このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

支笏湖ツーリング



マウンテンバイクを購入して1ヶ月強。
チームBBJもそろそろ遠出して、鍛えねばならないと考え始めた。
さもないと我々はチャリダー1年生から永久に進級できないであろう。

そこで2人の都合が合う日を選び、行なわれたのが支笏湖ツーリング。
具体的には、札幌市から国道453号線を南下し、およそ50キロ先の支笏湖へ行き、帰ってくるだけというものだ。
簡単に言っても、支笏湖に辿り付くまでには2つの峠を越えなければならないし、
何よりカルデラ湖である支笏湖の外輪山が最も険しい。

初心者2人は前日、地図とにらめっこし、足らぬ知識を駆使して簡単な日程を立てた。
朝の8時半に北海道大学裏を出発し、昼の一時に支笏湖、そこで飯を食べ、帰路につく。

若干寝不足のまま、当日の朝を迎えた。

※今回は走りに集中したため、写真が少ないですが、勘弁してください。


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① ひたすら札幌市街を南下

8:45 出発


北大裏の交差点で待ち合わせた我々は、国道230号線を南下し始めた。
目指すは札幌市南部の真駒内。
動き始めた街の中を、派手なシャツを着た二人組(我々)が猛スピードで駆け抜けていく。
今日はこの道がマラソンのコースになるらしいが、そんなことはどうでも良い。
俺達は支笏湖に行くんだ!!


南36西11の交差点で230号線とは別れを告げる。
そのまま進めば、定山渓温泉、そして中山峠、右は札幌市民憩いの藻岩山である。
我々は左折する。
豊平川を渡り、真駒内へ。



 
② 真駒内公園

9:30 真駒内公園着


今日のマラソン大会のスタート地点となる真駒内公園をかすめる国道453号線。
この公園は札幌オリンピックのスピードスケートの会場となり、現在は市民の憩いの場となっている。
人も疎らな朝の公園のベンチに座り、セイコーマートで調達した朝食を食べる。
闘い前にしては、静か過ぎる時間であった。
腹を満たし、いざ行かん!!



 
③ 徐々に始まる登坂

真駒内を過ぎ、石山、常盤という地区を通過するたびに標高は徐々に上がっていく。
常盤にある芸術の森で、イサム・ノグチ展が行なわれており、国道は大渋滞であった。
それ程勾配もきつくなく、車の脇をすいすいと抜けていく。
常盤のセイコーマートが最後の飲料補給所となると思われたので、お茶を購入した。

10:15 セイコーマートときわ



 
④ 滝野分岐


札幌市内最後の分岐。
右奥の橋へと進むのが国道453号。
左は滝野すずらん丘陵公園である。
この分岐辺りから、国道は本格的に登り始める。
覚悟OK?



 
⑤ 狂うペース

登坂が始まったが、序盤はまだまだ緩い。
このまま行けるんじゃないだろうか、とさえ思った。
前方にママチャリでこの坂に挑んでいる女性がいた。
我々は当然のように彼女を追い抜いた。

しかし厳しい登坂が始まったのはその直後だった。
一気にペダルが重くなり、頻繁なギアチェンジが余儀なくされた。
全身から汗が噴出し、頭部が熱くなるのを感じた。
我々は平らな所を選び、一旦休憩し、気持ちを切り替えることにした。
先程抜かした女性が、再び我々を追い抜いていった。

5分後、我々は走り出した。
しばらく登ると、私の眼は再びあの女性の姿を捉えた。
先を行くちるどれんが彼女を抜かしていった。
私はと言うと、いくら漕いでも彼女はおろか、ちるどれんに近づける気がしなかった。
荒い息が漏れ始め、顔は足元のアスファルトしか見ていなかった。
脇腹が痛み、気分は最悪だった。
昨夜の寝不足のせいだろう。
もはや小さくなったちるどれんの背中を見、私は歯を食いしばった。
彼に追いつかねばならない。
何とか踏ん張り、女性を抜かした。
ちるどれんは後方を確認し、私が疲労しているのを見ると、待っていてくれた。
再び休憩。
先程のポイントから1キロ程しか進んでいなかった。


私はバッタリとその場に寝転がった。
そのまま寝てしまいたかった。
無理そうなら、今日は峠まで行って帰るか?
ちるどれんの言葉が胸に突き刺さった。
なんだか情けない気持ちを通り越して、申し訳なくなった。
いや、支笏湖まで行くよ。
こんな所でくたばっていては、何処へも行けない。
ちるどれんにもこの自転車にも向ける顔がないというものだ。
私は立ち上がり、ちるどれんのアドバイスどおり、ストレッチをした。



 
⑥ 恵庭市突入

残りの坂を必死に上り詰める。
頭の中では、何故か「黒ヤギさんからお手紙着いた」の歌がリピートされ、非常に不快だった。
脇腹は酷く痛んだが、我々は確かに進んでいた。
それを称えるかのように、見慣れた物が見えてきた。


恵庭市のカントリーサインである。
札幌市は終わったのだ。
我々はガッツポーズをしながら、市界に自転車を停めた。
出発からおよそ2時間半後のことである。

11:10 恵庭市入り


峠から札幌市方面を眺める。
この辺りは、等高線もあまり密ではなく、道もそれ程険しくない。
しかし、真駒内公園から300メートル登ってきたわけだ。
チャリダー1年生のチームBBJには辛い道のりであった。
我々を颯爽と抜かしていったチャリダーや、
マイペースにママチャリで登り続けるあの女性にはまだまだ届かないと痛感した。


これがこれから進む道。
漁川の谷底まで一気に下り、恵庭岳の懐から外輪山を越えて行く山道である。
逃げ道は道道恵庭岳公園線だけだぞ。
ちるどれんが言った。
恵庭岳公園線は漁川付近で国道から分岐し、そのまま川を下り、恵庭市街まで伸びている。
確かにその道に入れば、峠を越えることもなく、札幌に帰ることができる。
しかし…。
もう大丈夫だ。(支笏湖まで)行ける。
それは若干強がりのようにも聞こえたが、これ以上弱さを晒すわけにはいかなかった。
というか、私は自分自身の弱さを越えなければならなかったのだ。
チャリダーにとって、一番の敵は、自分の弱さであるとこの時感じていた。





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