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落書き帳
12年5月中旬
輪行時の車窓
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義務教育を9年間、受けた私は、ある学年の、1年間は、
”道徳”の時間はなかった。
その学年の終業式後、担任の先生から、通知票と共に、
クラスの全員に、B5サイズの茶封筒を配布した。
それには、テープでしっかりと封がしてあった。
「これは、今、あけないで、家に帰ってから、
おうちの人(保護者)に、渡して下さい」
家に帰って、通知票と共に、謎の封筒を母親に手渡した。
自分の悪いところが、赤裸々にかいてあるのでは?
わたしは、内心ドキドキした。
母は「何かしら?」と、茶封筒を開封した。
私は、さりげなく、ちらりと、中の物を見た。
”にんげん”という、真新しい教科書だった。
道徳の時間の時に使う、教科書である。
本来、算数や国語の教科書などと共に、
始業式に、配布される物だ。
同封されていた、手紙(プリント)には、
”道徳の時間、この教科書での授業は行いませんでした・・・”
(くわしい文面は忘れましたが・・・。)と、書いてあった。
この先生の、道徳の時間は、楽しかった。
みんなで栽培していたジャガイモを収穫し、
学校の技術職員室で、ふかし芋にしたり・・。
ジャガイモは嫌いだったが、あの時、教室で食べた
ふかし芋は、とても、美味しかった。
(この日、私は大きな蒸し器を、学校に持っていった)
「先生の家の近くには、沢ガニがいるよ!!」
日曜日に、大勢でバス・電車に乗って、先生の家まで、
遊びに行ったこともあった。
校区の縄張りのすべてが、コンクリートでしめている
”集合団地っ子”の私達にとって、一面が緑に包まれた、
先生の家は、まるで映画か何かのワンシーンにいるようだった。
先日、輪行中。電車の車窓から、その周辺を眺めた。
一面の緑は、今は、コンクリートの町に変わっていた。
緑の中に、ポツンとあった、先生の家も、
もう、どれだか、わからなくなってしまった。
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