そう言うとセンチピードの両手に鞭が現れた。

「覚悟するんはお前の方やろ?」

新城と福地が身構えた。


山上はファイズエッジの一撃で確実にライオトルーパーたちを倒していた。

その動きを止めた一瞬、不意に横から顔を殴り飛ばされた。

そのパンチの主、北崎の変化したドラゴンオルフェノクが山上を見下ろしながら

「やぁ、また会ったね。」と楽しそうに言った。

山上の立ち上がりを狙って、また北崎がドラゴンクローを打ち込んだ。

その攻撃をまともに受けまた飛ばされた山上の体を、後から巧が受け止めた。

「巧君…!」

ファイズ2ND−山上がファイズ−巧の顔を見る。

巧は頷き

「手を貸すぜ、山上!」と身構えた。

その横で山上も身構えた。


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