マイクロエースの製品化は、相変わらず凄い勢いです。
電機も例外ではなく、我が鉄道にも次々と増備されているのですが・・・
そこにひとつ大きな課題があります。
それは、カプラー。
マイクロエース製品はアーノルトカプラーが標準となっており、
ロコは、KATOカプラーやTNカプラーの装着を想定していないのです。
我が鉄道はKATOカプラーを標準としているので、このままでは客貨車を牽引できなくなってしまいます。
そこで、KATOカプラー、またはSHINKYOカプラー化を考えることになりますが、
マイクロエース製品は形式ごとにカプラー部分の構造が異なる、ということが、次の課題になります。
つまり・・・製品を買うと、毎度毎度、改造方法を考えなくてはならないのです。
そこでこの項では、マイクロエースの各形式ごとの改造方法を検討・紹介してみたいと思います。
(折に触れて追加していく予定)
*EF13
正面デッキ裏にカプラーポケットがはめこまれており、
これを引き抜くと、KATOの電機と同じように、垂直に立っているピンにカプラーが刺さっていました。
そこで・・・このピンを活かすことにしました。
カプラーが刺さっているピンはKATOよりもいくぶん細く、0.7mmくらいです。
アーノルトカプラー交換用KATOカプラー(Bタイプ)の根元にピンバイスで0.7mmの穴を開け、
ここに差し込んでみると・・・キュッという感じで入り、そのまま固定できました。
元々、カプラーは緩く入っていて、板バネで復元する構造ですが、
デッキ部分自身が首を振る構造なるので、カプラーが固定されても実用上差し支えありません。
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左写真:デッキ裏のカプラーポケットを外したところ。デッキとは独立した先輪に注目。
右写真:KATOカプラーの根元に穴を開け、カプラーポケット内の垂直ピンに差し込む
後はこのカプラーポケットを元の位置に戻すだけです。
これは、極めて簡単な工作でした。
マイクロエースの場合は、カプラーを固定するピンが細いので、
根元の細いSHINKYOカプラーでも、同じようなことが可能だと思います。
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KATOカプラーが簡単な加工で付きました
*EF16
外見は、EF13にとてもよく似ているEF16、構造もほとんど同じだろうと考えていたら・・・
そこはやはりマイクロエース、全く違っていました。
まず、EF16の場合は先輪がデッキに固定されていて、デッキと別に首を振る構造のEF13とは違います。
おそらく、EF16よりも製品化が遅かったEF13では、
先輪の追従性改善などの理由で、設計変更されたのでしょうね。
また、EF16にはスノープロウがあります。
これがカプラーポケットの下にはめ込まれているのですが・・・なんと接着剤も併用されていました。
なので、これをこじって取り外します。
すると、EF13と同じように、カプラーをポケットごと取り外すことができます。
このあとの加工はEF13と全く同じようにできますが、
EF16では、SHINKYOカプラーを用いてみることにしました。
SHINKYOカプラーは、カプラーが2つに分かれていて、それらを固定するための2つの穴がありますが、
このうち根元側の穴を、「カプラーポケット内のピンを差し込む穴」として流用するのです。
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左写真:デッキ裏の構造がEF13とは全く違い、デッキ自身に先輪が固定されていました
右写真:カプラーをカプラーポケットに固定する方法は、EF13とほぼ同じ。但しこちらはSHINKYOを利用。
カプラーの根元側の固定用ピンは切り取り、ナックル側の穴だけで組み立てます。
切り取った側の穴は、0.7mmのピンバイスで貫通させます。
そしてこの穴を、カプラーポケット内にある垂直のピンに、「キュッ」と差し込めば完成です。
カプラーポケットのピンが、SHINKYOカプラー自身の2つのパーツを固定する役割もはたしてくれるので、
強度的にも問題ありません。
カプラーがデッキに固定されても、実用上全く差し支えないのは、EF13の場合と同じです。
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SHINKYOカプラーを用いると、見た目がより実感的になります
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EF16とEF13[の取り付け状態の差
*ED74
旧型電機と違って先輪やデッキのないED74は、カプラー自身が首を振るようにしなくてはなりません。
そこで、もともとの構造(板バネによる復元)をそのまま活用することにします。
当初は、KATO製の電機に用いられている、KATOカプラーアダプターを用いようと考えました。
しかし、KATO製に比べてカプラー固定用ピンの細いマイクロエース・・・
そのままではKATOカプラーアダプターが簡単に抜けてしまいます。
そこで、ここでもKATOカプラーBタイプを用いることにします。
しかし今度は首を振らせるために、根元に開ける穴は0.8mmとしました。
これでカプラーは緩くはまるようになり、首をふってくれます。
また、穴を大きくするため、根元の細いSHINKYOカプラーは用いないことにしました。
しかし、さらにもうひとつの難関が・・・
どうもスノープロウがスカートに接着されているようなのです。。。
これでは、カプラーを装着した状態で、カプラーポケットを下からはめ込むことができません。
マイクロエース製品を分解しようとしたとき、困るのがこの「接着」です。
迂闊に取り外そうものなら、他の部分まで破壊しかねません。
KATOかTOMIXは、ほぼ100%はめ込みだけで組み立てられているのに。。。
そこで考えたのが・・・(穴を開けた)KATOカプラーの根元に、さらに切り込みを入れ、
KATOカプラーアダプターのように、車体前面からはめ込めるようにしてみました。
これでどうにかなったようです。
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左写真:穴を開けるだけではなく、切り込みを入れ、前面からはめ込めるようにしました。
右写真:装着状態。このスノープロウが曲者でした。復元バネはKATOのものにしています。
尚、復元用バネは、KATOの燐青銅のものに交換しました。
マイクロエースの復元バネは、復元性のない金属(銅)か、やや厚みのある透明樹脂なので、
薄くて力の強い、KATOのものにしたのです。
ただし、寸法(長さ)が合わないので、若干切っています。
これで、スノープロウを破壊せず、首を振らせ、かつ復元性を持たせながら、
KATOカプラーを取り付けることができました。
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ちょっとコツがいりますが、これでOK
*ED16
正面デッキ下にカプラーポケットが固定されていて、その下にスノープロウが付いています。
スノープロウは2つのツメではめ込まれているので、ちょっと引っ張れば外せます。
カプラーポケットも、同じく2つのツメでデッキ裏に固定されているので、両側からつまんで取り外します。
どちらも弾力性のある柔らかい樹脂でできていて、折れる心配はありません。
取り外してみればEF16と同じような構造ですが、
スノープロウが完全はめ込み式となっていて、接着ざれていないことが異なります。
どこかしら方式が違うのが、マイクロエースらしいところです。
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左写真:スノープロウもカプラーポケットも、デッキ裏にはめ込まれています。
右写真:SHINKYOカプラーのナックル側の穴を利用して、カプラーポケットに固定。
カプラーポケットの構造自体はEF13、EF16とほぼ同じだったので、SHINKYOカプラーを使ってみました。
但しED16はデッキが短いので、カプラーの柄を短くしたほうが、取り付け位置がいい感じになります。
そこで、SHINKYOカプラーの固定用の2つの穴のうち、EF16とは逆にナックル側の穴を利用しました。
これを0.7mmのドリルで貫通させ、カプラーポケット内の垂直ピンに差し込むと、
きゅっという感じで固定できます。
例によってカプラーが首を振らなくとも、実用上、差し支えはありません。
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カプラーの出方もちょうどいいでしょう?
*ED17
デッキのないED17は、台車にカプラーポケットが2つのツメで固定されていて、
つまんで引っ張れば簡単に取り外せました。
ボディを外したり、他の部品を外したりする必要もありません。
カプラーポケットを外してみれば、どうやらこれはED16と共通部品のようですね。
車種ごとに構造やパーツが異なることが当たり前の、マイクロエースにしては、珍しいことです(笑)
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左写真:台車裏側にカプラーポケットがはめこんであります。
右写真:ED16と同様の加工で、SHINKYOカプラーを固定。
なので、後はED16と全く同様の加工です(加工方法は
ED16の項
を参照ください)
やはりSHINKYOカプラーのナックル側の穴を固定に利用すると、
取り付けた際にカプラーがちょうどよい位置に来てくれることもわかりました。
ED17も台車と一体でカプラーが首を振る構造のため、
例によってカプラーポケットにカプラーがきつくはまり込んでも、全く問題はありません。
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カプラー位置は、ちょうどいい、あんばいでしょう?
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ED16とED17の取り付け状態の差
*EF65
2007年に発売されたEF65は、それまでのマイクロエース製電機とは異なるカプラー構造をしています。
発売時の状態ではダミーカプラーが付いているので、連結可能にするには、
ダミーカプラーを引っこ抜き、代わりに付属のアーノルトカプラーを差し込むようになっています。
しかしこのアーノルトカプラーは、首の部分が左右に曲がる構造で、非常に長くなってしまいます。
左右に首を振らないダミーカプラーがささっていた小さな穴の裏にはカプラーポケットもなく、
これでは他のカプラーへの変更は容易ではありません。。。
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左写真:製品の状態。全く首を振らないダミーカプラーが付いています。ダミーのくせに「不格好」です。
右写真:スカートを外し、カプラーを抜いたところ。この小さな穴でどう加工するか・・・
確実な改造方法として考えられるのは、KATOのEF60用のスカートを入手し、それに交換することです。
EF65の1次型のスカートは、EF60とほぼ同じなので。
しかし、あいにく手元にそのパーツのストックがなかったため、
製品のスカートに加工をして、SHINKYOカプラーを取り付けることにしました。
まず、ボディと動力を分離し、スカートを取り外します。
スカートからダミーカプラーを抜き取り、ATS車上子保護板も抜き取ります。
例によってスカート、車上子の固定用のツメを折らないよう、慎重な作業が必要でした。
加工の邪魔になるスカートの裏の余分な突起は、デザインナイフで切り取り、
カプラー穴を少しずつ拡大していきます。
穴を拡大する理由は、SHINKYOカプラーの根元を入れなくてはいけないことと、
カプラーは左右に首を振らなければいけないためです。
デザインナイフの先端を使って少しずつ広げていけば、なんとか加工できると思います。
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スカート裏の加工の様子
SHINKYOカプラーは、根元側の穴をカプラー固定用に使います。
根元側の足を切り取り、(ナックル側の足だけで)カプラーを組み上げた後、
根元側の穴を、0.7mmのピンバイスで、穴を貫通させました。
続いて、スカートにSHINKYOカプラーを差込みます。
前面から見てカプラーの位置が適切になるよう、スカートの上面(動力ダイカストに接する部分)に、
目分量で印をつけ、そこに0.5mmの穴を開けました。
ここに、0.5mmの真鍮線を差込み、SHINKYOカプラーの穴にも通します。
スカート側は0.5mmの穴に0.5mm線なので、きつくはまりこみ、そのままでも固定されていますが、
念のため、瞬間接着剤を流して固定しました。
また、カプラー側の穴は0.7mmなので、0.5mmの真鍮線を通しても、左右に首を振ってくれます。
スカートの下部で支えられているため、カプラーが抜け落ちる心配もありません。
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真鍮線を貫通させて、SHINKYOカプラーを固定します
あとは全てのパーツを元に戻すだけです。
本来は見た目が優れているはずのダミーカプラーよりも、
SHINKYOカプラーの方が、機能だけでなく見た目も優れているのですから、
これじゃぁ、ダミーカプラーを付けている意味などありませんね。
よくわからないコンセプトです。
尚、この改造方法はカプラー復元バネは設けていないため、カプラーは自動では正面を向きません。
従い、自動連結させるのは難しいでしょうが、
一旦連結さえさせてしまえば何の不都合もないので、このままにしています。
気に入らなくなったら、KATOのスカートに交換できますしね。
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ダミーカプラーよりも、断然見た目がいいです(笑)
・・・ということで、やっぱりすぐに気に入らなくなったので、KATOのEF60スカートに交換しました。
EF65の1次型はEF60と同じスカートなので、間違ってもEF65用スカートを買ってはいけません。
いつもどおり、KATOのASSYパーツの運転席部分を切り取り、
ボディ前面と動力ダイカストの隙間に挟み込んでみると・・・
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左写真:左がKATOのEF60用スカートを加工したもの、右が製品についていたもの
右写真:こういう形(KATOカプラーアダプター、ATS車上子付き)にしてはめ込みます
これがぴったりでした!
もちろん、KATOカプラーアダプターとATS車上子を取り付けた状態で装着します。
KATOのASSYパーツを用いれば、変なダミーカプラーの工作をしなくても済むし、
マイクロエース製品の弱点・・・スカートの上下寸法の短さや位置が引っ込みすぎている点が改善でき、
ずいぶんと顔つきがよくなります。
これなら、このページの趣旨とはちょっと違いますが、
最初からスカートを交換してしまったほうがいいかもしれませんね。
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KATOのEF60用スカートに交換したら、顔つきがよくなりました
*EF53
EF53は、正面デッキ裏に小さなネジがあります。
このネジは、(先輪を支えている)金属製パーツとカプラーポケット、及びデッキを固定しています。
ネジを取り外すと、デッキ部分をバラバラにすることができました。
続いて、カプラーポケットの上面からアーノルトカプラーと復元バネをねじって取り外し、
代わりにKATOカプラーをねじり入れました。
復元バネが金属のコイルバネだし、カプラーポケットもごく普通の形状をしていたので、
ワンタッチ交換可能なKATOカプラーBタイプを用いたのです。
ここまでは非常に簡単です。あっという間に作業完了・・・と思いきや・・・
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左写真:デッキ裏にある小ネジ(KATOカプラー取り付け後の状態)
右写真:ネジを外すと、このように先台車付近が、簡単にバラバラになります。
意外とその後の組立が大変でした。
動力台車前方に飛び出ている、先台車取り付け用の「腕」、そこに開いた穴を、
動力台車を手で押さえながら、カプラーポケットの付いている樹脂製パーツと、
先輪の載っている金属製パーツとで挟み込むのです。
しかも、さらにデッキを載せた状態で、裏からネジを締めなくてはなりません!
・・・腕が3本欲しくなりました!
結局、そのままではどうにも組み立てられず、
金属製パーツに少量のゴム系接着剤を塗って、(動力台車の腕を挟んで)樹脂パーツと仮固定しました。
その上でデッキを載せ、裏からネジを締める・・・という方法をとりました。
若干エンドビームからカプラーが出過ぎているようにも見えますが、これでよしとしています。
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ちょっとカプラーが出過ぎかも。。。
*EF58
EF53同様、EF58も先台車裏に小ネジがあります。
これを取り外すと・・・やはり同じように、先台車を分解することができます。
違うのは、先台車を支えている部分が金属ではないこと、デッキがないこと、
そして・・・エンドビームに連結器開放てこがあることです。
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左写真:先台車裏の小ネジ
右写真:ネジを外すと先台車がバラバラになります。
この開放てこは、エンドビームと一体成型されています。
なのでアーノルトカプラーを外す際にも、代わりにKATOカプラーを入れる際にも、邪魔になるのです。
しかし考えてみれば、工場で製品を組み立てているのですから、それが出来ないはずはありません。
案の定・・・開放てこの下の僅かな隙間を使い、なんとか作業することができました。
カプラーさえ入れることができれば、デッキがないぶん、再組立はさほど苦労することもありませんでした。
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開放てこがあるため、カプラーの脱着は気を使います
尚、写真に載せた作例は試験塗装機(16号機)なので、下回りが灰色になっています。
KATOカプラーの灰色のものを使いましたが、それよりもさらに明るい灰色だったので、
若干色合いが異なってしまっていますが、許容範囲でしょう。
*EF61(リニューアル品)
EF61は、スカートの裏側にカプラーポケットが装着されていて、ED74と似た構造になっています。
このカプラーポケットは、ボディと下回りを分離しなくとも、簡単に取り外せる上、
しかもED74よりも若干ポケットに奥行きがあるようなので、
KATOカプラーアダプターを、そのまま交換して使うことができました。
カプラーを固定する垂直のピンは、KATO製品よりも細いのですが、実用上差し支えはありません。
なので、ここに紹介してきた今までの電機の中では、最も加工が簡単です。
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左写真:製品の状態
右写真:カプラーポケットを取り外し、KATOの燐青銅バネを装着。
ただし・・・そのままだと、製品に使われている透明樹脂の復元バネが、かなり心もとないので、
KATOのカプラーセットに付いている燐青銅製のバネに交換しておきました。
EF61のカプラーポケットよりも長いため、切って使いました。
KATOカプラーアダプターは、カプラーポケットを元の位置に戻してから装着します。
正面から差し込めば、まるでKATO製の電機であるかのように、自然に装着することができました。
まだ確認はしていませんが、リニューアル前の旧製品も、同様にできるのではないかと思います。
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*EF70
カプラーポケットを引っ張って取り外してみると・・・
EF70のカプラーポケットの構造は、上記のED74に非常に似ていました。
というか、カプラーポケットに奥行きがない構造とか、カプラー固定用の垂直ピンが細いとか・・・
ほとんど同じだと思います。
しかしなぜか、EF70の方はKATOカプラーアダプターを、ワンタッチで取り付けることが可能でした。
これでちゃんと首を振るし、付属の金属バネで、しっかりと復元します。
スカートからの出具合も、ちょうどいい感じです。
ED74と違う部分があるとすれば、カプラーポケットがスカートからかなり奥まった位置に付いていること、
くらいなんですがねぇ。。。
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左写真:カプラーポケットは非常に薄くなっています。
右写真:KATOカプラーアダプターがワンタッチで取り付けられました。
カプラーポケットはスカートから離れた位置にあります。
そしてこのカプラーポケット、2つのツメでスカートに固定されているんですが、
かなり緩くなっていて、ぐらぐらしているんです。
なので・・・客貨車の牽引時にカプラーが引っ張られると、
カプラーポケット自身が傾いてしまい、カプラーの高さが狂って、開放しやすいという弱点がありました。
特にこのEF70はスカートから奥まった位置に固定されているため、
牽引時の傾きが大きくなり、自然開放する頻度が高くなってしまっています。
そこで、カプラーポケットとスカートとの固定部分に少量の瞬間接着剤を流し、
カプラーポケットのぐらつきを抑えておきました。
これで、自然開放をかなり防ぐことができるようになったようです。
*EF62
EF62のカプラーポケット構造も、EF70とほぼ同じでした。
違いは復元バネが透明樹脂になっていること、
固定位置がEF70よりスカートに近い位置になっていること・・・くらいです。
従い、EF62もワンタッチで、KATOカプラーアダプターに交換できます。
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左写真:復元バネ以外は、EF70と同じです。
右写真:カプラーポケットがスカートに接近しています。
EF70よりもスカートに近い位置に固定されているので、
カプラーが引っ張られても、自然開放する頻度は低くなっていますが、
たくさんの客車を牽引したときなどは開放しやすいので、
固定部分には瞬間接着剤を流しておいたほうが無難だと思います。
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尚、余談ですが、今回EF62からカプラーポケットを取り外す際、
誤って動力台車も取り外してしまったんです。
すると・・・その複雑な構造の台車は、すぐに元に戻すことはできませんでした。
ボディを外し、動力をばらし、台車をばらし・・・かなり大掛かりな復旧工事をするハメになったんです。
なんとか復活させられたものの、どこかが接触不良になったと見え、
ヘッドライトが点灯しなくなってしまいました。。。(涙)
こういったところは、やっぱりマイクロエースだなぁと思う瞬間です。。。
*ED53タイプ
ED53タイプは、ED19タイプと全く同じ製品です。なので、ED19タイプも同じ加工方法が可能です。
これらはおそらくED16の動力を流用したのだと思われますが、
カプラーポケット部分は、ED16とは全く異なり、非常に大きなカプラーポケット一体の蓋がついていました。
これを取り外すのは実に簡単・・・つまんでひっぱるだけです。
そして、取り外したカプラーポケットには、そのままKATOカプラーアダプターを装着することが可能です。
カプラーが左右に首を振るにはちょっときつすぎますが、実用上は差し支えありません。
但し、KATOカプラーアダプターの普通のタイプを用いると、カプラーが出すぎてしまいます。
そこで、短軸タイプを使用しました。
これでちょうどよい塩梅になります。
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左写真:デッキ下の蓋を引っ張ると簡単に外れます。
右写真:KATOカプラーアダプターが無加工で取り付けられます(作例は短軸タイプを使用)
ED53タイプは、無加工でKATOカプラーアダプターが取り付けられる、数少ないマイクロエース電機です。
両側交換に要する時間は、ほんの数分。
全ての電機がこうだったらいいんですけどね。。。
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*ED14タイプ(近江鉄道)
ED53タイプと(おそらく)同じ動力を使用しているのが、近江鉄道ED14タイプです。
ただしこちらは先輪がないぶん、さらに簡単な構造になっていました。
デッキ下に、台車枠と一体で首を振るカプラーポケットがあり、それをスノープロウで下から蓋をする、
・・・喩えるなら、電車や気動車の一般的なカプラー構造に近いと言えるでしょう。
カプラーポケットが台車ごと首を振るため、エンドビームは大きく欠き取られていて、
そこがちょっと非実感的ではありますが。。。
スノープロウは軽く引っ張ると外れたので、アーノルトカプラーを抜き取ります。
製品の復元バネにはコイルスプリングが使われているので、それはそのまま活かし、
KATOカプラー(アーノルトカプラー交換タイプ)を入れることにしました。
KATOカプラーなら、エンドビームとカプラーの位置関係も、ちょうどいい感じです。
スプリングがないと、カプラーが適切な位置に保持されないので、注意してください。
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コイルバネを用いた・・・見慣れた構造のカプラーポケット
あとは、スノープロウを元の位置に装着すれば、はい出来上がり。
コイルスプリング装着時に飛ばさないよう、ちょっとコツがいるくらいで、
他には特に注意することもありません。
ED53タイプとは、構造も、交換するカプラー部品も異なりますが、
工作自体は、同じように簡単なロコだったのでした。
*ED79
構造的には、EF70、ED74、EF62などとほとんど同じで、
スカートの裏側に、奥行きの少ないカプラーポケットがあります。
(スカートは復元性の弱い樹脂なので、ダイカストから取り外す際にはご注意ください)
このカプラーポケットを取り外し、
製品のアーノルトカプラーをKATOカプラーアダプターの短軸タイプにワンタッチ交換できます。
・・・と思いきや、KATOカプラ^アダプターの根元が大きいので、板バネがきつくなり、
板バネが外れやすいという傾向がありました。
なので作例では、カプラーアダプターの根元を少しだけ切削してみました。
これで板バネの張り具合を調整しておいたほうがよいようです。
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左写真:他の新型電機とほぼ同じ構造です。
右写真:KATOカプラーアダプターの短軸タイプの根元をほんのちょっと切削しています。
このように、一見同じ構造であるかに見えても、
なかなか同じ工作法では済まされないのがマイクロエースです。
もしかしたら、同じ形式でも車両ごとに違うかもしれません。
*デキ200(秩父鉄道)
このロコのカプラー構造は、今まで見たことがありません。
強いて言えばEF65に似ていますが、ロコの前面から飛び出した部分で首を振るEF65に対し、
デキ200はエンドビームより内側で首を振るようになっているため、数倍実感的でしょう。。
しかしこの特殊構造のため、ワンタッチでカプラー交換とはいかないのです。
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改造前の構造。カプラーには復元機能はありません。
しばらく改造方法を検討した結果、
0.5mm真鍮線を通した1.5mm角プラ角材を、瞬間接着剤でエンドビームの裏に貼り付け、
そこにKATOの「ナハフ11かもめナックルカプラー」を通してみました。
このパーツは根元に穴が開いているので、おあつらえ向きです。
但しカプラーは左右に首を振らなくてはならないので、真鍮線には通すだけにします。
また、カプラーが脱落しないよう、1.5mm角材の小片を差し込み、瞬間接着剤で固定しました。
カプラー高さは、エンドビームの縁に合わせるとやや高くなってしまうので、
それより0.5mmほど下げてあります。
そして、白色プラを艶消し黒のエナメルカラーで塗装し、目立たなくすれば完成です。
カプラーに復元機能がなく、自動連結は難しいですが、
連結してしまえば、解放などのトラブルはありません。
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左写真:数mmの長さに切ったプラ角材に0.6mmの穴を開ける
右写真:0.5mm真鍮線を穴に固定し、そこにかもめナックルを通す。
カプラーの脱落防止にも、1.5mm角材を差し込む。
*EH10
スカートが床板に、小さなネジ2本で固定されているという、他のロコにはない構造になっています。
ネジを緩めれば安全にスカートを外すことが可能で、ボディを外したりする手間はありません。
また、カプラーポケット自体はEF70、ED74、EF62、ED79と同じような構造なので、
KATOカプラーアダプターにワンタッチ交換か、と思いきや・・・
試しに交換してみると、KATOカプラーアダプターが「ゆるゆる」になってしまって、だめでした。
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スカートは床板にネジで固定されています
そこで、カプラーポケットを利用するタイプのKATOカプラー(グレー)に交換してみることにしました。
KATOカプラーの根元部分に、ピンバイスを用いて0.7mmほどの穴を貫通させ、
カプラーポケット内にあるカプラー固定用の垂直ピンに挿します。
・・・しかしこのままでは、カプラーの根元が大きすぎて取り付け部と干渉してしまい、
全く左右に首をふってくれません。
そこで、KATOカプラーの根元部分を斜めに削ってみました。
若干きつめではありますが、これでどうにか首を振るようになったのでした。
板の復元バネの効き方はちょうどいい具合ですが、
曲線通過時の安全を考えると、根元をもう少し削ったほうがいいかもしれません。
ただ、削りすぎるとKATOカプラーが分解してしまうので、要注意です。
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左写真:KATOカプラーの根元に穴を開け、さらに形状を加工して斜めにします。
右写真:カプラーポケットには、こんな感じで収まるようになります。
カプラー交換時は、まず先にスカートの穴にカプラーの根元を入れておき、
カプラーの根元に開けた穴にカプラーポケットの固定用ピンを通し、
カプラーポケットをスカートに固定する・・・という手順をふみます。
そのスカートをネジで床板に戻せば、出来上がりです。
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マイクロエースのスカートと、KATOカプラーの色合いは、ほとんど同じです。
*EF64
私の所有するマイクロエースのEF64は、37号機(茶)ですが、
一般色の場合も構造は同じだと思われます。
また、このカプラー周りの構造は、同社のEF80とも同じと思われ・・・かなり初期の設計みたいです。
今回は「無理に」カプラー交換をしてみましたが、はっきり言うと、あまりお勧め出来ません。
それほど、厄介な構造なのです。
すなわち・・・カプラーポケットはスカートには固定されておらず、
カプラー胴受け部分の灰色のパーツと組み合わさるようになっています。
この灰色パーツがスカートの表から、そしてカプラーポケットがスカートの裏から、
スカートを挟み込んでいて、それぞれが組み合わさって固定されているのです。
なので、スカートを取り外さないと加工することは難しいのですが、
スカートの素材は、マイクロエース特有の復元性の弱い(折れやすい)樹脂でできており、
取り外す際は要注意です。
気をつけないと、スカート固定用の爪を折ってしまうのです。
また、上記のような構造のため、分解した後の再組立も、慣れないとかなり面倒でした。。。
さて・・・今回使用するカプラーは、SHINKYOカプラーにしてみました。
EF16の加工方法と同様に、SHINKYOカプラー固定用の2つの穴のうち、根元側の穴を、
「カプラーポケット内にあるピンを差し込む穴」として流用します。
これを0.8mmのドリルで穴を貫通させると、ちょうどいい感じになります。
SHINKYOカプラーの根元はかなり細いので、
0.8mmの穴が横にずれないよう、注意して開けましょう。
また、カプラーの根元の広がっている部分ははこのままでは幅広すぎて、
先に書いた灰色のパーツと干渉してしまうので、両肩の斜めの部分をカットします。
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カプラー根元に穴を開け、カプラーポケットのピンに差し込みます。
この写真ではまだ、カプラー根元の斜めの部分をカットしていません。
これでカプラーがちょうどいい感じにスカートから出てくれるようになります。
高さも問題ありません。
しかし・・・カプラーの復元バネにカプラーの根元が届かないので、カプラーは復元しないのです。
実用上差し支えないと判断し、私はこのままにしましたが・・・
復元させたい場合は、コイルバネを入れる、などの工夫が必要でしょう。
ここまでできたら、カプラー周辺を元通りに組立て、スカートを戻して出来上がりです。
以上・・・構造も加工法も、文章で表すのが難しいので、よくわからなかったかもしれません。
ここに紹介したやり方は、やっぱりあまりお勧めしたくない機関車です。
もうちょっと簡単確実な方法があるかもしれないですし、
まぁ、参考程度に考えておいてください。
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加工さえうまくできれば、とても格好良くなるんですけどね。