このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

札幌市道小別沢線



札幌市西区の琴似発寒川と左股川が出会う所に広がる福井地区
中央区の円山裏の高台に位置する宮の森地区
その二つの地区の間には、三角山、大倉山などの山体が横たわり、一本の道が峠を越えている。
それが札幌市道小別沢線だ。

小別沢は山塊の懐にある寂れた山村だが、地名度は割と高い。
それはこの市道にあり、心霊スポットの小別沢トンネルがあまりに有名であるからだろう。
今は新トンネルができているが、旧トンネルは1車線分の狭さで、不気味さ満点だったという。
新トンネルは旧トンネルを拡張しただけだという話を聞いていたが、どうやら違うらしい。
自動車学校でもらった地図によると、共有しているのは宮の森側で、福井側の入口は別だったのだ。
旧トンネルの姿はもう残っていなければ、わざわざ行く必要もないだろうが、残っているとなれば話は別だ。
私はママチャリのチャリノスケ号に跨り、福井へ向かった。




 
① 市道小別沢線分岐


私は道道82号西野真駒内清田線を緩やかに登り、福井までやってきた。
このまま道道を行くと、札幌市民御用達のバンケイスキー場、そのまま小林峠を越えて真駒内へと抜ける。
私は今、この道道と市道小別沢線の分岐に立っている。
案内標識には「宮の森」と「小別沢」の文字。
写真では見えづらいが、隣の電光掲示板は「小別沢線」「通行注意」と主張している。

ん………?
おかしいな。
既に通行困難な旧トンネルは廃されたはず。
現在、通行に注意を要する場所などあるのだろうか。

謎を残したまま、小別沢線に突入する。



 
② いきなり激しい下り


道道から左折すると、初っ端から蛇行を伴う下り坂が私を迎える。
しばらく先には上り坂が見え、谷になっている部分は橋である。
宝来橋で左股川を渡る。
下りで勢いをつけ、一気に上りにさしかかる。



 
③ 緩い上り


左股川を渡った道は、峠に向けて緩やかな上りに転じる。
このまましばらく登ると、小別沢の集落だ。
道はこれまた緩いカーブを描きながら、上ってゆく。
この一帯は扇状地となっており、畑が広がっている。
そして扇頂の部分に家が建ち並んでいるのである。



 
④ 小別沢集落


小別沢集落が見えてくる。
いくら緩いとは言えども、ママチャリにとってこの坂は辛い。
額からは滝のような汗が流れ始めた。

しかし相変わらず通行に注意するような箇所はない。
もしかして最初の蛇行か?



 
⑤ そして道は変化を見せる

小別沢集落最奥部にある小別沢会館(多分公民館みたいなもんだろう)まで来たとき、「通行注意」の謎が解けた。
答えは次の写真だ。


幅員減少!!
集落の終わりと共に、道が1車線になっている。
「通行注意」とはこのことだったのだ。
トンネルは新しくなったはずなのに…、全線改良したわけじゃなかったのかな。
いやあ、面白くなってきた。



 
⑥ 自然の中の道


道は細いまま、ひょろひょろと森の中へと分け入っていく。
脇には「通行注意」の立て看板。
こんな道だが、交通量が多いのが気になる。
やはり、主要な地域を結ぶ短絡路であるためであろうか。


札幌近郊にこんな良い道があったんだな〜。
緑の中、濃密な植物の匂いを嗅ぎながら、私は必死に漕いでいた。
徐々に坂がきつくなってきた。
そしてついに……。




ミシミシッ




チャリが悲鳴を上げた!!
踏ん張るため、後ろに重心をかけたらこの有様である。
これ以上はマズイ!!
急いでチャリから降り、押して登った。



 
⑦ 新トンネルと旧道


坂を登りきったところに、新トンネルは大きく口を開けて待っていた。
やはり、トンネルの直前で幅員が拡大している。
いずれ、細い部分も拡張されてしまうのだろうか。

そして写真の右側。
速度制限の標識のちょっと奥である。
細い道が分岐している。


こいつだ。
旧道である。
旧小別沢トンネルの福井側坑口へと向かう道である。

行くしかない!!



 
⑧ 旧道は森の中へ


新トンネルの脇から、分かれた旧道は森の中を登っていく。
それも、先程のものとは違い、不気味な森である。
森の中には廃屋も立っており、心霊スポットムード満点だ。
間違いない!!
旧小別沢トンネルは近い!!



 
⑨ 旧小別沢トンネル


鬱蒼と茂る森の狭間、落ち葉積もる道が行き止まりに向かって細々と伸びている。
その先にあるのはまさか…。


変わり果てた老兵の姿!!
非常に小さな坑口はベニヤ板で塞がれ、表面には怪しげな絵画が…。
一体何なんだ?このずさんな扱いは…。

私は今まで封鎖された廃トンネルを数多く見てきた。
しかし、その全てがコンクリートか、金網によって塞がれており、ベニヤというのは前代未聞である。
しかもあの落書き……。
恐ろしい悪意を感じてならない。

居心地の悪くなった私は、さっさとその場を去った。
嫌な雰囲気のトンネルであった。



 
⑩ 新小別沢トンネル


旧トンネルと違い、無機質な新トンネル。
等間隔で設置されたオレンジの照明と、この短さ、広さのおかげか、とても明るい。
この非常に風通しの良いトンネルを一気に走り抜ける。


宮の森側の坑口。
こちら側の入口は新旧共有である。
旧トンネルはこちらから見て、斜め左奥の方向へと進んでいたはずだ。



 
⑪ 一気に下る


宮の森側の坑口から180度視線を変えると、激しい下り坂が目に飛び込んでくる。
この光景を見た瞬間、私は福井側から登ってきて良かったと感じた(それでも疲れたが)。
「不法投棄はやめましょう」の幟の後ろに「スリップ注意」の文字!!

頼むからこんな道冬期封鎖にしてくれ!!
走り終えた後、私はそう思った。
それくらい険しい下り、行くぞ!!


下る下る下る〜〜!!
自転車はかなりのスピードで下っていく。
カーブを繰り返し、道はうねりながら麓へと下っていく。


宮の森の住宅街が既に目の高さに…。
もうこんなに下ったのか、という印象。
まだまだ下る。
ブレーキをかけながら慎重に下っていく。
いやぁ、宮の森の住民の皆さんは大変だな………。




 
⑫ ゴール!!


下りはあっけなかった!!
距離はそこそこあったんだけど、スピードが速すぎた。

小別沢線は左から来て、この交差点でゴール。
右奥へ進めば、札幌オリンピックのジャンプの舞台となった宮の森シャンツェがある。
左手前が札幌市街地方面である。

一時は謎に包まれていた市道小別沢線だったが、走り通してみると、バラエティに富んでいて面白い道だった。
長閑な農村から、自然豊かな森、そして斜面に並ぶ住宅群。
宮の森側から攻めれば、地獄を見ることもできるだろう。
今後も、機会があれば攻めたい。





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