美香と冴子は激しい闘いの火花を散らしていた。お互い剣撃の合間にパンチやキックを織り交ぜながら闘っているが それら全ての攻撃を的確に決めているのは冴子の方だった。 美香の攻撃を受け流し、一撃を加える冴子。 シグマギアとサーベルが激しくぶつかり、鍔迫り合いとなった。 一進一退…しかしじょじょに冴子の方が美香を押し始める。 競り負けそうになった美香の両肩のアーマーが開いた。 フライングアッタカーが起動し空へ逃れようとする。 「無駄よ!」 冴子の左手の籠手から現れた鋸状の刃が美香の体をひっかけそれを阻止した。 がら空きになった美香のボディに冴子が、サーベルによる瞬速の突きを何発も打ち込む。 その全てをまともにくらい美香がよろめく。冴子はその頭をつかみ 足を払って地面に押し倒した。 起き上がろうとする美香の体を踏みつけ、冴子は影を通じて微笑み 「どう、本気を出した私は…?所詮あなたの敵う相手ではなかったのよ、美香ちゃん…!」 そう言うと、足を上げ強く踏みつけた。 「きゃあっー!!」 美香は激痛に悲鳴をあげた。 シグマギアのボディスーツが破損し、フォトンブラッドの青い輝きが消え フォトンコアも光を失った。 「フフフ…気持ちのいい悲鳴…。」 そう冴子がサディスティックに微笑む。 息をする度に胸に激痛が走るのを美香は感じた。 シグマのスーツがゆっくりと消え美香は人間の姿に戻った。 「もっと楽しませてくれると思ったけど…つまらない子ね。」 冴子が美香を見下ろしながら言った。 本気を出した冴子の力は前回闘ったものとは全く異なったものだった。 やはり敵う相手ではなかったんだ…かすみ始めた意識の中、美香は死を感じはじめた。 激痛と共に咳がはじまり、血がこみあげてくる。 このまま死んでしまうのだろうか…死んだらどうなるんだろう? 天国のお父さんやお母さん、美優(妹)と会えるかな? …美香の脳裏に優しかった両親の顔と妹の顔が浮かぶ。 …今ならもうお母さんも私のこと化け物って言わないよね? だったら死ぬのも悪くないかな? …握りしめていた美香の拳が開き力なく地面に落ちた。 ゆっくりと目を閉じる。 家族のことを想うと穏やかな表情になれた。 「ものわかりのいいこね…。それに免じてひとおもいに死なせてあげるわ。」 そう言うと冴子は美香の首にサーベルをかけた。
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