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ダミーカプラーをTNカプラー化した先頭車。左がTOMIX製115系身延線色初回ロット、右がKATO製153系。
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左が加工した415系1500番台、右が415系100番台。
*なぜTNカプラー?
TOMIXのTNカプラーは、外観、機能ともに優れたカプラーで、
連結したときの連結面間の狭さも感動モノです。
しかし・・・非常に高価なのが難点で、もし全車をTNカプラー化したりしたら、破産は確実(^-^;
なので、編成の先頭だけにTNカプラーを装着し、編成の中間にはKATOカプラーを装着している、
という方も多いのではないでしょうか。
私の場合も、もとからTNカプラーの装着されている(あるいは装着可能な)TOMIX車両以外には、
ほとんど使用していませんでした。
TNカプラーと見た目は大差なく、リーズナブルなKATOカプラーをメインに使っていたのです。
ところが・・・KATOの153系を増備するうち、
伊豆急下田行きと修善寺行きの先頭車同士が連結していた急行「伊豆」を再現したくなってきました。
また、TOMIXの初回ロット115系身延線色3連の2編成目を入手すると、
編成同士を連結したくもなりました。
KATOの場合、先頭車同士の連結は、カプラーの付いた台車に交換することを勧めていますが、
そのままではスカートが邪魔になるので、スカートを取り外すか首振りスカートに改造するしかなく、
非実感的になってしまいます。
これでは分割した際に「がっかり」してしまうこと必至です。
なんとか実感を損なうことなく、先頭車同士を連結させたい、
そこで・・・目を付けたのが、車体マウントのTNカプラーだったのです。
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左が密連型TOMIXカプラー、右が165系用スカート
今回、TOMIXの115系とKATOの153系の加工に使用したのは、
床板に固定するTNカプラー密連タイプと、同じくTOMIXの165系用のスカートです。
どちらもTOMIXの補修用パーツとして入手が可能です。
スカートは交換しないで、製品オリジナルのものを加工することも考えられますが、
TNカプラー装着が前提のスカートを用いた方が改造がラクではないかと考え、
形態の似ている165系用を選んでみました。
165系、115系、153系では、ジャンパー栓が異なるのでしょうが、元々黒い部品なので目立たないだろうし、
連結させてしまえば、全く見えない部分だし。。。。(^-^;
・・・って、最近の115系はTNカプラー対応となっているので、
TNカプラーに対応した115系用スカートの入手は可能だと思いますけどね。。。(^-^;
*TOMIX115系身延線色初回ロットへの取付
私の所有する115系の編成は、どちらもTNカプラーが製品化される以前の、1980年頃の初回生産ロットです。
先頭にはダミーカプラー、中間はアーノルトカプラーとなっていて、
床板取付タイプのTNカプラーを無加工で取り付けることはできません。
最初に入手した方は、中間部をアーノルトカプラー交換タイプのKATOカプラーにしていますが、
先頭車はダミーカプラーのままでした。
今回、先頭車同士を連結させ、混雑時の6連を再現しようという魂胆です。
まず、加工する先頭車の分解です。
今回分解したことで、TOMIXは当時から分解しやすい構造なんだなぁと、改めて実感しました。
例によってボディをちょっと膨らませると、ボディと下回りを簡単に分離できます。
加工に邪魔な台車はネジで留まっているので、これも取り外しておきます。
スカートとダミーカプラーの部分も床板にはめ込んであるだけなので、簡単に取り外せます。
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スカートの付いていた部分は凹んでいます
続いて床板の加工です。
TNカプラーの基板部分は床板幅と同じなので、
床板の先頭部分を加工して幅を狭くし、そこにはめられるようにします。
加工の寸法は現物合わせで充分で、きれいに仕上げる必要はありません。
後から述べる方法でがっちりと固定されるので、少し小さめにしておけばよいと思います。
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左が床板の幅を狭く削ったもの、右は製品オリジナルの状態。
今回加工しない車両と比較し、カプラーやスカートの高さが揃うようにします。
幸い、この製品はスカートのはまり込んでいた部分が凹んでいて、
この段差がTNカプラー基板の厚みにぴったり・・・
そしてそこにTNカプラーを装着すれば、高さも合うことが判明。
さすがは同じメーカー、TNカプラーが製品化されるはるか以前から、
TNカプラーの登場を予言していたかのようです。
但しTNカプラーの基板は、車体の前後方向に結構な長さがあり、
さらに復元バネ支点部分の出っ張りがあったので、
同じ段差を2mmほどヤスって延長する必要がありました。
この加工も、部品を当てがいながらの現物あわせで充分です。
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幅を詰め、段差の部分を延長した、床板の先頭部
さて今回の一番のポイント・・・それはTNカプラーを装着、固定する方法です。
最初は床板にゴム系接着剤で接着しようと考えたのですが、
例によって接着剤の効きにくい素材同士・・・重量がかかる連結器の取付には不安です。
これを確実に固定するためにはどうしたらよいのか、
TNカプラーを眺めていて、ふと・・・
「TNカプラーの固定用の穴に、真鍮線を通す」というアイデアを思いついたのです。
これを思いついたときは、かなり興奮してしまいました。
つまり・・・床板をTNカプラー基板と真鍮線とでサンドイッチするので絶対に脱落しないし、
ボディの前端に当たるので、牽引時にカプラーが前後方向にずれることもありません。
車体裾の左右で押えられるため、真鍮線も抜けることがないのです。
これは、かなりのアイデアではないでしょうか!!
ということなら接着剤を使わなくともよさそうですが・・・
今回使用した真鍮線が、TNカプラー固定用の穴に対して細かったので(穴は0.8mmくらい、真鍮線は0.5mm)、
どうしてもTNカプラーがグラグラしてしまいました。
そこで今回は、真鍮線と穴の接する部分に、少量の瞬間接着剤を流しておきました。
そしてOKIに対して自慢げにこの改造の話をしたら・・・
「KATO製品に同じような改造をしたものを、以前見たことがあるよ」だって!!
どうやら、私が最初に思いついたアイデアではなかったようです・・・・・・・ちっ・・・・・・
さて・・・スカートは、さすがにTNカプラー対応部品です。
そのまま合わせてみると、TNカプラー基板の大きさにぴったりでした。
なのでこれはTNカプラー基板の側面・・・固定用穴のちょっと下に、ゴム系接着剤で接着しました。
決して力がかかるものではないので、これで充分です。
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固定状態
左写真:TNカプラーの取付穴に真鍮線を通す
右写真:TNカプラーの背面の出っ張りが収まるまで削った床板
ここで、スカートやカプラーの位置がおかしくないか・・・今回加工しない車両と比較し、
OKならば再組立して完成です。
そして1編成目のクハに続き、2編成目のクモハにも同様の改造をし、
両車を線路に置いて連結状態を確認!
うーん・・・素晴らしい!!
以前に
取り付けた前面幌
が、これで活かせるというものです。
以上のように、TOMIXの初期115系は、簡単な加工で改造・装着す ることができました。
2両の加工に要した時間は、改造方法を考えながら行なっても、わずが1時間くらい。
改造方法がわかった今となっては、2両で30分もあればできそうです。
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左が未加工、右が加工済み
もちろん、増結を想定していなかった製品なので、ライトスイッチはありません。
3連+3連の状態にすると、中間に入った先頭車のライトも点いてしまいます。
また、6両中2両に動力車が入ることになり、モーターがちゃんと協調してくれるかどうかも心配でした。
しかし実際に試運転して見ると・・・・・
もともと暗いライトは余り目立たず(^-^;
モーターも(同じロットということもあって)無事に協調してくれました!
もうすっかり嬉しくなった私は・・・何時間もの間、6連の115系を走らせて眺めてしまいました。。。。
*続いてKATOのクハ153に取付け
TOMIXの115系の成功で勢いを得た私は、続いてKATO製153系に手を付けました。
但し・・・KATO製153系・・・というか、同時期に製品化された181系などもそうなのですが、
加工の前に注意すべき点を書いておきます。
この頃のKATO製品は、車体をひっくり返すと床板に4箇所の爪があり、
この爪を押して外せば、床板と上回りを分離することが簡単にできるのですが。。。
実はこの爪、車内のシートを表現したパーツと一体になっているのです。
つまり、再度組立てるときには、屋根を外した状態でシートを上から押さないと、床板をはめ込めません。
屋根板を外すには、コツが必要。
連結面の小窓から細いドライバーなどを入れて屋根をちょっとだけ浮かし、
浮いた部分に爪楊枝の先や自分の爪を入れて更に持ちあげ、ボディを左右に開くようにすると、
屋根とボディのはめ込み部分が外れ、屋根を取り外すことができます。
慣れてしまえばどうということもないのですが、
連結面の窓や屋根板の縁を傷つけやすいことが、要注意ポイントです。
さて・・・無事に(屋根まで)分解ができたら、TOMIX115系と同じく床板の加工をしていきます。
この製品も、スカートとダミーカプラー部分が床板にはめ込まれているので、簡単に取り外せました。
台車は樹脂製中心ピンを使ったはめ込み式、さらに簡単に取り外せます。
先ほどと同様、先頭付近の床板の幅を詰めればOK・・・かと思いきや!
TOMIXのように床板の先頭部に段差のないKATO製品は、そうはいきませんでした。
このままTNカプラーを取り付けると、カプラーやスカートの位置が、下過ぎるのです。。。
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左写真:床板からスカートを取り外したところ
右写真:床板の幅を詰めたところ
そこで床板をTNカプラー基板部と同じ厚みぶん削って段差をつけようと考えましたが、
見ればクハ153の床板はかなり薄く(TNカプラー基板よりも薄い!)、それは不可能でした。
そこで打った手は・・・細く加工したばかりの床板を、ばっさりと切り取り、
代わりに、切り取った部分と同じ幅(TNカプラーがはまる幅)に加工した、1.0mmプラ板を瞬間接着剤で接着、
これをTNカプラー取付用のベースにすることにしたのです。
結果は大成功でした。
153系の床板とTNカプラー基板とでは厚みが異なるため、115系のようにツライチにはなりませんが、
そのおかげで、出っ張っているカプラー復元バネの支点部は床板と干渉しませんでしたし、
カプラーやスカートの高さ(車体裾との位置関係)も、これで「ぴたり」だったのです。
ただもう一点・・・1.0mmのプラ板では、少々厚みがありすぎたようで・・・・
このままではTNカプラーの取付穴が、プラ板の上に出てこないので、真鍮線を通せないのです(^-^;
そこでプラ板をちょっとだけ薄く削りました。
0.8mmくらいの厚さが適当なのでしょうね。
でもそのおかげで、真鍮線がかなりきつく固定されるようになったので、接着剤は使用せずに済んでいます。
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左写真:床板に接着したプラ板に、真鍮線を通して固定
右写真:床板とTNカプラー基板とはツライチではありません
さて、115系同様スカートを接着し、車体を組み上げて完成です。
屋根を取り外さないと床板とボディが固定できないのは、先に書いたとおり。、
ボディにはめる前に、相手側の車両と高さが合っているかどうかの確認も忘れずに。。。
これで、実感を損なうことなくクハ153同士の連結が実現しました。
完成した車両を組み込んだ、13両にもなる長大編成を作り、
やっぱり、いつまでもいつまでも走らせて眺めていたのでした。。。。
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左が加工済み、右が未加工
*153系の余談
以前中古で入手したクハ153(低窓)の1両は、前オーナーの手でTNカプラーが装着されていました。
なので今回自分で加工したのは、初回ロットの1両だけです。
既に加工されていた方も、同じ加工だと思っていたのですが・・・
今回よく見て、そうではないことに気づきました。
なんと、スカート一体型のTNカプラーを用いて、床板に(エポキシ接着剤で?)接着してあったのです。
見比べると・・・ジャンパー栓の形状も、今回使用した165系用とは異なっているじゃないですか。
これは何の車両用なのでしょう?
まぁ、連結には全く支障ないし、連結ればジャンパー栓は見えないから、構わないんですが。。。
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左写真:左が今回の加工品、右が前オーナーにより加工された中古品。カプラー周りの微妙な差に注意。
右写真:スカートとカプラーが一体となった部品を接着してあるんです。
*TOMIX製415系1500番台への取り付け
長男が入手した415系100番台との併結を実現するため、
415系1500番台旧製品への取り付けにも挑戦しました。
先に書いた115系の旧製品と同じような構造ですが、165系スカートが利用できた115系と違うのは、
内装パーツと一体化したスカート・・・これを活かしたまま装着することにしました。
最近の製品では、ワンタッチでTNカプラーが装着できるはずですが、
なにしろこの製品は、スプリングウォーム動力時代のものですから。。。
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先頭車にはダミーカプラーが付いています
先頭車の床板を外してみると・・・ダミーカプラーが装着されていて、
その部分の幅が狭い上に段差があるので、
ダミーカプラーを取り外せば、TNカプラーの取り付けベースとして使用できます。
加工するのはダミーカプラーを挟むように飛び出ている棒状の突起、これを切断するだけです。
しかし、TNカプラー側は、結構な加工が必要です。
というのも、スカートが車内を表現した灰色のパーツと一体となっていて、TNカプラーぶんの幅がないのです。
そこで、スカートの内側に収まるよう、TNカプラー台座部分の幅を詰めることになりました。
加工範囲は、取り付け用の2つの穴のうち、車端側にまで及びました。
この部分を切り取る必要があったため、真鍮線を通す固定用の穴は1つになってしまい、
仕方なくTNカプラーの台座部分と床板との固定には、ゴム系接着剤を併用しました。
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左写真:左がTNカプラー装着、右が未加工の床板先端部。
先端両側の棒状の突起を切断すれば、TNカプラー装着にぴったり。
右写真:スカートとの干渉を避けるため、TNカプラーを切削。結果として、通す真鍮線は1本になりました。
強度が不安なので、ゴム系接着剤を併用しています。
続いて、ボディ前面の加工です。
TNカプラーの台座部分には、カプラーの胴受け部やジャンパー栓が表現されており、
これらがボディ前面裏側に干渉してしまうのです。
前面の白い部分は別パーツのはめ込みとなっているので、まずはこれを取り外します。
そして、下写真のようにTNカプラーと干渉している部分をカットします。
これでようやく、前面からほどよい位置にTNカプラーが出てくれるのです。
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左写真:左が未加工の前面、右が加工した前面。
右写真:スカートと前面裏側ボディを避け、なんとか収まったTNカプラー。
これで完成。
以前、増結用クハの2両には、アーノルトカプラーポケットを利用し、KATOカプラー化していました。
今回、基本セットのクハ2両にTNカプラーを装着したことにより、
415系100番台とのいろいろな組み合わせでの編成が可能になったのです。
見た目もKATOカプラーよりTNカプラーの方が優れているため、
いずれ全てのクハをTN化しようと思っています。
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左がTNカプラー装着車、右がKATOカプラー装着車。