このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

国道19号線 犬戻トンネル旧道



春休みを利用して、実家の長野に帰った天空開発。
札幌と違い、雪のまったくない路面を見て、テンションが上がりまくった私はさっそくサドルに跨った。
テンションは上がっていても、自転車に関してはまだ素人。
しかもママチャリだ。
そんなに遠くへは行けない。
と言う訳で目的地を長野市内に絞った。

地図とにらめっこした末に選ばれた場所は小田切ダム周辺。
長野市西部、千曲川(信濃川)水系犀川が長野盆地にでる直前の山地の中にある。
この辺りは1級国道19号線が犀川が作り上げた谷沿いに伸びている。
そしてその19号線では、近年工事により、新トンネルが次々と完成している。
ということは旧道も存在するということだ。

果たしてどんな旧道が待ち構えているのか。
私は意気揚々と家を飛び出した。


地図を開く(別ウィンドウ)


 
① 県道381号線


川中島駅前で飲み物を購入した私は、県道381号線で小田切ダムを目指す。
集落の中の細い道をしばらく行くと犀川が見えてくる。
写真は犀川に寄り添うように伸びている県道381号線だ。
対岸に国道19号線の白いガードレールがあるのが見えるだろうか。
このまま県道381号線は国道19号と向かい合ったまま犀川沿いをひた走る。



 
② 両郡橋


しばらくすると山の狭間から、ハープの弦のような物が見えてくる。
両郡橋を支えるワイヤーである。
両郡橋は比較的新しい橋で、以前はもっと無骨な鉄橋だったと記憶している。

ともあれ、ここで国道19号線と合流し、県道381号線はここで終わる。
橋の上流には小田切ダムが見える。
白い岩が目を引くが、この辺りは石灰岩が露出している所が多い。



 
③ 小松原トンネル


すぐに国道19号バイパスと合流する。
本来の19号が犀川を渡り、長野市街地を目指すのに対し、
バイパスは小松原トンネルで山塊を貫き、川中島の方に抜けている。
写真の奥に見えるのが小松原トンネルである。

確か長野オリンピックに合わせて作られたトンネルだ。
長野市から白馬村へ抜けるルートとして、19号線も一部使われたためである。
それに合わせ、19号線はあちこちが線形改良されている。



 
④ いよいよ旧道


今回通る旧道の横をぶち抜く犬戻トンネルもオリンピックが産んだ副産物である。
左の写真。新トンネルの脇にひっそりと佇む旧道トンネルだ。
一台パワーショベルが止まっているが、ゲートは開いている。
入っちゃえ。

ゲートの向こうには狭い穴がポッカリ口をあけていた。
双子トンネル。昭和37年完成。
そんなトンネルがつい最近まで使われていたのだ。
しかも一級国道19号線においてである。
初めての旧道探索。
興奮しながら、いざ潜入!!

【追記】
α星さんの指摘により、トンネル名は双方トンネルではなく、
双子トンネルということが判明しました。
長野市街側の長い方が親、短い方が子だそうです。
双子なのに親子とはこれ如何に。



 
⑤ トンネル内部


中に入るとヒンヤリとした空気が私を包んだ。
案外広く感じるのは、周りに車が行き交ってないからであろうか。
しかし、大型車の往来が激しい19号線においては、やはりかなり狭かったのだと思う。
私も小学生の頃、このトンネルを車で通過したはずだが、まったく記憶にない。
長さは200メートル程で、車ではあまりにあっけなく通り過ぎてしまって印象に残らなかったのだろう。
この長さをチャリで十分に味わいながら通過する。



 
⑥ 窓部分


このトンネルの西側抗門は無骨なロックシェードに覆われている。
確かに頭上は崩れそうな断崖で、そこから雪解け水が少し流れ落ちてきていた。
このトンネルを抜けても、10メートル程先に次のトンネルが口を開けている。
どういうわけか、このトンネルの名前も双子トンネルである。

二つ目の双子トンネルに入る前に、僅かな窓の部分で深呼吸してみる。
10年前のこの場所では決して出来なかったことである。
それにしてもこの辺りの谷は本当に険しい。
トンネル上部などゴツゴツとした岩肌がそのまま犀川に落ち込んでいる。
河原など無いに等しい。
私が今立っている窓部分も、崖にできた僅かな窪みを無理矢理広げたような感じである。

19号線はこのまま犀川沿いを上流へ遡り、松本を通り、名古屋まで伸びている。
長野県の二大都市、長野と松本の間は現在こそトンネルでガンガンぶち抜いた高速道路があるが、
昔は犀川沿いの19号線、数々の峠越えが控えている403号線しかなかったのである。
19号線はそのメインルートとしての役割を担っていたのだが、今立っている旧道はあまりに貧弱だ。
改めて長野県の交通の障害となっている山々の険しさを感じた。

さて二つ目の双子トンネルに潜入だ。ゴー!!



 


双子トンネル(子)は双子トンネル(親)よりは短い。
資料によると約60メートルである。
チャリでもあっさりと抜けてしまう距離だ。
中には何やら木箱がたくさん積んであった。
何だろう…。
確か養蜂用の木箱があんな感じだった気がするが、こんな所にあるはずがない。
謎の木箱を横目に見ながら、トンネルを抜ける。



 
⑧ 旧道は続く


うーん、やっぱ狭い!!
「頭上注意」、「トンネル内 人・自転車に注意」の看板が今の19号線では考えられない。
確かに頭上の防石ネットが頼りなく見えるほど、上の岩が凄い。

旧道はまだ続く。
アスファルト舗装だったはずの路面が土になっている。
崩れたものが工事用車両によって押し固められたのだろうか…。
路面は固く、今でも車が入っていることが分かる。



 
⑨ 現道と合流


現道に合流する前にこんな物が…。
生まれ変わります 国道19号
当時のドライバーは生まれ変わることを心待ちにしながらこの道を走っていたのだろう。
きっとこの看板を見て歓喜したに違いない。

そして合流地点は、御覧の通りゲートで塞がれていた。
何故片方が開いているのか…。
入り口の重機が入るためだろうか。

とりあえず引き返すことにする。
ゲートの脇も抜けられるのだが、目の前を行き交う車のさらし者になるのが嫌だったのだ。
ご勘弁を。



 
なお、引き返すとき、④の地点、ちょうど旧道のゲートの前に人が立っていた。
いつのまに…。
見つかると色々面倒なので、新トンネル延長上のロックシェードの窓の部分から現道と合流することにした。
その際、立ち止まって見てしまったのが次の光景だ。




ガードレールがなぎ倒されている。
恐らく事故ではなく、土砂か雪の重みの影響だろうが、何となく不気味である。

さて、強引に現道に合流する。
チャリを担ぎ上げ、柵を越えてなんとかトンネル内へ。
こちらのトンネルは歩道完備だ。
歩道に突っ込んでくる車にさえ注意していれば、絶対の安全が確保される。
狭いトンネルも良いが、やはり近代的な広いトンネルは安心できる。

さて、これで終わりではない。
犀川を挟んだ対岸の市道にトンネルがあることは地図で確認済みなのだ。
両郡橋を渡ってGO!!




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