だがしかし−
「ふふふ…どんな壁でも乗り越えられるだと…?」
「何…?」
背を向け歩き出そうとした山上は州浜のその声に立ち止まり振り向いた。
州浜の体を焼く炎が青から赤へと変わり、崩れた体の部分がその赤い炎に
より形作られてゆく。
やがて元通りの姿へと炎がかたまり、さらに変化をはじめた。
「残念だったな…哲哉。」
やがてさっきまでの州浜の姿と異なった別の姿
−例えるなら今までの姿が雛なら、今度の姿は成鳥を思わせる姿になっている−
が赤い炎の中から現れた。
「スマートブレインが何故この俺を殺さなかったのか…?
違うな−殺すことができなかったのか?
それは…この俺がフェニックスオルフェノクだからだ!」
「何…だと?」
山上が驚きの声をあげる。
「倒されても不死鳥のごとく蘇る…“特異体質”のオルフェノク…
スマートブレインは波原にこの俺の不死身の体について調べさせていたが
結局その理由はわからずじまい…だが俺からすればその理由は簡単なこと…
俺は選ばれた存在なのだ。この俺を倒すことなど誰にも不可能だ…!」
そう言うと州浜の右手に大きな剣が現れた。
それを振りかざし、山上に斬りつける。
とっさの両手によるガードも空しく、山上の体が衝撃で宙に舞う。
その瞬間、ファイズドライバー、そして首に巻きつけていたマフラーも吹き飛んだ。
変身が解けた姿で地面に落下する山上。
それを見ながら州浜は人間の姿に戻ると足下のファイズドライバーとフォンを手にした。
フォンを開き「555」のコードを打ち込む。
「STANDING BY」
「変身」
山上を見下ろしながら州浜はフォンをドライバーにセットした。
「COMPLETE」
州浜の全身をファイズ2NDのスーツが包み込む。
変身が終わると同時に州浜は山上のもとへと走り、倒れているその体をつかむと殴り飛ばした。
山上の顔にすじ模様が浮かびイーグルオルフェノクへと変化する。
反撃に出る山上。
だがその攻撃はことごとく受け流され、その度にカウンターを受け、もはや立っているのが
やっとの様相を呈してきた。
「ふん…」
州浜はファイズポインターを取り外すとミッションメモリーをセットし
脚のマウントへ取り付け、フォンのエンターキーを押す。
「EXCEED CHARGE」
フォトンブラッドがポインターへと流れ込む。
そして−ジャンプした州浜の脚先から紅いポインティングマーカーが放たれ、山上の体に突き刺さる。
「山上さん!」
そう叫びながら福地や美香が彼のもとへ走り出そうとする。
「来るなー!!」
山上が福地たちの方を見て叫んだ。
一瞬、人間の顔に戻った山上を見て福地たちは立ち止まる。
次の瞬間、紅い光りとなった州浜が山上の体を貫いた。
φの一文字を残し、山上の体が青い炎とともに灰と化し崩れ去った。
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