5 フラットな除雪山ルート


次の山は、第二の山から西へ100m程歩いた所、地図で言うと③〜④の位置にあった。上の画像はこの山のほんの一部を写したものであるが、かなり巨大である。大きさの割に高さは低く、なだらかな高原のようになっている。そして、そのなだらかさがこの山の一番厄介なところなのだ。

まずは堅そうな西側急斜面を登りつめる。前を行くのはちるどれん氏である。ここ難なく攻略する。

また同じような風景である。風はさっきほどは強くない。

これがこの山の上部である。見事なくらいフラットである。このように風で均された粉雪というのが厄介で、踏み込むとそれこそ膝上まで足がはまることになる。こういう場所で足場を探す手掛かりとなるのが僅かな起伏だ。出っ張っている所は、粉雪の下に堅い氷塊があることを示しており、そういった所を渡っていくのがコツである。そういった事を考慮しながら慎重に足場を探す。

よし、このルートだ。写真に赤線で示した、南側斜面に沿った他の所よりも起伏が大きいルートである。北側のフラット地帯は危険と判断したのだ。選んだルートを慎重に渡ってゆく。島から島へ、こんな表現ぴったりであろう。間の柔らかな部分を踏んだら次のようなことになる。

ずぼ。
この足跡、50センチ以上踏み込んだ気がする。足を引き抜くのにかなり苦労した。さらに…。

足を引き抜こうともう一方の足に力を入れたら、その足もズッポリはまり……。こんなことを繰り返した結果が上の写真だ。結局少し引き返して、この地帯を迂回するようにして抜けた。除雪山歩きにはこういったこともしばしばである。

ふと北側のフラット地帯を眺めてみる。見事な風の造形美。まるで氷河のようになっている。恐らく踏み込んだら最後、底なし沼のように抜けなくなるであろう。

後は下りるだけだ。今まで来た道を振り返ってみる。柔らかそうな雪の中、うねうねと足跡が伸びている。そんな旅路の余韻を噛みしめながら、斜面にジグザグの足跡を刻んでゆく。一気に駆け下りるのも良いが、余韻を楽しむためにはやはり九十九折りだ。

下山後振り返ると、細々とした足跡が残されていた。余韻に浸るのもそこそこに再び辺りを散策し始めた我々は次なるコースを発見した。しかも今のと同じ山に存在するコースである。
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