このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
北海道のチベットと言われる夕張山地を石勝線はトンネルで串刺しにしていく。 日高町を経て、沙流川を遡り、日勝峠を登り詰める国道274号線。 それに対して石勝線は占冠村を通り、鵡川源流から狩勝峠へとアプローチしている。 トマムはその鵡川の源流近くのリゾート地。 列車はトマムへと向けて鵡川を軽快に遡ってゆく。 14時27分、トマムは晴れていた。 リゾート地らしい長いプラットホームに降り立った我々は、澄み切った青空に歓声をあげた。 ジメジメした服もこれなら乾きそうだ。 嬉々としてホームの横で自転車を組み立てなおす。 いやぁ、日差しが暖かい!! それでも8月下旬、北海道は既に秋の匂い。 エンドバーの先にトンボがとまっていた。 さて、ここからは快適なサイクリングだ。 いざ狩勝へ。 狩勝へ行くには、その前に一つ分水嶺を越えて南富良野町落合に行かなくてはならない。 上トマム集落のすぐ先に鵡川と空知川を隔てる分水嶺があるのだが、標高は500m強で、この辺りにしては異例の低さである。 トマム駅自体が500mを越えているので、大した登坂ではない。 澄み切った青空の下、交通量の少なく、広々とした道をのんびりと登っていく。 最高に気持ちよい。 ずっとこうであれば良いのにな。 こんな山奥に似つかわしい超高層ビル。 トマムリゾートが誇る超高層ホテル「ザ・タワー」である。 高原に100m超のビルがニョキニョキ生えている、というバブリーな光景だ。 経営状況はどうなんだろう。 反対側では道東自動車道の工事が急ピッチで進んでいる。 昔は陸の孤島であったトマムも随分変わっていくのだなぁ。 非日常的なリゾートから少し離れると、この辺りの現実を目の当たりにする。 過疎が進む上トマム集落。 シャッターが下りたままの占冠スーパートマム店。 恐らく占冠本村とここの2店舗だけなんだろうな。 別の商店でアイスを買って食べる。 道東道建設のためか、ガタイの良い方々で賑わっていた。 上トマムから僅かに登ったところで南富良野町に入る。 15時42分、日暮れは近づいている。 暗くなる前に狩勝峠を越えねば…!! 南富良野に入ってからは、下りっぱなし。 交通量の少なさも手伝って、快調に進む。 下り坂の途中。 石勝線の串内信号所があった。 偶然やってきた貨物列車。 おぉぉぉ、長い長い。 ここから落合までひたすら下り、その勢いで狩勝峠の上り坂に差し掛かった。 |
狩勝峠登坂中における唯一の写真である。 それだけ漕ぐこと以外に頭が回らなかったのだろうか。 大した急坂はないのだが、ダラダラと登っていく狩勝峠。 やはり今日一番の難所であった。 最後の大きなヘアピン、辛かった。 17時5分、狩勝の頂上は霧の中であった。 十勝の風景はまだお預けらしい。 狩勝峠。 日勝、三国、石北と並んで道央と道東を隔てる背骨を越える重要な峠である。 しかし1,000mを越える他の峠に比べれば、赤子のようなものだ。 同じ背骨でも、一番くびれた腰の辺りを越えてきたことになる。 我々のチャリダーレベルなど、たかが知れている。 ひよっ子なりに別海を目指してやる。 そう開き直っていた。 17時28分、新得町へ。 いよいよ霧の下に沈む十勝平野へ下っていく。 霧深いので、ライトを点灯し、ブレーキを駆使しながらゆっくり下っていく。 ペダルを回すこともないまま、一気に平野へ。 お陰で体が冷えてしまった。 すっかり暗くなった新得駅前。 格安銭湯で体を温める。 19時54分、すっかり暗くなった清水町に入る。 街頭など皆無の国道を慎重に漕いでゆく。 途中、スーパーで割引となった惣菜を買って今夜の宿へ。 今夜はJR根室線の羽帯駅という無人駅で一夜を明かす予定であった。 しかし…。 蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲!!!! 頼みの待合室は無数の虫たちによって占拠されていたのだ。 虫除けスプレーやら色々試してみたが、敗北。 我々は羽帯駅を後にした。 羽帯駅近くのパーキングで夕食を摂りながら会議。 明日は雨。 なんとか屋根のある所で泊まらねばならない。 他の駅も同じような状況であろうし、結局芽室町まで頑張って、そこでビジネスホテルに泊まることにした。 その日は芽室駅前のタクシーの運転手さんの情報と、宿主さんのご好意によってビジネスホテルに泊まることが出来た。 そして、我々は夜自転車を走らせることの恐ろしさを知った。 暗い道。 強盗のアダルトビデオ販売機を叩きまくる音。 突然の落雷。 父親からメールが来ていた。 三つの「く」、車、暗い道、熊に気をつけろ。 そのうちの2つの恐ろしさを今日、味わってしまった。 明日からは、早めに宿を決め、暗い道をなるべく走らないでおこう。 多くの反省を残したまま、一日目の夜は更けていった。 |
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