このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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近畿日本鉄道モ820型有料特急用電動制御車


 近畿日本鉄道モ820形有料特急用電動制御車です。ホームページをごらんになった方から、かつて近鉄では、モ800系を奈良線の有料特急用として整備する計画があったという情報をいただきました。私は奈良線特急車はどちらかというと800系より、増備された820系の方が好みなので、820系を種車に特急用車両を整備してみました。

 モ820系は奈良線特急用として800系の増備車としてMc+Tcの2両固定編成が8編成整備されました。登場時はロングシートの無料特急でしたが、奈良線にも有料特急網を整備することが計画され、車両限界の関係で既存の特急用大型車両が入線できないため、比較的車齢の新しいモ820系を特急用に整備して充当することとし、1450mmの両開き乗客扉を725mm片開き扉に改造、さらに扉部分に1000mmの窓を新設し、車内は2列+1列の転換クロスシート、妻面は広幅貫通路を狭幅化、ユニットクーラーの設置、ク720型妻面に便所を新設するなどアコモーデーションを有料特急用に改造するとともに、KD−20台車は空気バネ化したKD-20Bとし、乗り心地を向上させるように改造し、まず阪奈特急とし運用を開始しました。当初は多数の乗客が見込めなかったので2両固定1編成で運用し、827,828編成の中間連結器を密着連結器に交換して分割可能とし、多客時にはMc+Mc+Tcの3連で運用しました。阪奈特急が好評だったため、奈良電にも乗り入れ京奈、京橿にも運用を拡張し全線特急網が完成しました。奈良電併合後は、奈良電デハボ1200形、1350形を有料特急用に改造モ680形、ク580形として京奈、京橿特急に充当、京都線、奈良線、橿原線、天理線の車両限界の拡幅による、大型特急車の導入に従い、特急運用からは引退し、アコモデーションは特急時代のまま生駒線や、田原本線の普通車として使用された後、狭軌化のうえ順次伊賀線に転籍、アコモデーションは特急車両時代のまま、現在は伊賀鉄道860系として運用されています。
 実車は、モ800形奈良線特急車両の増備車として製造されました。車体形状は奈良線の狭い車両限界に収まるよう、車体長18000mm、車体幅2450mmの正面貫通路、貫通幌付き両開き2扉の片運転台車で、走行機器は、制動22段の超多段電動カム軸式制御器で、抑速用電気制動をそなえ、主電動機は125kwのWNカルダン駆動が採用されました。車内はロングシートで、モ800とちがい、最少2両編成でも運用できるようにMc+Tc編成となっています。奈良線特急用として使用されていましたが、新生駒トンネル開通に伴い、次第に奈良線から姿を消し、京橿、天理、生駒、田原本線に転じ、その後は狭軌化の上モ860系と改番の上、旧伊賀線(現伊賀鉄道)に転じ最後の活躍をしていましたが、老朽化に伴い、徐々に廃車が進み間もなく消滅します。

近鉄モ820有料特急車PDF図面 A4 1/120


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