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<10-1・絶望−決死の闘い>


その光景を眺めながら変身を解く州浜。

その手にしたファイズフォンとドライバーを地面に投げ捨てると

「…くだらん玩具だ。」

と言い放ちオルフェノクに変化すると、それを足で踏みつけ粉々にした。

「貴様——!!!」

それを見た福地が怒りに震え走り出した。

普段は冷静な福地が初めて見せた怒りだった。

その様子を見て三原も

「新城、借りるぞ!」

そう言いながら新城の体の横にあったデルタギアを拾い上げると福地に続いた。

そして沙耶も無言でデルタギアを握りしめ後へ続いた。

「おい!お前ら、やめろ!くそっ…!」

新城が半泣きの声でその背中を見つめる。

そんな新城の横に居た美香も立ち上がりシグマギアを手に一歩出た。

「美香、お前まで…」

新城がその姿を不安げに見た。

「美香…!」

真理と里奈も見つめる。

「真理、里奈…新城をお願い。」

そう言うと美香は啓太郎の方を見た。

「啓太郎…ありがとう。」

少し涙ぐんだ目で美香は言った。

「美香ちゃん…?」

引き止めたいと思いながらもそれができず、ただただ啓太郎は彼女を

見つめることしかできなかった。

その視線を振り切るかのように顔を背け、戦士の表情で美香は走りだした。

福地、三原、沙耶そして美香と州浜の闘い

−4人の攻撃をかわす州浜はそれを楽しむかのようにあえて攻撃をせず

ただ受け流すだけである。

「チェック!」

福地がデルタムーバに叫ぶ。

沙耶、三原も合わせてデルタムーバに音声入力をする。

3方向からのルシファーズ・ハンマ「デルタアッタク」。

巨大なΔの文字を残し貫かれた州浜の体が赤紫の炎をあげたがすぐに

それよりも大きい赤い炎がその体を包みこみ再び元の姿へと戻る。

「フィニッシュ!」

「チェック!」

続けて美香がシグマギアに叫び、また沙耶がデルタムーバに叫んだ。

ルシファーズ・ハンマとベヒモス・ファングの連続攻撃。

しかしやはり青い炎はそれ以上の赤い炎によって打ち消される。

「ふん!」

州浜がさっと右手を払った。

その指先から打ち出された火炎の球が4人を吹き飛ばした。

ただの一撃、それだけで4人は立ち上がるのがやっとになるほどのダメージを受けた。

「そんな…皆が…」

それを見ていた真理が涙声で言った。

どうしよう…どうすれば…このままではあの4人も…

絶望感を抱いた真理の目に倒れている巧の姿が映った。

州浜によって倒された巧−だがその体になんら異変は起きていなかった。

「巧———!!」

思わず真理は叫んでいた。

その真理を見て啓太郎も巧に気づく。

そうだ、タッくんなら…

「タッくん!!」

真理と啓太郎、二人は必死に叫び続けた。

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