「翼君…!!」真理は怒りに震え手元の銃を持つとスマートレディを狙い撃った。 ライオトルーパーの装甲をも打ち破る銃弾だったが バイオトルーパーのスーツには通用しない。 スマートレディは真理のもとへと歩き始めた。 真理もスマートレディめがけて走り出す。 真理は至近距離からスマートレディに向けて銃を撃ち続ける。 しかし銃撃は全く効果を成さない。 今度は銃身で殴りかかった。 しかしそれもスマートレディが伸ばした手によって止められ 銃を奪い取られ目の前で二つに折られた。 「無駄よ…」 スマートレディが冷たい声で言う。 しかし真理はあきらめず、今度はその折られた銃を拾うと殴りつけた。 ヘッドスーツでそれを受けたスマートレディは気にもしない感じで 「あっ…そ〜ういえば、いいことを思い出した。」 と言い、その壊れた銃を持つ真理の手をつかんだ。 「どうして木場勇治が人間を信じられなくなって、乾巧と闘ったのか
知りたいと思わない、園田真理さん?」 真理の顔に自分の顔を近づけスマートレディが言う。 「何ですって!?」 「木場勇治が人間を信じられなくなったのはあなたのせい…」 その言葉に真理は驚く。 「私の…せい!?」 わからないという感じで真理が聞き返す。 「ふふふ…正確にはあなたのフリをした私のせいなんだけどね♪」 「…どういうこと!私のフリをしたって!?」 スマートレディは真理の手を放すとギアのボタンを押した。 瞬時に真理の前に真理が現れた。 「つまりこういうこと。私がこの姿で木場勇治の前に立って言ったの…
オルフェノクは信用ならないから、死んでって…ね♪ふふふ、おバカさんよね?」 真理の顔と真理の声でスマートレディはそう言いクスクス笑った。 「許せない…あなただけは…絶対許せない!」 そう叫ぶと真理は真理−スマートレディの顔を叩いた。 叩かれた顔を真理の方へ向けながらその顔が怒りの顔になりスマートレディの顔に戻り そしてバイオトルーパーのスーツへと戻る。 キグナスガンを真理の額に押し当てた。 「ばいばい」 そう言うとスマートレディはトリガーに指をかけた −その時スマートレディの横顔に銃をあてた者がいた。 「ばいばいするのはあなたの方よ」 そう言うと沙耶は銃の引き金を引いた。 スマートレディが吹き飛ぶ。 「沙耶!」 衝撃でしりもちをついた真理が見上げる。 沙耶の顔はいつもと違う凛々しい顔つきだった。 その腰にはデルタギアが巻かれている。 沙耶は銃を捨てるとデルタフォンを耳元にかまえ 「変身!」と叫んだ。 「STANDING BY」 それをムーバに装填する。 「COMPLETE」 沙耶の全身をデルタのスーツが包む。 沙耶は腰のムーバを取り外した。 スマートレディは立ち上がるとキグナスガンをかまえた。 沙耶もムーバをかまえた。 ほぼ同時にトリガーを引く。 お互いの中間でフォトンブラッド弾が衝突し、消滅した。 次は連続で撃ち合う。 やはり中間で消滅した。 お互い撃ち合いながら一歩一歩前へ歩きはじめる。 やがて距離が縮まると、撃ち合いをやめ格闘となった。 スマートレディがパンチを放つと沙耶をその腕をつかみ スマートレディのボディにキックを放った。 そしてつかんだ腕を放すとそのまま体を回転させ裏拳を打ち込む。 それを受け倒れたスマートレディだが、すぐに立ち上がり今度はアッパーを沙耶に打ち込んだ。 沙耶はそれを受け一瞬は体勢をくずすもののすぐに立ち直った。 一連の攻防を驚いた顔で見る真理。 「大丈夫、真理!?」 里奈が真理のもとへ駆けつけた。 「うん、私は大丈夫…けど、沙耶が…」 その真理の言葉に里奈は首を振り 「沙耶なら大丈夫。だって彼女、私たちの中で一番あのベルトを使いこなしていたんだから。」 と応えた。 それを聞き真理は山上の言葉を思い出した。 「ラッキークローバーのジェイさえ撃破した者」 そうか、それは沙耶だったんだ。 彼女は流星塾生の中で誰よりも優しく、そして強い心の持ち主なのだから…。 沙耶のキックがまたスマートレディのボディに決まった。 スマートレディは苦しむように後へ下がった。 沙耶はそのスキをつくようにミッションメモリーをムーバにセットした。 「チェック!」 「EXCEED CHARGE」 デルタムーバにフォトンブラッドが流れ込み、沙耶はトリガーをひいた。 スマートレディの体にポインティングマーカーが突き刺さる。 沙耶はすぐさまジャンプしその光に飛び込んだ。 ルシファーズハンマー−スマートレディの体をデルタが貫いた。 Δの印と謎の笑みを残しスマートレディの全身が赤い炎とともに灰と化し崩れ去った。 振り返り変身を解く沙耶。 その顔は悲しげだった。 彼女はすぐさま遥のもとへと駆け寄ると放心状態の彼女を優しく抱きしめた。 「…沙耶さん…翼が…翼が…!」 そう言うと遥は沙耶の胸の中で泣き崩れた。 沙耶も頷き涙を流す。 真理も里奈も翼の犠牲に涙を流した。 しばし悲しみの空気が辺りを包んだ。
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